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ジョフ・ベゾスとアダム・グラントが考える「本当に頭が良い人」

author 訳:伊藤貴之
ジョフ・ベゾスとアダム・グラントが考える「本当に頭が良い人」
Image: GettyImages

私がもっとも頭が良いと思っている人は、表面的にはそれほど頭が良いようには見えません。

彼女は 「〜と私は思う」とか、「〜ように見える」「~であることを示している」などの断定的ではない表現をよく使っていました。

意見を求められると、自信なさそうにしながら、何度も聞き手の反応を確かめたり、自分の考えを言う前に相手に意見を求めたりしていました。

また、彼女がすぐに自分の立場を変えてしまうのも、頼りなく見えたものでした。新しい事実が判明すれば判断を変え、状況が変われば戦略を変え、アジェンダが変われば戦術を変えました。彼女は考えをすぐに変えてしまうのです。

しかし、やがて私はこうした行動の裏に、驚異的な知性が隠されていることに気づきました。彼女はただ頭の回転が早いだけでなく、本当の意味で頭が良かったのです。洞察力があり、俊敏で、賢い。物事についても、人間についても本当によく理解していました。

そしてさらに時間が経つと、彼女の振る舞いが、驚異的な知性の特徴でもあることを知りました。

能力が低い人ほど、自分のことを実際より賢いと考える

ダニング・クルーガー効果と言われるものがあります。社会心理学者のデビッド・ダニング氏とジャスティン・クルーガー氏が提唱した認知バイアスの一種で、能力が低い人ほど、自分のことを実際よりも賢く、スキルが高いと考える傾向のことを言います。

そして、あまり言及されることはありませんが、この効果の裏返しとして、能力が高い人ほど自分の優秀さを過小評価する傾向がある、というものがあります。

能力の高い人は、自分の能力を過小評価する傾向があり、同時に、自分にとって簡単な仕事はほかの人にとっても同じように簡単だと思い込んでいます。また、頭が良い人ほど、自分は物事をあまり知らないと考えています。自分が知らないことがたくさんあることを知っているからです。

だからといって、彼女がインポスター症候群に陥っているというわけではありません。インポスター症候群とは、高度なスキルを持ち、大きな成功を収めていることを示す証拠があるにもかかわらず、自分は無力で平凡な人間だと思い込んでしまうことを指します。

心理学者のアダム・グラントは著書『Think Again』で次のように書いています。

本当に頭が良い人が自分を疑い続けるのは、インポスター症候群だからではありません。彼らが疑うことをやめないのは、人は誰もが部分的に盲目であることを知っているからであり、少しでも見えるようになりたいと切に願っているからです。

彼らは、自分がどれだけ知っているかに満悦するのではなく、自分がどれほど知らないかに驚嘆するのです。

彼らは、答えにたどり着くたびに新たな疑問が生まれることを、知識の探求に終わりはないことをわかっています。

生涯学び続ける人は、出会ったすべての人から何かを学べることを知っているのです。

ひんぱんに考えを変えていたといっても、彼女が優柔不断で自信がないというわけではありません。

Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏は次のように言っています

最も頭の良い人たちは、自分の考えを常に見直し、すでに解決したと思っていた問題についても考えることをやめません

そうした人たちは、新しい視点、新しい情報、新しいアイデア、矛盾、自分の意見への異議申し立てに対して常に心を開いています。

強い意見を持ちながらも、それに固執はしない

ベゾス氏にとって、思考の一貫性は決してポジティブな特性ではありません。

ベゾス氏は周囲の人間に、新しいデータ、新しい分析、新しい視点を求め、スタンフォード大学の Bob Sutton教授が言うところの 「強い意見を持つが、それに固執しない」ことを勧めています。

なぜなら、知性とは、確実性のなかに見つかるものではないからです。知性とは、自分は多くのことを知っているかもしれないが、知らないこともたくさんあるということを知っていることなのです。

知性とは、正しくあろうとすることではなく、何が正しいのかを見つけ出そうとすることです。

知性とは、自分が間違っていることに気づき、丁重に身を引くことなのです。

本当に頭が良い人は、間違うことを恐れません。本当に頭が良い人は、自分がすべての答えを持っていないと認めることを恐れません。本当に頭が良い人は、「私は知っている」ではなく「私はこう思う」と言うことを恐れません。

アダム・グラント氏は「傲慢さは自分の弱点を見えなくします。謙虚さはミラーレンズであり、弱点をはっきりと見せてくれます。自信に満ちた謙虚さは矯正レンズであり、弱点を克服する力を与えてくれます」と書いています。

謙虚さがあれば、知っていることしか知らない、という事実を受け入れることができます。

自分が知らないことは、ほかの誰かが知っています。

少なくとも、今のところは。

Source: Wikipedia(1,2), Amazon

Originally published by Inc. [原文

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