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印南敦史の「毎日書評」

コミュニケーションスキルが高い人と低い人の決定的な違い

author 印南敦史
コミュニケーションスキルが高い人と低い人の決定的な違い
Photo: 印南敦史

「何回も同じことを伝えているのに、なぜわかってもらえないんだろう?」

他者とコミュニケーションをとるなかで、そんなことを感じた経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(西 剛志 著、アスコム)は、そんな人のために書かれたのだといいます。

著者は、脳科学の研究に携わる脳科学者(工学博士)。なかでも「うまくいく人とそうでない人の違い」をおもなテーマにしているそうで、その研究結果から「うまくいく人と行かない人との最大の違いは『コミュニケーション』にある」ことがわかったのだとか。

端的にいえば、うまくいく人は「コミュニケーションスキルが高い人」だということ。そして「自分の脳と相手の脳が見せる世界が違うということをしっかり認識している人」こそ、コミュニケーションスキルが高いということです。

ここでこの問題を考えてみてください。 シマウマクイズです。 イラストのシマウマですが、このしま模様は

1)白地に黒いしま

2)黒地に白いしま

あなたはどちらに見えますか? (「はじめに」より)

シマウマ
Image: 『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』

さて、どちらに見えるでしょうか?

この問題の正解は?

著者によれば、この問題に正解はないのだそうです。

実は自分の肌の色をどう認識するかで、 地色が変わるという研究結果が出ています。

自分の肌色が白に近いと思っている人は 「白地に黒いしま」と答える人が多く、 自分の肌色が黒に近いと思っている人は 「黒地に白いしま」と答える人が多いそうです。 (「はじめに」より)

つまり同じシマウマを見ても、人によって見え方が変わるということ。

シマウマ
Image: 『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』

だとすれば「白地に黒いしま」と答える人と、「黒地に白いしま」と答える人が激論を交わしたとしても平行線をたどるだけ。

だからこそ大切なのは、お互いの見え方を認めること。自分が見ている世界と相手が見ている世界が違うことに気づき、尊重しあえる人が「コミュニケーションスキルが高い人」だというわけです。(6ページより)

「環境」に操られる「脳」

もうひとつ、クイズに挑戦してみてください。

ソファに座る人、どっちが優しい?
Image: 『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』

この2つの絵に描かれている人物は、どちらも同じ。

しかしソファに座っている人のほうが、椅子に座っている人よりやさしい人に見えるのではないでしょうか? それは、やわらかさをイメージさせるものがあると、人の印象も柔らかくなるからなのだそうです。

ハーバード大学の研究によると、硬い木のブロックを触りながら登場人物の評価をしてもらうと、やわらかい毛布を触っているときに比べて、登場人物を頑固で厳格な性格だという人が多くなります。

また、やわらかいソファに座った場合、硬い椅子に座って交渉するよりも、交渉相手をより安定的な人と感じて、交渉がより柔軟になることも報告されています。(111〜112ページより)

ふかふかのソファに座るか、硬い椅子に座るか。

それだけの違いで、人の印象や交渉の難易度が変わるというのです。だとすれば、ぜひとも覚えておいて、日常生活のコミュニケーションにおいても活用したいところ。

著者も、苦手な人と話をしなければならないとき、親子や夫婦でいいにくいことや難しい話をするときなどは、ソファに座って話すことを勧めています。

私たちの思考や判断は、あらゆるものに影響を受けています。

環境要因が変わるだけで、よく見えたり悪く見えたり、肯定的にとらえたり否定的にとらえたりします。(113ページより)

私たちは基本的に、「自分の思考や行動は自分の意思で決めている」と思いたいはず。

ところが実際は、94〜96%が無意識的に決定していることがわかっているのだそうです。つまり自分の確固たる意思というよりは、環境に左右されているということ。

同じことは、人との会話にもいえそうです。つまり相手の言動にイラッときたとしても、その言動は相手の本意だとは限らないわけです。

たとえば、そのときの場の環境が、相手にその言動をとらせてしまったということも考えられるでしょう。あるいは相手ではなくこちらが、そのときの環境の影響でイラっとする印象を持ってしまったということだってあり得ます。

必ずしも自分で決めているとはいい切れないわけで、つまりはこれが「あらゆるものから影響を受けている」ということの正体だということです。

人それぞれ脳のバイアスが違うからこそ、自分が見ている世界と他の人が見ている世界が違ってくる。そのことに気づくだけで、人間関係から受けるストレスが格段に減ると著者は断言しています。

自分と自分以外の人が見ている世界がどれだけ違うかを知るだけで、コミュニケーションスキルが劇的に変わるとも。

だからこそ、コミュニケーションスキルを高めたい方は、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: アスコム

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