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成功者とそうでない人との差は「思考習慣」にあり。危険なタブロイド思考とは?

成功者とそうでない人との差は「思考習慣」にあり。危険なタブロイド思考とは?
Photo: 印南敦史

あらゆることが複雑に絡み合う現代社会において、「正解」を見つけ出すのは簡単ではありません。

その点について、『東大教授の考え続ける力がつく 思考習慣』(西成活裕 著、あさ出版)の著者は次のように述べています。

東京大学在学中、周囲の東大生の頭のよさに圧倒されつつ、彼らがよく口にする「考えればわかる」ということばのなかから実感したことなのだそう。

頭がよい人は、ただ「考える」だけでなく、「考え続けている」のです。

これは、筋トレやマラソンのような運動と同じで、鍛えれば鍛えるほど力がつく「考える体力」とも言えます。

何か問題に直面したとき、考えることをやめてしまえば、そこで終わりです。 しかし、考え続けている限り、思考は広く、深くなり、最良の答えに近づくことができます。

さらに考え続ければ、その答えをどんどん発展させていくこともできるのです。(「はじめに」より)

著者はこうした考え方に基づき、考え続けるために必要な「7つの考える力」を「思考体力」と名づけたのだとか。

そして自身も、思考体力を鍛え、思考体力を使って考え続ける「思考習慣」を身につけることができたのだといいます。

そこで本書では、「思考習慣」に必要な“7つの考える力(思考体力)”について説いたうえで、それぞれの力をどのような場面で、どのように組み合わせれば役に立つのかを解説しているわけです。

きょうはそのなかから、第3章「『情報』に惑わされない思考習慣」に注目してみたいと思います。

思考が単純化する「タブロイド思考」をやめる

考えることが面倒だという人は、問題が起きても適当に判断し、早く落としどころを見つけようとするもの。

「タブロイド思考」といわれるこのようなタイプは、複雑なことを一切考えない頭になっている可能性があるそうです。

タブロイド紙というのは、普通の新聞よりも少し小さめの、駅の売店などで売っている新聞のことです。

大きな文字のセンセーショナルな見出しが特徴で、世間で話題になっていることを1〜2段くらいで分かりやすくまとめています。

このように、情報発信者が背景などを省略して短くまとめた文を正しい情報としてそのままインプットしてしまうのが、「タブロイド思考」です。

「多段思考」や「微分思考」とまるで正反対の「単段思考」と言ってもいいでしょう。(80ページより)

たとえば、スマホに表示されたニュースのヘッドラインや、テレビのテロップを鵜呑みにしてしまうのも単段思考。内容も確かめず、見出しや結論だけをみて事実だと受け取るのは、判断を人任せにしているのと同じだということです。

しかも著者によれば、「単段思考」に慣れた人は、その単純な考え方が当たり前になっていくもの。とはいえ、複雑なことを考え続けることなく物事を単純化してしまうと、いい結果には結びつかないでしょう。大事なポイントがわからなくなるだけでなく、誤解を生じさせてしまうことにもなるからです。それは、とても危険なこと。

ちなみに単段思考をやめる方法のひとつとして、著者はプログラミングを勧めています。

プログラミングは、コードをひとつでも間違えたらバグ(コンピュータプログラムの欠陥)が出てしまいます。バグが発生するとプログラミングが滞り、先へ進めなくなります。したがってそんな場合は、どこが間違っているのか確認し、バグを取り除く「バグ取り」をしなければならないわけです。

つまりプログラミングをすると、バグが発生するたびに問題点へ立ち返り、「なぜ間違えているのか」「どこを間違えているのか」を考えることが可能。バグ取りを繰り返すと、大事なポイントを見極めるいい練習になるのです。(80ページより)

「事実」と「意見」を分けて考える

ここで1つ、あなたに質問です。 「AIに仕事を奪われる」「AIに人間が負ける」といった話題がメディアで取り沙汰されたとき、あなたは「ヤバいな。自分は大丈夫かな?」と思ったでしょうか? それとも「そんなわけないでしょう?」と、少しでも疑ってみたでしょうか?(83ページより)

著者いわく、人の意見をすぐに信じてしまう時点で、前者は思考体力ゼロ。一方、後者には「疑い力」があるため、思考体力の第一段階をクリアしているそうです。

しかし本当に大事なのはそのあとで、「AIに仕事を奪われる」という情報の事実確認を行ったかどうか。

次のステップで「事実」と「意見」を分けて考えることのできる人は、「疑い力」があり「微分思考力」を使える人。どこまでが「事実」でどこからが「意見」なのか、判断するためにエビデンスを確認するということです。

「意見」は誰でも自由に口に出せるものですから、簡単に信用すべきではないでしょう。一方、「事実」は疑いようのないものです。

上記の問題についても同じで、専門家の研究データなどをリサーチし、エビデンスを確認した人だけが、「AIが人間と同じ思考を身につけるのは到底無理だ」とわかるわけです。AIは限られた処理能力しかなく、現実に起こる状況すべてに対処することはできないから。

つまり、これはすべての物事に当てはまる考え方であるわけです。

「意見」だけでも許される仕事は、テレビのワイドショーに出ているコメンテーターのように、主観的な意見を求められる特殊なケースだけです。

ビジネスにおいては、個人の主観や意見だけで安易に物事を判断しないように気をつけましょう。(86ページより)

ビジネスと客観的に向き合ううえで、これはとても重要な考え方だと思います。(83ページより)

成功者とそうでない人との差は、「思考習慣」が身についているかいないかの差。そういっても過言ではないと著者は主張しています。

たしかに思考習慣を身につけられれば、さまざまな問題を解決するために役立ちそう。そこで本書を参考にし、思考のポテンシャルを高めていきたいところです。

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Source: あさ出版

印南敦史

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