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泣きたいときは泣いたほうがいい科学的な理由

author Aisha Jordan[原文](訳:的野裕子)
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泣きたいときは泣いたほうがいい科学的な理由
Image: Shutterstock

泣くのは弱さの表れ、さらには恥ずかしいことだとも思っていませんか?

しかし、そのような主張はでたらめなだけでなく、科学的にも泣くことは重要だと認められています。

泣くことで、体内かストレスホルモンなどの毒が排出され、良い脳内物質が生成され、最終的に気分も上がります。

泣くのを我慢することに慣れている人は、健康的に泣くというのがどういうことか、いつ泣くのが一番効果的なのか、理解しにくいかもしれません

ですから、健康の専門家と心理学者に、明るい雰囲気と健康的な体を維持するのに役立つ、泣くことの理想的な活用法を聞いてきました。

泣くと何が起こるのか?

泣くことで何が起こっているのでしょうか?

認知神経科学者であり、メンタルヘルスの研究者であるCaroline Leaf博士は、泣くときに体が放出する主な化学物質のひとつであるプロラクチンは、母親が授乳している時にも活性化されると言っています。

体がプロラクチンを生成するのは、「ネガティブもしくはポジティブなストレスに対する反応であり、ストレス反応にうまく対応しているのかもしれない」とLeaf博士は言います。

泣くことに関連する他の化学物質は、オキシトシン、バソプレッシン、内因性オピオイドなど、どれも放出されると気分が落ち着いたり、より冷静になれるものです。

また、泣くことで、脳の中枢自律神経線維網や中心前回(ACC)が活性化すると考えられています。前者は頭と体のバランスを回復させ、後者(ACC)は認知的な明晰さに関連しています。

このことから、良くも悪くも涙を流すことになった経験は、神経ネットワークのバランスやホメオスタシスを乱し、人間の思考能力に影響を与えたことを示しています。

実際、泣くことでプレッシャーから解放されます。感情を押さえ続けていると、文字通り頭と体は化学的にかなり不安定になります。

Leaf博士は、泣くという行為は「ガス抜き」、つまりストレス解消であり、バルブを開けて機械の危険な圧力を開放するのと同じだと言っています。

ですから、私たちはもっと泣いたほうがいいのです。しかし、どのくらいの頻度で、いつ泣くべきなのでしょうか?

泣く予定は決められない

科学的に、泣くのには3つのタイプがあると考えられています。

まばたきをした時に抗菌作用のある液体で目を潤す「基本的な涙」、煙や細菌、タマネギの成分などの刺激物質から目を守る「反射的な涙」、それに「感情的な涙」です。

Medical News Today」によると、感情的な涙にはストレスホルモンが最も多く含まれているので、体からストレスホルモンを排出するには泣くのが一番良いのです。

オランダのティルブルフ大学の研究によると、女性は月平均3.5回泣きますが、男性はその約半分の1.9回泣くことがわかりました。

この回数が“十分”なのかどうかはわかりませんが、この平均回数を覚えておくのは役に立ちそうです。もちろん、日常生活に支障をきたすほど、押さえきれないほど泣きすぎるのは、もっと深刻な問題の兆候の可能性があります。

もっと具体的な数字が知りたい場合は、「the Journal of Research in Personality」の研究によると、1回の泣く平均時間は約8分と証明されていました。

すべての泣く行為は同じではありません。基本的な涙や反射的な涙は制御できないものであり、環境的な要因による結果です。

感情的な涙と同じように目から流れ出ていますが、社会的により受け入れられやすいもの。

目に埃が入って泣くタイミングを見計らう必要はまったくありませんが、感情的に込み上げて泣くタイミングには良いも悪いもありません。

決められたタイミングで泣く練習をするのは、一見逆のように思えますが、便利でもあります。

Leaf博士は、1日30分時間を決めて、感情的な涙を流すようにするのは、おそらくほとんどの人にとって現実的ではないだろうと言います。

それよりも、泣きたい時にただ泣きましょう。つまり、仕事中に泣きたくなったら、トイレでこっそり泣くのを当たり前にする必要があるということです。

泣くのを当たり前にする方法

泣くのを我慢するのが当たり前になっている場合、泣くのを当たり前にするのは、言うは易し行うは難しです。

しかし、自分の弱さに慣れ、泣くのは恥ずかしいことではなく、むしろ泣くことで気分を良くする方法はいくつかあります。

the Budding Optimist」では、泣いても決して謝らないことから始めるのをすすめています。

『The Feminine Revolution』の著者Amy Stantonは、泣くという行為を受け入れることについて多く書いており、著書の中の「Crying Openly(隠さずに泣くこと)」という章では、他の人と一緒に泣くことのメリットについてこう説明しています。

他の人の前で泣く時は、自分自身を見せ、自分が見られることも自分に許しています。自分が泣いている理由を相手に伝えると、理解と絆が育まれます。

泣くというのは、最も人間らしい行為のひとつで、人と一緒にいることでしか、泣くのが自然なことだという事実を強調できません。

もちろん、自分の弱みを見せても大丈夫だと思える人といる時しか、人と一緒にいて泣くことの恩恵を十分に受けることはできません。感情的になっている最中に判断されたくはないでしょう。

弱さを受け入れる練習

そもそも、泣きたいと思わされるようなストレスや不安に対する、心の葛藤を隠す訓練を長年やってきた場合は、泣きたい時に泣ける精神的な勇気を身につけるのは難しいです。

そのような場合、Leaf博士は、情緒を安定させるためのニューロサイクルとして知られている“マインド管理ツール”をすすめています。

Leaf博士は、この練習はいつでもどんな理由でもできますが、泣きたい時に安心して泣けるようにするためには特に有効だと言っています。その練習方法は以下の通りです。

最初に、深呼吸をして心を落ち着かせます。

5カウントで息を吸い、11カウントで息を吐き、それを3回繰り返すのがおすすめです。(約45秒間)

それから、体が発している感情的および身体的な警報、この場合は泣きそうな合図を探します。その合図を受け入れて、判断したり、抑え込んだりしようとしないでください。(30〜45秒ほど時間をかける)

次に、自分がどう感じているかを見つめ直します。なぜそのように感じ、そのように反応しているのかを自問自答し、内省してください。「私は……だから泣いている」というような、具体的な言葉を使います。(約1分間)

内省が終わったら、1分間で自分の感じたことや理由を書き出します。自分の思考を整理し、体と心が伝えようとしていることに洞察を与えます。

そして、書き出したものをもう一度読み直し、自分が泣きたくなる原因や思考パターンを探ります。

例えば、誰かが特定の話題を出した時や、テレビで何かを見た時に泣きそうになると気づきます。

ほんの些細なことでも、我慢の限界を超えたり、積り積もったストレスを解放したりします。

最後に行動を起こします。

このステップは「アクティブ・リーチ」と呼んでいます。

自分の感情を正当化するようなポジティブな発言をしたり、自分の気持ちに対処する時間や空間を確保するための境界線を設けたりします。

泣くことに恩恵があると学んでも、職場のような堅苦しい場所では特に、泣くのを受け入れるのは難しいことがあります。

しかし、泣くことを健全に自分の生活に取り入れる方法が見つかれば、もっと楽になります。これは科学です。

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Source: Caroline Leaf, Medical News Today, Medical News Today, TilBurg University, South China Morning Post, the Journal of Research in Personality

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