連載
特集
カテゴリー
タグ
メディア

HOW I WORK

興味があるものを我慢しない。Quoraエバンジェリスト・江島健太郎さんの仕事術

author 取材・執筆/岡本英子 撮影/米山典子
興味があるものを我慢しない。Quoraエバンジェリスト・江島健太郎さんの仕事術

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに仕事術を学ぶ「HOW I WORK」シリーズ。

今回お話を伺ったのは、シリコンバレー発・世界最大級の知識共有プラットフォームQuora」のエバンジェリスト・江島健太郎さんです。

江島健太郎さんの仕事歴:

京都大学工学部にてコンピューターサイエンスを学ぶ。同大卒業後、日本オラクルに入社。インフォテリア(現アステリア)に転職し、米国法人の社長として渡米しシリコンバレーへ。ニューヨークにてEast Meet Eastを起業。

その後、日本に帰国し、2018年から米国カリフォルニア州に本社を構えるQuora社のエバンジェリストとして、⽇本進出を担当している。

幼少期、大のゲーム好きだったという江島さん。ご両親に「パソコンがあれば、自分でゲームが作れるらしい」と言われたことがきっかけで、6歳の頃から電気屋の店頭に並んでいたパソコンで「立ちプログラミング」していたというエピソードも。

米国にも拠点を持つ江島さんは現在、日本に駐在中。定額制住み放題サービス「ADDress」を利用して多拠点生活を送り、日本全国をオフィスとして仕事をしています。

まだ日本法人のないQuoraで、自由な働き方をしながら、新しいライフスタイルにチャレンジしていると話す江島さん。月の1/3は移動している、その働き方とは?

エバンジェリストとしての3つのミッション

ーQuoraで働くことになったきっかけを教えてください。

もともと僕は、Quoraのヘビーユーザーなんです。

あるとき家族が病気になったことがきっかけで、毎晩欠かさず英語の医学論文を読むようになりました。そのうち興味が健康全般になり、さらに古生物やウイルス・細菌など生命現象全体にまで広がっていきました。

そうして得た知識を生かす場はないかと思っていたときに出会ったのがQuoraで、誰かの役に立つかもしれないと思って投稿することにしたんです。

熱心に投稿していたらQuora日本語版でトップライターのひとりになり、それがQuoraの人の目に留まった。以前、私はシリコンバレーでソフトウェアエンジニアを、ニューヨークではスタートアップの起業を経験していたこともあって、日米のカルチャーを橋渡しする役割として声をかけてもらったという流れです。

趣味と仕事がばっちりはまり、幸せに働けています。

ー「エバンジェリスト」として、どのような仕事をされていますか?

Quoraからはどのような肩書きを名乗っても良いと言われたのですが、いちユーザーとしてたくさん記事を書いていたポジションから今の仕事につながっているので「布教者」みたいな感じもあるかと思い、「エバンジェリスト」と名乗ることにしました。

肩書きはともかく、ミッションは3つ

1つめは、PM(プロダクトマネージャー)。日本語向けのプロダクトをどのように作っていけばいいのかということですが、これはソフトウェアエンジニアとして僕のバックグラウンドが生きる分野です。

2つめはビズデブ(BizDev)。ニュースサイトなどと協業しながらQuoraを広めていく事業開発です。

3つめはアウトリーチ。色々な外部のコミュニティからQuoraに人を連れてくる、これはまさにエバンジェリストのような活動です。

米国と日本向けの仕事を自分のペースで

0KE_049

ー1日の仕事の流れを教えてください。

Quoraのスタッフは、僕以外ほとんどがカリフォルニアにいるため、午前中は基本的に本社向けの仕事、昼過ぎから日本での仕事をしています。

Quoraのミーティングは、基本1スロットが30分。米国企業はミーティングに対する意識が高いので、30分以上のミーティングをするときはかなり気をつけないといけません。むしろ、15分で終わってもいいという感じです。

仕事を終える時間は日によってバラバラ。僕のミッションは日本のマーケットを伸ばすことなので、成果が出ていれば極端な話、何もやっていてもいい。実際、他の言語圏と比べてもきっちり成長しているので、自由に仕事しています。

最近は「Clubhouse」に入り浸っていて、サイエンティストのコミュニティと仲良くなってコラボなどを通じてQuoraに来ていただく、というような取り組みもやっています。

企業で働いていると四半期ごとにゴールを設定したり、ウィークリーのグロースを設定したりと近視眼的になりがちですが、現在のQuoraはその点、ロングタームで見た結果を出しやすい環境だと思います。

筋トレと睡眠時間を確保し、無理をしない

ー仕事のパフォーマンスや集中力を上げるために心がけていることは?

座っている時間が長ければ長いほど寿命が短くなると言われていますが、実際、デスクワークは健康に悪いと思います。

そこで、週に2〜3回は自室でベンチやダンベルを使って筋トレをしています。部位ごとに10回×3セットがベスト。30分くらいで終わるので、休憩時間をかねて効率よく鍛えることができますよ。

あとはよく寝ること。仕事はスプリントではなくマラソンだと思うので、健康を第一に考えて無理せずに長く続けていきたいですね。

全国どこでも仕事ができるツールを

ー仕事をうまく進行するためのツールは?

0KE_036
MacBook AirとRoost Laptop Stand

多拠点生活中に使っているPCは、M1 MacBook Air。何十万円もするインテル時代のMacBook Proよりも値段が安いのに性能が高くて、バッテリーも減らない。30Wのとても軽いアダブターで充電できて、ファンも回らないので静かだし、本体も熱くなりません。

さらに、ラップトップを覗き込む姿勢は肩や首に負担がかかりやすいので、Roost Laptop Stand を使って目線を上にしてそれを軽減させるようにしています。折りたたみ式で軽いので携帯しやすく、付属のポーチにキーボードとトラックパッドを入れて持ち歩けば、どこでも仕事ができます。

0KE_032
Mogics Donut & Bagel

充電グッズの中でいろいろ試して良かったのは、Kickstarterで買ったMogics Donut & Bagel。たこ足になっているユニバーサルアダプターで、差込口が放射状になっているので他の人とバッティングしないし、軽いので持ち歩くのにも便利です。

0KE_040
MagSafeデュアル充電パッド

iPhoneとApple Watchを同時に充電できるAppleのMagSafeデュアル充電パッドも愛用しています。

さらに、紙の資料はScan Snapでデータ化。移動が多いので極力ものは持たないようにしているんです。

興味があることのタイミングを逃さない

0KE_047

ー江島さんにとって「幸せな働き方」を実現するために必要なことは?

まずは、健康。これは僕のライフテーマです。健康じゃないと何もできないですから。健康とは、食事の摂取カロリーやPFC(P=​たんぱく質、F=脂質、C=炭水化物)バランスとか、そういう基本的なところですね。

それから、僕は「興味があるものを我慢しない」というルールを自分に課しています。興味があるものはその時にやることが一番学習効率がいいんですよ。

遅延させてしまうと興味が薄れて、「なんか頭に入ってこない…」ということが起こるので、面白いと思ってスパークしている時に、それを止めないことにしています。

本も買ったまま積んでおくと読まないので、まずは5ページでもいいから買ってすぐ読む。興味があるときのきっかけを無駄にしないということを実践しています。

―「興味があるものを我慢しない」とは良い言葉ですね。

僕は意図的に午後をまるまる空けていることがあるのですが、これは後ろのことを心配せずに好きなだけ興味のあることを深掘りできるようにしているからなんです。

それを続けると、1年くらいのスパンで見た時に吸収した知識の総量が違う。細切れの時間でプロダクティビティを計画的にやって勉強するより、深いところまで入れるんです。

ということを経験してから、現代の複雑化した社会、専門領域が広がっている社会では、表面的に広く浅く舐めていくのは実はあまり効率がよくないんじゃないかと思っています。

むしろこれと決めた領域を深掘りするほうが、これからの仕事の仕方において、本当の意味でのプロダクティビティが得られて、他の人と違う強みを見つけられるきっかけになる。

そういう、時間を忘れてタイムマネジメントがうまくできてないと言われるくらい物事にハマるということを、大切にしていきたいと思っています。

人に影響を与えられる力は、深掘りしたところからしか出てこない

0KE_025

ー深掘りをすることが幸せな働き方につながるということでしょうか?

究極的には、社会の中で自分の役割を見出すということが仕事と生活の接点になる部分だと思います。それは、自分の好きなことを深掘っていく中で見つからないと意味がない気がするんです。これは結構大きなテーマですね、僕にとって。

ルーティンワークの価値がどんどん下がっていく今、人に影響を与えられる力って重要じゃないですか。人を動かすときに、人に「へー」と思ってもらえるかどうかはとても重要で、そういうネタって深掘りしたところからしか出てこないんですよね。

そういう意味で、文章はすごく大事。文字の力をちゃんと武器として使うということは考えながらやっていますね。それは日本語でも英語でも同じです。

ソーシャルメディアをやるようになって、周りの人と仲良くやっていくためにマイルドな言葉を選ぶ人が増えていると思いますが、言葉の選び方一つで刺さる人には刺さる

なので、ほんの少しピリッとしたトゲがあり、構成としては力強い、そこそこの長さの文章って力を持っていると思うんです。

長文を読んでもらえない時代になった今、長さはTwitterとブログの間くらいがちょうどいい感じになっていますよね。だから「Quora」くらいがちょうどいいと思っているんです。

ー文章を作るときに何か参考にしていますか?

プラットフォームやツールによって向き不向き、個性がありますが、僕はどっちかというと長文の方が好きなので、それに合わせて人が書いたものをたくさん読むようにしています。

そして「この人の文章はいいな」と思ったものを真似することが出発点ですね。

ー今後のキャリアの展望は?

今の仕事を楽しんでやっているので、少なくとも日本でQuoraがビジネスとしてきっちり回るところまではやりたいと思っています。

とはいえ、いずれ米国に戻ってまたスタートアップの世界に戻りたいという気持ちはあります。1〜2年先のことはまだわからない状態ですね。

swiper-button-prev
swiper-button-next