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印南敦史の「毎日書評」

自身が持つ能力をさらに高めるためのヒント|人生を豊かにするシンプルな方法論

author 印南敦史
自身が持つ能力をさらに高めるためのヒント|人生を豊かにするシンプルな方法論
Photo: 印南敦史

ELEVATE (エレベート) 自分を高める4つの力の磨き方』(ロバート・グレイザー 著、田村加代 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、国際的なマーケティング代理店であるアクセラレーション・パートナーズの創業者兼CEO。

特筆すべきは、毎週金曜日にニュースレター「フライデー・フォワード」を発行していることです。その目的は、「仕事でもプライベートでも、もっといろいろ挑戦したくなるように社員を励ますこと」。

各自が本領を発揮する手助けをしたかったとのことで、それは著者自身の心情でもあったといいます。

その結果、毎週のメールの波及効果は顕著に現れ、メールに載せたさまざまなアイデアを、社員が仕事や日常生活に積極的に取り入れるようになったのだとか。そればかりか、わずか数年の間に読者は50か国で10万人を超え、あらゆる職場で定期的に回覧されるまでになったそうです。

その結果として行きついたのは、多くの人々の人生を豊かにするためのシンプルな方法論。つまりは、それをまとめたものが本書だということです。

ペンシルベニア大学ウォートンスクールのスチュワート・D・フリードマン教授は、そんな本書の内容を次のように説明しています。

本書は、私たち1人ひとりを個性ある人間にならしめている、複雑に絡み合った要素(私が「個人の領域」と呼ぶ、自己の精神、知性、身体、感情)を理解し、培っていくために即実践可能な方法を提案しています。

そしてこれらの4要素が、個別に、及び全体の構成部分として掘り下げられると、私たちが個人として成し遂げることや職業人として作る実績の青写真を描き出すということを解き明かします。(「まえがき」より)

きょうは第3章「知性のキャパシティを広げよう」のなかから、「ゴールは短期と長期を設定する」に注目してみたいと思います。

「成功」より「実績」を好む

一般によく使われる「成功」ということばには、主観がかなり入ってしまうもの。そこで著者は、「実績」を好んで使うそうです。

例えば、企業経営に「成功」した人でも、配偶者から離婚を迫られていたり、子どもたちが会ってくれなかったりしたら、その人を成功者と考える人は少ないでしょう。

いっぽう「実績」は、何がいちばん大切か明確にし、それに従って決断していくことで積み上げるものです。(62ページより)

重要なのは、その“いちばん大切な物事”に従って決断していくこと。すなわち、明確なゴール設定が必要となるわけです。

ゴール設定は、精神のキャパシティと知性のキャパシティが交差する部分です。それは、自分が「求めるもの」と「どうやってそこに到達するか」を足したものと考えるべき。

そう主張する著者は以前、ゴール設定が得意だと思っていて、年間目標をいろいろ立てて端からやっつけていたのだそうです。ところが、それら短期のゴールが長期のゴールに沿っていなかったため、特定の方向に着実に進んでいるわけではなかったと振り返っています。

設定したゴールが適切かどうか見極める方法の1つは、ゴールの「WHY」を自分で分かっているか、1つずつ確かめることです。そうすればゴールに目的をこじつける必要がなくなります。 ゴールとは目的と信条にかなうものだからです。(63ページより)

たとえば海辺の別荘が欲しいとしたら、それは豊かさの証明になるからでしょうか? それとも、家族と一緒に有意義な時間を過ごしたいからでしょうか?

仮に家族のためだとしても、家族の誰も海辺に興味がなければ、このゴールを達成しても幸福感や充実感は増さないはず。

つまり、その場合はゴール設定の大前提である「求めるもの」と「どうやってそこに到達するか」が噛み合っていないわけです。(62ページより)

目標は「的を絞ること」が大切

実業家ウォーレン・バフェットにまつわるエピソードのひとつに、「的を絞る」ことの大切さを教えてくれるものがあるそうです。

自家用飛行機の操縦士であるマイク・フリントが将来の目標や重要視している事柄を語るのを聞いたバフェットは、話が終わってから、フリントに次のワークをやるように勧めたというのです。

▶︎ステップ1:キャリア構築のゴールを上位25まで1枚の紙に書く

▶︎ステップ2:その中のトップ5項目を丸で囲む

▶︎ステップ3:その5つをあらためて1つのリストにし、残り20を別のリストにまとめる

(65ページより)

このワークが教えてくれるのは、丸をつけなかった項目はすべて「絶対に避けるべきリスト」になったということ。そして最初の5つを達成するまでは、なにがあっても別のリストに目を向けてはいけないということ。

つまり、この助言の真意は、「残りの20項目は、肝心の5つのゴール達成の妨げになる」ということであるわけです。

なおゴール設定に際して重要なのは、達成したかどうかはっきりわかるゴールを設定することで、それには「SMART(スマート)」と呼ばれる方法が役立つそうです。

ゴールは具体的(Specific)で測定可能(Measurable)かつ達成可能(Attainable)、実生活に即し(Realistic)、期限つき(Timely)であるべきです。(68ページより)

実際には達成していないのに、達成できた気になれる余地を残してはいけない。ゴールに適度な一貫性があり、多少プレッシャーがあるほうが達成の可能性が高まるということです。(64ページより)

著者によれば本書は、学術研究や理論に基づいた科学的な著述ではなく、あくまで実生活を基盤としたもの。昔から伝わる、すぐに実行可能なアドバイスを盛り込んでいるというわけです。そのため、どこからでもリラックスして読むことが可能。いつでもページを開けるよう、手に届く場所に置いておきたい一冊です。

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Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

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