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WORK FAST, LIVE SLOW. 「好き」だけ残して、シンプルに生きる

「好きなことを仕事にした」けれど、8割にとどめる理由

author 三浦一紀
「好きなことを仕事にした」けれど、8割にとどめる理由
Photo: SHINO

新しく始まった特集『「好き」だけ残して、シンプルに生きる』は、ライフハッカー[日本版]の新コンセプト「WORK FAST, LIVE SLOW.」を体現するようなビジネスパーソンのインタビュー集です。

第1回は、元カヤックLiving代表取締役で現在は米ポートランドに家族で移住し、環境ビジネススタートアップ「おかえり株式会社」の代表を務める松原佳代さんのインタビュー。今回は前編『英語できなくてもポートランド移住「暮らしの中に、仕事がある」』に続いての後編です。


松原佳代 おかえり株式会社&みずたまラボラトリー代表

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Photo: SHINO

お茶の水女子大学を卒業後、コンサルティング会社、編集ライター職を経て、2005年面白法人カヤック入社。広報部長、新規事業の事業責任者を担当。2015年に独立しスタートアップのPR支援を行うハモニア(現みずたまラボラトリー)を設立。2017年より2020年6月までカヤックLiving代表取締役を兼任。2019年夏に鎌倉からポートランドに移住し、 おかえり株式会社を起業。トイレットペーパーの定期便「BambooRoll」を展開している。

前編で「仕事より暮らしのほうが上位概念」という話をしましたが、それは仕事を軽く見ているとか、仕事が嫌いとか、そういうわけではありません。むしろ仕事は大好きです。本当は、もっともっと仕事をしていたい。

けれど、今はあえて仕事をフルでは入れていません。感覚的には8割というところでしょうか。それ以上は仕事を詰め込まないようにしています。

そこは、やはり家族との生活を第一にしているからです。子どもが生まれた時に「仕事は8割」というマイルールを決めました

私がいっぱいいっぱいになると、仕事でもパフォーマンスを発揮できなくなるし、不機嫌になってしまう。そうすると、お客さんにとっても家族にとっても、私にとってもハッピーではなくなります。

だから、「これ以上は8割を超えてしまうな」と思ったら、他のメンバーに相談するか、どうしてもダメなときはお断りさせてもらっています。

でも、この制限もいつか解除するときがくると思っています。いま4歳と7歳の子どもたちが大きくなって、ある程度自立したら。それはそれで楽しみですね。やっぱり仕事が大好きなので。

「好きなことを仕事にする」ことをカヤックで学んだ

若いころは仕事人間ではありましたが、仕事が大好きで、楽しくて仕方がない、というわけではありませんでした。あくまで仕事は地方から上京してきた私が東京で暮らし続けるため、そして自分のキャリアのためにするものでした。

そんな仕事観が変わったのは、面白法人カヤックとの出会いでした。

当時カヤックで出会ったメンバーたちは、おのおの好きなものややりたいことを仕事にしていました。「やりたいことを仕事にしていいんだ!」「こんなもの作ってみたいというものを実際に作っていいんだ!」と気づかされたんです。

気づくと10年も在籍していましたが、独立し、起業して始めた今の仕事も、その延長にあります。私自身がこういうライフスタイルが広がるといいな、こういう生き方いいな、と思い描いたものをサービスにしたいと思っています。

自分がいいと信念を持って思えるものをみんなに伝えることが仕事になっているから楽しいんでしょうね(笑)。

この原点は、間違いなくカヤックにあったと思っています。

「なんでも」はできないと自覚する

コロナによるパンデミックが起きて、ポートランドでは保育園が通常通り通えなくなり、小学校はこの春まで1年間、オンライン授業でした。そこでこの1年、ひとつやめたことがあります。「朝起きて朝食をつくること」です。

私は昼間は家事育児、日本との時差の関係で夜に仕事をするという生活リズムなので、どうしても寝る時間が遅くなってしまいます。もともとロングスリーパーということもあって、朝早く起きるのはつらい。

だから、「お母さん、朝は起きません」と宣言しました。朝ごはん作りは夫や長男が担当し、1 限目のオンライン授業も夫に任せました。

先ほども言いましたが、不機嫌にならないことを心がけるようにしています。アメリカ移住後は家で仕事をしているから、家庭と仕事の境目がなく、余計に仕事のイライラをそのまま家庭に持ち込みやすい状況です。

コロナのような予想外の出来事に遭遇することもあるし、仕事でも家庭でも、自分のキャパシティーを超えて無理をすると、そのぶん疲れやストレスがたまります。

「しっかり暮らす」ことを大切にしているから、本当は朝食も大事にしたいところなんですが、なんでもはできません。自分と家族がハッピーでいるために「なんでもやる」はやめました

週に1回は自分の身体と向き合う

あとは、生活の中で「体を動かす」ことは心がけています。仕事も家庭生活もやっぱり身体が資本ですからね。

日本にいたときにお世話になっていたトレーナーが、コロナ禍でオンラインのトレーニングを始めてくれたので、週に1回ですがちゃんと自分の身体を向き合う時間を持っています。

ほかには、ちょっとしたことですが、「子どもたちと毎日外で遊ぶ」ことも決まりごとにしています。晴れの日はもちろん、多少の雨くらいなら出ちゃいます。男子2人だから、付き合うのは本当に大変ですけどね(苦笑)。

子どもたちとの時間を持つという意味合いもあるし、子どもたちの健やかな成長のためでもあるし、自分の健康のためにもいいことだと思って続けています。

海外移住はいいことも大変なことも想像をはるかに超える

ライフハッカーの読者の方には海外移住に興味を持つ人も多いと思いますが、理想は持ちすぎないほうがいいと思います。行く前、住む前にいくら想像を膨らませても現実はそうはならないからです。

素晴らしい経験もたくさんできるけれども、そのぶん大変なことも多い。そのどちらも想像を超えていくというのが私の正直な感想です。

どちらかというと、あまり物事を深く考えない人のほうが向いているかもしれませんね(笑)。起業も同じですが、考えすぎるといろいろなリスクとか、「やらないほうがいい理由」を見つけるほうが「やる理由」を見つけるよりも簡単なんです。

それよりは、「移住したいから移住する」「事業をやりたいから起業する」という欲求に対して、素直に行動する人のほうが向いていると思います。

帰国については臨機応変に対応

今後については明確には決めていませんが、将来的に日本に帰国する可能性はあります。そこは子どもたちと相談しながら考えたいと思っています。

今回は子どもが判断できる年齢になく、私たち親が連れてきたので、子どもの成長に応じて戻ったほうがよさそうだったり、本人たちの希望だったりを踏まえながら考えていきたい。

あとは、私の仕事の関係で日本に戻ったほうがよさそうだと判断したら、私ひとりで戻る可能性もゼロではないと思います。そこも子どもたちの成長を見極めながらということになりますが、夫とも相談しながら柔軟に考えていこうと思っています。

My Favorite

松原さんアイテム

松原さんが仕事中に手放せないのがAirPods。オンライン会議でも、また音楽を聴いて一息つきたいときも大活躍。また、仕事中の飲みものは20年以上コーヒーを愛飲していましたが、夜中に飲みすぎると睡眠に支障をきたすことからカフェインレスのハーブティーに。ポートランドにある「スミス」というブランドがお気に入りだそうです。


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