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ビジネス書にモヤモヤしてきた人に。伊藤羊一が語る自分自身を突破する方法

ビジネス書にモヤモヤしてきた人に。伊藤羊一が語る自分自身を突破する方法
Photo: 印南敦史

デジタルの力によって、人とつながることは容易になった。とはいえ、誰もが他人と“いいつながり”をつくれているわけではない。

他者との間で足りないところを補い合い、自分の力を存分に発揮できている人ばかりでもない。しかしそれでは、モヤモヤがたまっていくだけーー。

職場で、人前で自分を出せない人のための ブレイクセルフ 自分を変える思考法』(伊藤羊一 著、世界文化社)の著者は、多くの人の心のなかにあるであろう、そんな思いに焦点を当てています。

本書も、「いままでたくさんのビジネス書や、自己啓発書を読みながら、モヤモヤをつのらせてきた人」のために書かれているのだそうです。

あなたにも、表現することはある。あるに決まっている。 あなたは、他の誰でもないあなたである。 あなたが自分の中にあるものを表に出せば、それは世界にひとつしかない、世界をよりよく変えていくための貴重な種になるのだ。

だから、表現しよう、アウトプットしよう。

あなたにもアウトプットするべきものは、たくさんあるし、できる。(「はじめに」より)

「ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長」という肩書きを持つ著者は、“表現者”としての自覚を持って仕事に臨んでいると記しています。

幾多の苦しみを乗り越えつつ、なんとか自分を生かそうとしてきたからこそ、結果的にそう断言できるのでしょう。

本書で「モヤモヤしている人は、とにかくステージに立とう」と読者を促しているのも、おそらくは自分自身のなかにそんな経験値があるから。

そうした考え方に基づく本書の第1章「羞恥心をブレイクせよ」のなかから、2つの要点を抜き出してみたいと思います。

人から学ぶしかない

なにかをアウトプットするためには、その前の段階であるインプットが必要。

素材がなければ表現はできませんし、そもそも自分がどんな個性や価値を持っているのかを知るためにも、まずは他人について知らなければならないからです。

ところでインプットといえばすぐに思い浮かぶのは、本を読むことではないでしょうか。

しかし、かつての著者は本を読んで学ぶことが苦手だったのだそうです。読むことはできるものの、“そこからなにかを学ぶ”ということがわからなかったというのです。

そのため「だったら別の学び方をするしかない」と考えた結果、気づいたのは「人から聴く」ことの重要性。「人から教えてもらうことは学びになる」という実感があったからなのだそうです。

とにかく自分は、聞かないと学べなかった。人の話から学ぶことは大きい。それが僕の基本スタンスになった。

本よりも人から聞いて学ぶこと、これがインプットとして重要だった。(22ページより)

ところが不思議なことに、人の話を聴き続けているうち、次第に本からも学べるようになったのだといいます。

さらには、「本から学べなかったのは、その内容を文字どおり“インプット”しようとしていたからなのだ」ということにも気づいたのだそうです。

いいかえれば、「理解して頭に入れたい、覚えたい」と考えていたのだ、とわかったと。

本から学ぶというのは、内容を覚えることではない。

読みながら、「え、そこはそうくるの?」「なるほど、でも、俺は違うんだよね」「そうそうそう、わかる!」……という具合に、本と対話することだ。

本の内容をそのまま頭に入れるのではなく、主体的に自分と関連付けていくことだ。(23〜24ページより)

人と対話しながら学んできた結果、本からも学べるようになったということなのでしょう。(20ページより)

自分と違うから価値がある

若いころの著者のなかにあった「人の話から学ぶ」について、もうひとつ書き添えておくべきことがあります。

「人から学ぶしかない」と思ってやってきたとはいえ、「自分が学ぶべきはこういう人だ」というように選別したわけではないということ。

選り好みをしたのではなく、「自分以外の全員から学ぼう」という感覚だったというのです。

最初は、自分はダメだから「みんな俺よりはすごいのだ」と思っていたのだといいます。しかし、それも間違いだとやがて気づくことになったのだとか。

自分よりすごいとかすごくないではなく、自分と他人とは違うということを実感したわけです。

自分と他人が違うとは、他人は自分とは違う経験は知識、感覚を持っているということにほかなりません。つまり、それは自分にとって価値のあること。だから、自分以外の全員から学ぼうという発想。

そしてそう思い至った結果、「だったら、自分だって人の役に立てることがあるはずだ」と思えるようになっていったということです。

だから、僕は「すごい人」と「すごくない人」がいるという感覚は受け入れられない。

僕がすごいのだとしたら、みんなすごいのだ。みんながすごくないとしたら、僕もすごくない。 それぞれがオンリーワンであるからこそ、人から学び意味は大きい。(28ページより)

それは、誰もが自分の思いや考え方を口に出していい、行動で表していい、それらにはすべて価値がある。ということでもあると著者は主張しています。

これは、シンプルなようで気づきにくくもある、しかし、とても重要なことなのではないでしょうか?(26ページより)

「誰のなかにも表現すべきものがある」と確信する著者が本書で伝えているのは、「自分自身がどうやって表現者になったのか」ということだけ。

つまり読者に対して、自分の答えを見つけるための「問い」を投げているにすぎないのです。

したがって、著者のことばに耳を傾けることは、自分の内部に渦巻くモヤモヤを解消するきっかけになるかもしれません。それどころか、自分にしかできない表現を見つけ出すきっかけになる可能性も充分にあります。

なかなか消えないモヤモヤを解消するために、手にとってみてはいかがでしょうか?

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Source: 世界文化社

印南敦史

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