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印南敦史の「毎日書評」

これからのリーダーに必要な「組織・チーム」の動かし方

author 印南敦史
これからのリーダーに必要な「組織・チーム」の動かし方
Photo: 印南敦史

これからのマネジャーは邪魔をしない。』(石倉秀明 著、フォレスト出版)の著者は、労働環境が激変する状況下において、旧来のマネジメントが通用しなくなりつつあることを指摘しています。

これまでのマネジメントは「同一の価値観」「同じ場所」「同じ時間」「同じ雇用形態」を前提に考えられてきたものなので、当然といえば当然かもしれません。

しかしいずれにしても、そんななかで “これからのマネジメント”に関わる問題について迷っている方も少なくないはず。

それらを解決するには、部下やスタッフを変えるのではなく、マネジャーや経営者が考え方を変えていく必要があると思います。(「はじめに これからのマネジャーがやるべきこと」より)

リクルート、リブセンス、DeNAでマネジャーとして働いてきたのち、現在は700人のスタッフほぼ全員がリモートワークで働いているという「株式会社キャスター」を経営している人物。

創業6年半のスタートアップではあるものの、ほぼ全員がリモートワークで働く会社としては国内最大規模となり、3年連続で年率数百%の成長を実現させているのだといいます。

と聞くと華やかそうにも思えますが、実際にはマネジメントの失敗も多数経験しているそう。そこで、「だからこそ伝えられる話がある」という思いから、本書を執筆したのだそうです。

とはいえマネジメントのノウハウや生産性を上げる方法が紹介されているわけではなく、あくまで重点が置かれているのは、これからの時代に必要なマネジメントの考え方。

きょうはそのなかから、第4章「これからのチーム・組織のあり方」に注目してみたいと思います。

ルールではなく、文化をつくる

会社経営はルールで縛るものではなく、文化でつくるものだと著者は考えているそうです。

たとえば社内にゴミが落ちていたとき、それを拾うかどうかはルールではなく、社内の文化の問題だということ。

私は会社をひとつのコミュニティのようなものとして捉えています。

同じ会社にいたとしても、各人の生活スタイル、価値観、行動の仕方、モチベーションなどはすべて異なります。

以前よりもその傾向は強くなったと思われますし、今後はさらに強くなっていくでしょう。

そういう意味では自治体などのコミュニティに近いと感じます。(147ページより)

たとえば同じ自治体にいても、住んでいる理由はさまざまであり、生活スタイルも仕事も違います。

とはいえ、ゴミの捨て方や施設の利用方法など、コミュニティとして最低限のルールはあるもの。会社も同じだということです。

つまりリーダーは自治体の首長のようなもので、誰もが満足でき、その地域に住み続けられるかを考える必要があるということ。そのためには、住民に責務を果たしてもらいつつ、各人の生活を阻害しないことが重要だという考え方なのです。

ポイントは、文化をつくりたければ誰かが最初に行動を始めなければいけないということ。

だとすれば必然的に、その文化をつくりたいと思っているリーダーが率先して行動すべきでしょう。

したがって、文化の形成においてリーダーは上に立つ人ではなく、前に立つ人でなければならないのだと著者は主張しているのです。先頭に立って行動するからこそ、メンバーはあとに続いてくれるのですから。(146ページより)

「仕事」ではなく「ライフ」を優先させる

著者はよく「これからは、仕事以上に『ライフ』を充実させることが重要になる」と説いているそうです。もちろん、ここでいうライフとは、仕事以外の時間のことを指します。

リモートワークが浸透したことで、ライフが変化した人も多いことでしょう。だとすればスタイルがどうであれ、ライフを優先した働き方をすればいいという発想。

リモートワークになると、通勤時間がなくなります。 平均的に考えて、往復で2時間程度は時間が浮くわけです。

月〜金で1日2時間浮くと、月で40時間浮くことになります。その時間で何をするかが重要です。(151ページより)

著者自身も家族の誕生日にも有給をとったりすることがあり、「子どもを迎えに行く」のでいまから抜けます」などと勤怠管理チャットに投稿することもあるそうです。

チームを率いる人がそういうことを普通にやっていると、メンバーもそれが許されることを自然に理解できるわけです。

そこで、「ライフを優先していい」ということをリーダー自身がメンバーに行動で示すことが重要なのだということです。

ところで著者は、「チームをよくする責任はメンバー全員にある」と伝えているのだといいます。

なぜなら、リーダーや経営者がどれだけがんばっても、各メンバーそれぞれが「チームをよくしよう」としなければ、なかなか改善されないから。

これもマンションなどを例にするとわかりやすいかもしれません。どんなマンションであれ、ゴミ捨て場所・時間などのルールがあり、全員がそれを守ることで生活空間が快適に保たれています。

管理人さんがどんなに頑張ろうが、住人がルールを守らなかったら意味がありません。

会社も人間の集まりである以上、それぞれの行動によって快適さが決まります。環境を良くできるか否かは参加者一人ひとりの自覚と行動なのです。(153〜154ページより)

自分も集団の一員として責任を担っているということを、忘れるべきではないわけです。

そのため著者は、「会社、組織をよくする責任はメンバー全員にある」と強調しているのです。(150ページより)

個人が多様な働き方を選べるようになったからこそ、マネジメントする側が変わっていかなければならないと著者はいいます。

これからの時代に合わせた新たなリーダー像、マネジャー像を1から考えてみるタイミングに差し掛かっているとも。

だからこそ本書を参考にしつつ、「リーダー、マネジャーとしての自分はこれからどう進んでいくべきなのか」を改めて考えてみるべきなのかもしれません。

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