連載
特集
カテゴリー
タグ
メディア

印南敦史の「毎日書評」

世界で最もSDGsに熱心な実業家、イーロン・マスク6つの金言

author 印南敦史
世界で最もSDGsに熱心な実業家、イーロン・マスク6つの金言
Photo: 印南敦史

このところ、SDGsということばを目にする機会が増えてきました。ご存知の方も多いと思いますが、これは“Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)”の略称。国連に加盟する193か国が、2016年から2030年の間に達成するべく掲げた目標であり、世界中の多くの企業が実現に向けて動き出しています。

しかし、そうした取り組みが、投資家や株主、銀行やファンドなどから見放されないようにするための、あるいは企業価値を上げるための手段となっていることも否定できません。

ところが、その逆をやっている変な経営者がいる。アマゾンのジェフ・ベゾスと世界一の大金持ちを競うイーロン・マスクだ。

イーロンは、人類にとってより良い社会の実現、持続可能な社会の創出を目的として掲げ、そのために必要な会社を立ちあげた。

宇宙ロケット企業のスペースXであり、EV(電気自動車)メーカーのテスラである。そして次々と革新的な技術を生み出してきた。

言うなれば、イーロン・マスクは世界で最もSDGsに熱心な実業家なのである。(「Introduction What Does HE WORK FOR?」より)

こう主張するのは、『世界で最もSDGsに熱心な実業家 イーロン・マスクの未来地図』(竹内一正 著、宝島社)の著者。シリコンバレーのハイテク情勢に詳しく、『イーロン・マスク 世界をつくり変える男』(ダイヤモンド社)などの著作もお持ちの作家、コンサルタントです。

本書は、そうした実績を軸にイーロン・マスクの軌跡を評伝とともに振り返るビジュアルブック。2015年から現在にいたる事業の先進性や成果、SDGsにかかわる取り組みや狙いについて、わかりやすく解説されています。

きょうはそのなかから「コラム1 イーロン・マスクの金言」に焦点を当ててみたいと思います。

「私は息をしている限り、あきらめない」

2008年、テスラ社が出荷できたロードスターはわずか27台。さらに「テスラ社は銀行に900万ドル(約9億円)しかキャッシュがない」という記事が出たため、世間の人々の多くは「テスラはもはやこれまで」と考えました。

ところがイーロンは、「ロードスターの出荷も予約金も、私が保証する」と啖呵を切ったのだとか。

そして「私はこれまでもこれからも決してギブアップしない。息をしている限り、あきらめない」と踏ん張ったのだといいます。

危機に直面した際の振る舞いによってリーダーの資質は決まりますが、このように堂々としていたからこそ、イーロンの周囲には優秀な人材が集まってくるのでしょう。(62ページより)

「目指すゴールはとてつもなく野心的だが、私たちは実現する」

これはスペースXのサイトに掲げられていたイーロンからのメッセージで、前文には「スペースXは、人々が不可能だと思うミッションを成し遂げる会社だ」とあるそう。

事実、「民間企業に宇宙開発は無理」「宇宙開発は国家がやるべきものだ」と非難されるなかで国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を輸送し、ロケットの再利用に成功しています。

つまりスペースXはまさに、人々が不可能だと考えるミッションを実現してきたのです。

そして、不可能に挑戦する姿勢こそイーロン・マスクの魅力だということ。(62ページより)

「貧しくてもハッピーであることは、リスクを取る際に非常に大きな助けになる」

24歳で起業したイーロンには返済しなければならない学生ローンがあり、最初のオフィスも小さくみすぼらしかったのだとか。

しかし、貧困生活のなか夢中になって仕事をしていた当時のことを、イーロンはハッピーだったと振り返っています。

貧しいことがつらいとばかり思っていたのでは、未来が見えなくなって当然。そして、ハッピーな心は余裕を生み出すもの。余裕を持ってリスクと冷静に向き合えば、自ずと正しい判断と選択ができるわけです。(62ページより)

「自分たちの目指すゴールが何で、なぜそうすべきなのかがわかっていれば、人はより良い仕事を成し遂げる」

上司の場当たり的な指示を無難にこなしても、なんのためにそれをやっているのかがわからなければ部下は成長せず、会社も成果を出せないでしょう。

テスラには、GAFAのひとつであるアップルからの転職組が多数。ジョブズ亡きあとのティム・クックCEOのもとでは世界を驚かせる製品はできない。しかし、イーロン・マスクならすごい製品が生み出せると彼らは期待しているのです。

たとえば「自動運転車を開発する」という明確な目的があるからこそ、テスラには優秀な人材が集まり、めざましい成果を上げているということ。(63ページより)

「新しい舞台に立つことを恐れるな」

イーロンがEVと宇宙ロケットという新しい舞台を選んだことは、多くの人の予想を超えたものでした。

もちろんイーロンにも、当初は不安があったかもしれません。にもかかわらず彼は確実に業績を積み上げ、栄光を手にしました。そのことについて著者は、「イーロンは新しい舞台を選んだからこそ、ここまでの飛躍ができたのかもしれない」と綴っています。

もしも慣れ親しんだシリコンバレーの舞台でネットビジネスを続けていたら、ここまで圧倒的な成果は上げられなかったのではないだろうかとも。

事実、イーロンは優秀な人材がネット以外の分野に挑戦することを強く勧めているといいます。世界には、SDGsにふさわしい仕事がまだまだたくさんあるということです。(63ページより)

「たかが失敗だ。失敗しないでイノベーションは起こせない」

イーロン・マスクについて注目すべきは、膨大な個人資産の金額ではなく、数々の失敗。なぜなら彼は、世界有数の“失敗名人”だから。

テスラのモデル3は生産ラインの自動化にこだわりすぎたため、ラインを止めてしまいました。ロケットのファルコン1は、打ち上げに3度失敗。ロケット再利用の成功までに7度の失敗を重ねています。

しかし、どの失敗も革新的なことにチャレンジしたうえでの結果。失敗を恐れないことが、イーロン・マスクの最大の強みだということです。(63ページより)

本編では、イーロン・マスクの人物像をはじめ、世界一の富豪としての側面、さらには人類火星移住計画「スペースX」、完全EV化を実現した自動車「テスラ」、エネルギー革命「ギガファクトリー」といった取り組みについての要点が簡潔にまとめられています。

つまりイーロン・マスク の視点を通じ、地球の未来を見据えられるようなつくりになっているわけです。SDGsへの理解を深めるという意味でも、ぜひとも目を通しておきたい一冊です。

>>いまだけ3カ月無料! 聞く読書 「Audible」キャンペーン実施中

>> 今ならKindle Unlimitedが2カ月299円、200万冊読み放題!

Source: 宝島社

swiper-button-prev
swiper-button-next