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「安全・確実・高利回り」投資はなぜ存在しないのか?

author 山崎俊輔
「安全・確実・高利回り」投資はなぜ存在しないのか?
Image: Gettyimages

リスクが怖い! でもお金を増やす方法はないものか…。

投資にはリスクが伴います。リスクというのはあなたの資産価値の変動の可能性やその大きさです。価格変動が大きければ、元本割れする可能性や程度が大きいということ。

例えば株式投資については市場全体が年30%下落するようなことが時々起こります(2020年の1月から3月がまさにそのくらい下がっています)。

しかしリスクが高いということは、その分リターンも高いのです。

国内の株式市場は過去40年の平均で7%ほど、日本以外の世界株式市場は年11%ほど上昇しており、リスクを取って株式投資をした人の多くはうまく収益を得ています。これは、けっこう高い利回りです。

しかし、理屈として増えるといわれても、やはり大きく元本割れするのは怖いもの。なんとか、リスクは小さくて、お金は効率的に増える方法はないものでしょうか。

「安全・確実・高利回り」の商品は存在する?

グラフ
Image: Gettyimages

あなたがリスクを怖がること、それ自体はおかしなことではありません。特に未経験者が投資にまつわるリスクを怖がるのは、自分の知識不足、経験不足に照らし合わせて適切な判断でもあります。

しかし、そうした人が「安全・確実・高利回り」というキャッチフレーズにだまされる例があとを断ちません。

例年、数十億円から数百億円程度を集めて破たんするような金融詐欺が話題になりますが、ほぼすべてが用いているキャッチフレーズは「安全・確実・高利回り」です。

よくあるパターンはこんなところ。

きちんとしたパンフレットやWEBページをチェックし(なぜか超縦長なWEBページが多い印象)、利用者のお礼の声の数々を読み感銘を受け(まっとうな金融機関のホームページに感謝の声のページはありません)、あなたは何かしらの金融商品に興味を持ちました。

やたらと開催回数の多いセミナーイベントが案内されていたので、試しにコンタクトを取ってみると、営業マンは実に熱心で、明るく、また親身になってあなたの投資相談に乗ってくれます。

営業マンは自身のLINEのタイムラインを示し、いろんな方から相談が来て返信をしている様子を見せてくれます(でも、それを第三者に見せてもいいの?)。

「あなたもいつでも相談してきてください」とばかりに、LINEのIDを示して交換しませんかと誘ってきます。

こんなに熱意をもって私と接してくれるならと「信じて」数百万円の投資をしてしまう。

これが典型的な騙されパターンです(ここまでのカッコ内は私の心のツッコミです)。

「親切さ」や「熱心さ」をみせて、「安全・確実・高利回り」をうたう金融商品は基本的に疑ってかかるほうがいいでしょう。「親切・熱心な営業マン」だからと、あなたが警戒を緩めることが一番危ないのです。

「安全・確実」と「高利回り」は同居しない

モダンインテリア
Image: Shutterstock

残念なことに、「安全・確実」と「高利回り」は同時に並び立つことはありません。

通常、高い利回りには高いリスクが伴います。銀行預金や個人向け国債はリスクが低い分、利回りも下がります。企業が発行する社債が国債より高金利なのは、企業と国のリスクの差であり企業のほうが信用力が劣るから。

そして同じ企業でも財政基盤の強い大企業は低い利回りで設定され、無理をしている企業の債券は、高い利回りが提示されます。国債でも日本より新興国のほうが高利回りになります。これまた信用力の差です。

つまり「安全・確実」ならば「『低』利回り」になります。

このルールを破って「低いリスクで高い利回り」という商品が仮にあったとしたら、そうした商品には人気が殺到します。人気があるなら値上げされ、その分利回りは下がるか、株なら高値がつきます。そもそも低利回りで新規発行するかもしれません。それが資本主義の合理性です。

時価を明示しないことで「安全・確実・高利回り」が同居するかのような説明をするケースもあります。実際には資産の価値は時価で変動しているのですが、それがリアルタイムでアップデートされないことがあります(不動産など)。

この場合は、価格変動が見えないだけで、元本割れしないわけではありません。しいていえば「安全・『不』確実・高利回り」であるものを説明上、言いつくろっているといえます。

堂々とウソをつくから見破るのが難しい

詐欺電話
Image: Shutterstock

基本的に「安全・確実・高利回り」と聞かされたら、だまされようとしているのだと考えてください。そんなうまい話はないのです。

「何か見分ける方法はないのか」とよく聞かれますが、WEB、パンフレット、セールストーク、営業マンの顔色などから真贋を見極めるのは難しいでしょう。

なぜなら、あなたの相手は本気でウソをつき、堂々とやっているから。過去に破たんしたとある金融詐欺では、金融庁の検査を一度パスしたことを自慢げに語りセールストークに使っていたそう。なんとプロすら一度はだませるほどの武装をしているわけです。素人の個人にウソが見抜けるはずもありません。

さらに最悪のケースでは、営業マンはウソであることを知らされておらず、いい商品を提案していると心の底から信じ込んでいることすらあります。これも見分けられるはずがありません。

「この人なら信頼できる」という気持ちと「安全・確実・高利回り」というあり得ない商品設定を結びつけることは、金融詐欺の王道テクニックだと思ってください。

リスクは「購入金額」と「商品選び」でコントロールできる

選択肢
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ところで、投資のリスクが避けられないとして、リスクはコントロールできないように思えますが、実のところあなたがコントロールすることは可能です。最後にそのヒントをお伝えしておこうと思います。

あなたが、あなたの保有する資産のリスクをコントロールする方法はシンプルです。

まず「購入する商品を選ぶ」ことでリスクの高低は選ぶことができます。

あなたがFXや暗号資産のトレードを止め、日経平均株価などのインデックスと連動する投資信託を買うだけで、値動きの幅は一気に縮小します。

値動きの可能性とレンジは個人の介入の余地はありませんが、商品選びはあなたが決めることができ、「あなたの投資のリスク」をコントロールできます。

そしてもうひとつ、「購入金額」を決めるのもあなたです。金融詐欺にだまされる人の多くが、安全・確実・高利回りというフレーズに踊らされて財産の全額を注ぎ込んでしまっています。これがもう最悪です。

どんな詐欺的金融商品でも、購入金額以上の被害には遭わないわけですが、欲の皮が突っ張った人(あるいはまったく疑いもしなかった人)は、破たんしたときに手痛い報いを受けます。

これは詐欺ではなく普通のリスク性金融商品を購入するときも同じです。あなたは投資をするにあたって「元本割れする可能性を、あなたの財産の何割保有するか」を決める権利があるのです。

悩んだときは「商品選び」と「購入金額」は自分が決め、自分がその結果を負う、という当たり前のことを思い出してみてください。

SNSのマッチング広告は、あなたの投資に対する興味関心をキャッチし、ときに疑わしい広告を示すことがあります。「安全・確実・高利回り」という投資話にだけはだまされないようにしましょう。

山崎俊輔

フィナンシャルウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー。夫婦で共働き、共家事、共育児しながら子どもふたりを育てている。

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