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困った部下がいつも即戦力になる人の「うまい言い方」

困った部下がいつも即戦力になる人の「うまい言い方」
Photo: 印南敦史

「あんなに言ったのに、相手(部下や後輩)に伝わっていない」というようなことがあるものです。しかしその一方には、「あの人、言い方がうまいよね」と慕われる人がいます。

両者の違いは、いったいなんなのでしょうか?

自分で考えて動く部下が育つすごい質問30』(大塚 寿 著、青春出版社)の著者によれば、それは「『言い方』を知っているか否か」なのだとか。

つまり両者の違いは、「知っていれば誰でもできる、再現性の高いスキルの有無」にあったということ。「キャラ」の問題ではないわけです。

具体的には、言葉のかけ方を「質問」にするのがポイントです。 私たちは、いい質問をされると脊髄反射のように思考回路が回り始めます。「考えるな」と言われても考えたくなり、動き出したくなります。

この特性を、部下育成に利用しない手はありません。 令和の部下育成、マネジメントで成果を上げている人が多用しているのは、“質問スタイルの言葉がけ”だったのです。(「はじめに」より)

そこで本書では、ビジネスシーンでの頻度が高い順に、30の育成場面について「できる人ほどつい出ちゃう残念な言い方と、その理由」「『自分で考え、動く』を引き出す言い方(「すごい質問」を使った言葉のかけ方)」を紹介しているのだそうです。

きょうは4章《「あの人、うまいよね」と言われる神ワザ》「『困った部下』が戦力になる すごい質問」のなかから、よくあるケースをひとつピックアップしてみたいと思います。

「間に合いません」と平気でいう人に

NG

できる人ほどつい出ちゃう残念な言い方 「納期厳守もできないって、学生じゃないんだからさ」

「小言」や「文句」に聞こえてしまい、逃げられがち

締め切り間際で、できていないにもかかわらず焦っている様子がないーー。そんな部下や後輩に悩んでいる上司もいらっしゃるのではないでしょうか。

こういう部下や後輩は、自分の仕事を「点」でしか見ていないもの。そのため、他の人より作業が遅れているということにも気づけないわけです。つまりは、責任ある仕事をしているという意識が欠けているということなのでしょう。

したがって、叱責したり警鐘を鳴らすのではなく、まずは本人の頭で考えさせない限り、その行動が変わることはないと著者は指摘しています。では、どう伝えればいいのでしょうか?

もっとも基本的な言い方としては、 「『間に合わない……』か……。どうしようかね……。○○さんが間に合わないと、その後どうなるのかね?」 と質問して、間に合わなかった場合、後工程を担う人がどうなるのか、どうするのか、○○さんのことをどう思うのかを本人に想像させましょう。(164ページより)

この回答を聞いて、迷惑をかけていることに本人が気づいたならば、その後に、 「どうすればよかったか」を考えさせるべきだということです。(163ページより)

修羅場を経験させる

「そんな程度では生ぬるい」「その程度のことはすでにやっているが、効果がない」ということもあるでしょう。そんな場合は、「その後、トラブルが起きても上司が収集できる自信がある場合」という条件つきで、別の手段も使えるようです。

俗にいう「修羅場を経験させる」方法であり、こうしたタイプの部下や後輩の行動変容に大きな効果をもたらしてきた方法。こうした場面でなくとも、業界によっては、人を一皮むけさせるのに最適なやり方だと言われているのだそうです。

例えば、この場面では、 「『間に合わない……』か……。そっか。

それじゃ、とにかく、後はよろしく」 と、本人に任せてしまいます。(165ページより)

後工程を担う部門からの集中砲火を部下に浴びさせ、顧客から出入り禁止されるとしても、部下をその矢面にひとりで立たせるということ。事態が炎上しようが、その事態の収束を本人ひとりに任せるわけです

「それでは無責任すぎて、自分のマネジメントスタイルに合わない」というのであれば、

「いい機会だから、後工程まで全部ハンドリングしてみようか」(166ページより)

という言い方にすることも。質や後工程を担う部門から集中砲火を浴びるところをはじめ、さらなる修羅場を経験させないと、そうした部下や後輩の行動変容は起きないといいます。

いずれにせよ、この方法が荒療治であることは事実。そこで本人には気づかれないようにしながら、裏で関係部門や顧客に「部下を育てるため」と根回ししたり、事態収集のためにフォローしておくことも必要かもしれません。(165ページより)

最後に、今回ご紹介した3つの言い方をまとめておきましょう。

「自分で考え、動く」を引き出す言い方

「『間に合わない……』か……。どうしようかね……。○○さんが間に合わないと、その後どうなるのかね?」

間に合わないことで、誰がどんな迷惑をこうむるのか想像させる

「『間に合わない……』か……。そっか。それじゃ、とにかく、後はよろしく」

修羅場を経験させる

「いい機会だから、後工程まで全部ハンドリングしてみようか」

修羅場を経験させる (167ページより)

本書で紹介されているメソッドは、必要に応じてアレンジすることが可能。それらを活用すれば、これまで物足りなかった新人や部下が、自分で主体的に考えて動くようになると著者は太鼓判を押しています。

もちろん、すでに優秀な部下はさらに能力を高めることができるようになるはず。部下での伝え方で悩んでいる方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?

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Source: 青春出版社

印南敦史

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