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「リモート優先」の代わりに企業が尽力すべきこと

author 訳:ぬえよしこ
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「リモート優先」の代わりに企業が尽力すべきこと
Image: Fastcompany

最近の求人情報を見ると目につくフレーズがあります。

大きな文字で強調されていることもありますし、福利厚生セクションに控えめに記されていることもあります。

その言葉は「remote-first culture(リモート最優先の企業文化)」です。

パンデミックが2年目に突入し、リモートワークオプションを導入する企業は増える一方です。

TwitterShopifyのように社員が「ずっと在宅勤務する」ことを認めている企業や、現時点では柔軟なハイブリッド型を提供している企業もあります。

このような選択肢は素晴らしいと思いますが、問題が1つあります。それは、リモート最優先というのは企業文化ではないということです。

大目に見てもそうは言えません。

社員が物理的にどこで仕事をするかということと、どのように働くかということを混同することは実は大問題なのです。

社風とはいったい何?

パンデミックになる前においても、企業文化を正確に定義することは簡単ではありませんでした。そのテーマで多くの本が出版されてはいますが、結局その概念は明確ではありません。

文化とは「人が何をするか、そしてどのような方法で行なうか」ということであり、態度や行動が含まれることもあれば、具体性がない場合もあります(ただ、ブラックではないことは明らかですが)。

それに、「良い企業文化」と見なされることは会社によっては正反対のこともあります。

どの企業も優れた成果を収めるチームを追求しますが、自由と責任を重視する企業もあれば、過激なほどの率直さや共感を実践する会社もあります。

文化を定義するのは困難なため、それを具体的で物理的なもので表現する傾向が生じます。

パンデミック以前は、企業文化は職場での特典と同一視されることがよくありました。

シリコンバレーの企業は、職場で提供されるマッサージや洗車サービス、屋内の遊び場など、あらゆるものへのアクセスがあることを会社の文化の一部として宣伝し、人材確保を競い合っていました。

このような特典は、どれだけプラスの見方をしたとしても、入力であり、出力ではありません。

最悪の場合には意味のないお飾りにすぎません。

ある調査では、回答者の60%がこのような「楽しい」特典のせいで仕事するのが実際には難しくなっていると答えています。

スタートアップ企業には素晴らしい特典があるにもかかわらず、テック系社員は最も忠誠心が低いことが判明している他の統計もあります。

「リモート最優先」の限度

このようなメリットは、パンデミックのせいですべてなくなりました。今では、「リモート最優先」がそれにとって代わった目玉商品ですが、それは企業文化と混同されて考えられています。

たとえば、テック企業とスタートアップのデジタルコミュニティであるBuiltInは、最近、素晴らしきリモート最優先企業リスト50というのを発表して、リストの全50社を急進的で未来志向のビジネスだと位置づけました。

その問題点は、「リモート」だけでは、価値観や目標、チームを構築して主導するプロセス、社員への対応の方法などがほとんど明確に示されていないことなのです。

社員にとっては、パフォーマンスが何よりも重要視される激しい環境なのでしょうか、それとも、同僚同士でサポートしあう人中心の職場なのでしょうか? わかっているのは、Zoomコールがたくさんあるということだけです。

一方、雇用主側としては「リモート最優先」のラベルで売るのは、自社とその文化を売り飛ばすようなことです。バスの路線沿いにあるからという理由で自社を売り込むようなものです。

それに、リモート最優先を掲げることによって、リモートワークが理想的ではない社員を疎外しているかもしれません。

不動産会社のJLLが行なった最近の調査によると、社員の4分の1はフルタイムでの職場復帰を望んでおり、半数は完全リモートではなくハイブリッド型スケジュールを希望していることがわかっています。

場所にとらわれない社風を築く重要性

真の企業文化というのは、物理的なメリットやバーチャルの特典を超えたところに存在します。

社員がお互いに対してどう接するかについての期待事項、そして、誰にも見られていないと思う時に実際に社員がどう接し合うかについて、深く関係していることは直感的にわかっていると思います。

私にとって、文化の構築は明確な価値観から始まるものです。

私の会社の価値観は、社員の誇り、顧客の成功、売り上げと収益力という3つのわかりやすい柱が中心になっています。

私にとっては、このようなはっきりした道標なく会社を経営することは目的地を考えずに車をスタートさせるようなものです。

このような価値観は単なるスローガンではなく、実践プロセスで強化していかなければなりません。社員の誇りを例にとりましょう。

それは、新入社員を迎え入れる方法から、「良いニュース」をシェアする毎週のチェックインなど、さまざまな活動に表れています。この枠組み内においては、リモートワークは社員をサポートするために導入された1つのプロセスにすぎません。

何と言っても、企業文化は大小を問わず実際の行動に表れるものです。社員の誇りが真正であるという例には、社員が自発的に期待される以上の行動を見せるということがあります。また、個人的に心に刺さった実例があります。

当社のサポート担当者があるクライアントと電話で話していた最中にそのクライアントの陣痛が突然はじまったのです。

仕事を続けようとしていたクライアントに対して、担当者は自分ができるだけ早く対応するからと告げて、Uberを彼女のもとへ派遣しました。料金は担当者が払いました。

このようにして築かれた企業文化は物理的な場所に限られたものではありません。職場のスペースやインターネット接続は納品方法にすぎず、基礎的なものは変わらないのです。

全社員とのZoomミーティングでは、物理的に一緒にはいられなくとも、同じ会社で働き、同じ志を持っていることが私にははっきりと感じられます。

パンデミック以前でさえも、卓球や「ビールフライデー」を企業文化の定義として受け入れなかったのと同様に、その定義としてリモート最優先に妥協しないでください。

コロナ禍によってあまりに多くの不確実性がもたらされ、タイムラインはまだ変化し続けており、職場の未来についてはわからないことばかりです。

でも、揺るぎない企業文化は将来に起こるだろう紆余曲折に耐えることができるはずです。

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Source: Washington Post, Shopify, McKinsey, The Balance Careers, Enterpreneur, KnowledgeAtWharton, The Ladders, LinkedIn, BuiltIn, CNBC

Originally published by Fast Company[原文

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