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マインドセットでもビジョンでもない。生産性を上げるのに必要なこととは?

author Fast Company/訳:ぬえよしこ
マインドセットでもビジョンでもない。生産性を上げるのに必要なこととは?
Image: Shutterstock

皆さんも、できることなら最善を尽くしたいと思っているでしょう。では、なぜいつも最高の状態で働ける人と、そうではない人がいるのでしょうか。

企業の創設者や先見の明がある人たちは、一般人とは違う考え方を持っているのでしょうか。遺伝的なものでしょうか。必ずやる気にしてくれる夢のようなプレイリストがあるのかもしれません。

Music&Scienceジャーナルに掲載された新しい研究によると、上記に挙げたようなものとはまったく異なる理由があるそうです。

アーティストの全体的なパフォーマンスを決める最大の要因は、マインドセットでもビジョンでも、完璧に記されたバレットジャーナルでもありません。

それは、やり抜く力です。ありがたいことに、やり抜く力というのは、年齢にかかわらず積極的に育んで開発することが可能です。

アンジェラ・ダックワースさんはこのやり抜く力についての第一人者です。彼女はやり抜く力の研究にキャリアを捧げ、話題になったTEDトークや、このテーマについてのベストセラー著作があります。

彼女が差別化されている最大の違いは、やり抜く力そのものの定義です。

大部分の人は、やり抜く力を忍耐力や回復力と誤解していますが、彼女はやり抜く力を「非常に長期的な目標に対する情熱と粘り強さ」と定義しました。

個人的には「非常に長期的な目標」というフレーズに対して自動的に反応してしまい、わたしの心の中に住む『チャーリーとチョコレート工場』のわがままな社長令嬢ベルーカ・ソルトが「い・ま・ほ・し・い・の!」と叫び声を上げるのです。

どうすればやり抜く力を開発するプロセスを容易にできるのでしょうか。やり抜く力は、創造性やイノベーション、起業家精神を育み、私たちを新たな次元に押し上げてくれる秘伝の術なのでしょうか。

やり抜く力で目標達成、プロセスも向上できる

Music&Scienceの研究が述べているように、やり抜く力は音楽の習熟には重要な要素です。

何千時間もの練習からプレッシャーを感じながら繰り返し繰り返し演奏するにいたるまで、独学の歌手もクラシック音楽の訓練を受けたソリストも皆同様に、演奏に没頭します。

そして最高のパフォーマンスを発揮できるスイートスポットであるフロー状態に導くためのテクニックに傾倒します。

このように卓越性を追求するには、多くの場合、膨大な時間と繰り返しが必要ですが、フロー状態があるからその過程がなんとか耐えられるのです。

フレンチホルン関連で2つの学位を持っている筆者が言うのですから間違いありません。週に20時間ロングトーンを演奏するときは、その行為を楽しめて集中するためには何でもするでしょう。

この研究によると、ミュージシャンたちの音楽トレーニングのレベルは、「フロー(r = 0.32、p <.001 .007>

つまり、何かに堪能であればあるほど、思いのままにスイートスポットを見つけられるようになるということです。

生産性を向上させたいとか、斬新なアイデアを考えたいとか、ふさわしいタイミングでのピークを目指しているなら、フロー状態は親友であり、やり抜く力によってフロー状態に入りやすくなります。

マインドセットはあまり関係がない

研究には意外な点もありました。イノベーションと起業家精神の聖なる基礎とも言える成長マインドセットは、この研究においてフロー状態とは相関がなかったのです。

積極的な態度をとるのは良いことですが、少しずつ向上して限界を押し上げてゆくことに関しては、バスルームの鏡にアファメーションの言葉を貼り付けるよりも、自己鍛錬を養うほうが役立つようです。

ポジティブ心理学を批判しているのではありません。#AskGaryVeeを聞いて、やり抜く力が養われるならそれでもいいのですが、実際に一生懸命努力しなければ無意味です。

既成概念にとらわれずに考えるにも、新しいキャリアスキルを開発するにも、現時点で意図的に実践することでニューラルネットワークが鍛えられ、それが将来活用できるようになるのです。

神経可塑性(成長と再編成を通じて変化する脳内の神経ネットワークの能力)のおかげで、新しいことを学んで、習得するのに遅すぎるということはありません。

やり抜く力の育て方

まとめましょう。やり抜く力は習熟度をあげるのに役立ち、習熟度はフロー状態に入りやすくなり、フロー状態ですばらしいことが起こります。

では、どのようにして積極的かつ意図的な方法でやり抜く力を育てればいいのでしょうか。そのプロセスを始めるためのアイデアをいくつか挙げてみましょう。

トリガーを開発(して保護も)する

仕事に集中したり深く考えたい時には、トリガーになる言葉や活動が心を落ち着けるのに役立ちます。

私のトリガーは、ダークハウスミュージックのこのSpotifyプレイリスト750wordsでのフリーライティングです。トリガーが何であれ、それを保護して、ゾーンに入る準備ができた時にだけ活用するようにしましょう。

目標を確認する

ダックワースさんが指摘しているように、最終目標をしっかり目指している時にはつらい時期を乗り超えられる可能性が高くなります。

「なぜ、また私はこれをやっているのだろうか」と自問します。自分自身の最終目標、そして他人の最終目標の両方を明確に思い浮かべると、全員を関与させることが簡単になります。

さっと失敗、さくさく立ち直る

Instacartの創設者のApoorva Mehtaさんは、この記事の執筆時点で390億ドルの価値があるそのアプリが彼の20回目のスタートアップの試みだったと言っています

また、初期のFacebookには、「速く動いて、物事を壊す」という当社のモットーが廊下に貼ってありました。

やり抜く力とは、目標をしっかり捉えて大切にしているため困難に直面してもすぐ立ち直れる能力であり、頻繁に失敗していると立ち直るのも簡単になります。

私たちは朝起きた時には、その日を意欲的に過ごそう、イノベーションと成功を達成しようという気持ちにあふれています。時間が経つにつれてそのエネルギーは下がって行きますが、そこにやり抜く力に注ぎ込み、粘り強く頑張りましょう。

インスピレーションを受けて、目標達成まで長く続く過程を楽しめる方法を見つけられれば、その距離を進むために必要なものを身につけることができるはずです。

Source: Sage Journals, TED, Angela Duckworth, AskGaryVee, Spotify, 750words, Los Angeles Times, CNBC

Originally published by Fast Company [原文

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