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印南敦史の「毎日書評」

監視ではなく信頼する。リモートチームに欠かせない「2つの心得」

author 印南敦史
監視ではなく信頼する。リモートチームに欠かせない「2つの心得」
Photo: 印南敦史

新型コロナの影響でリモートワークは急速に浸透しましたが、そのぶん従来の仕事の進め方ではうまくいかないことも増えてきたはず。

事実、「どうやってリモートチームと向き合い、仕事を進め、マネジメントしていけばいいのか」というような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

まわるリモートチームのマネジメント術』(飯田 剛弘 著、明日香出版社)の著者は、日本のIT企業や外資系製造企業で働いてきたという人物。

その過程においては計10数年、アメリカやドイツ、韓国、東南アジア諸国、オーストラリアなどにいるリモートチームと仕事をしてきたのだそうです。

どの国でも、商習慣や価値観の違い、情報不足などから、関係者との意見の対立や衝突、想定外のことは頻繁に起きたのだとか。

その結果、「物事がスムーズにいかない」のは世界の常識だとさえ思うようになったと振り返っています。

そういった経験から、リモートで多様なメンバーと仕事をする上で、目的や目標、成果の明確化や数値化、コミュニケーションの大切さなど多くを学びました。

多様なメンバーと仕事をする上では、業務の標準化や仕組みづくりなどが必要不可欠です。

また多様な視点や考え方を尊重する大切さも学びました。(「はじめに」より)

つまり著者は、国や年齢、性格、経験や実力などが違うさまざまなメンバーと協力しあい、結果を出すためのマネジメントに注力してきたのです。そこで本書においては、自身が学んできたこと、見聞きしてきたことなどを紹介しているわけです。

きょうは第1章「リモートチームで働くための心得」のなかから、2つを抜き出してみたいと思います。

「絶対うまくいく」方法はない

リモートワークを行うにあたり、「これが絶対うまくいく」という方法はないといいます。なぜなら「最適なやり方」は、企業やチームメンバー、テクノロジーの進化、そのときの状況によって変わるものだから。

たとえば著者が外資系企業に勤めていたときも、アメリカやヨーロッパにいるチームとウェブ会議をする際には、ビデオをオンにして、顔を見せ合いながら話すことがほとんどだったそう。

一方、アジアのチームとのミーティングではビデオをオンにすることはあまりなく、画面共有しながら話し合うことが多かったのだといいます。もちろん、参加する場所もさまざま。

リモートチームとうまく仕事を進める方法は、業務の内容や職種によって違ってきます。

また、一人で完結する仕事をしているのか、チームで進める仕事が多いのかなど、役割の複雑さによっても違います。

チームメンバーといつでも会えるのか、飛行機や新幹線などで移動しないと会えないのかによっても対策は変わります。

さらにライフステージによっても違います。

妊娠中のメンバー、育児や介護を行うメンバーがいれば、急遽スケジュールを調整し、仕事の進め方を変える必要もあります。(19ページより)

私たちはともすると、「リモートワークかオフィス勤務か」というようにゼロかイチのような2択で考えてしまいがち

しかし大事なのは、働き方のひとつの選択肢としてリモートワークがあると捉える視点を持つこと。

どの程度リモートワークをするかによって、仕事の進め方やチームとの関わり方も当然変わってくるものです。

したがってチーム内で話し合い、試し、もっとも成果を出す手段を見つけていくこと、そしてそれを常に改善していくことが大切だというわけです。 (18ページより)

監視ではなく、信頼するからうまくいく

リモートワークをしようというとき、とかく経営者や管理者は「社員やチームが仕事をサボるのではないか」と心配してしまうもの。

たとえばメールやチャットのメッセージを送ってもすぐに返信がなかったり、電話に出なかったりすると、つい不信感を抱いてしまったりするわけです。

そのため、画面やキーボードの操作ログを監視したり、ビデオカメラをオンにして相手の状況をチェックするなど、「サボらないように、監視するほうがいいのでは」と考える人もいるかもしれません。

しかし逆の立場で考えれば、当然のことながら監視などされたくないはず。

そもそも、サボる人はオフィスにいてもサボるものなのです。オフィスにいるからまじめに仕事をしているという保証はなく、むしろ信頼関係のなさ、職責や評価が明確でないなどの問題が、リモートワークによって浮き彫りになっただけのこと。

上司の仕事は、部下を監視することではありません。

価値を生まない監視や管理に時間を使っていれば、あなただけではなく、メンバー全員の生産性を落としかねません。

リモートワークは性善説にたって、マネジメントをしましょう。(33ページより)

期待する成果を明確にし、しっかり締め切りを設定した仕事の進め方をするのであれば、メンバーを監視しようという発想にはならないのではないでしょうか。

チームやチームメンバーが相談したいとき相談に乗れるように、コミュニケーションできる体制や仕組みをつくっておくことこそが重要なのです。

チームで仕事をする上で、相手を信用できるかどうかは、プロとしての姿勢も大事ですが、成果を出せるかどうかです。(34ページより)

相手のことを信じられず、監視しないと不安になるのだとしたら、それはチームの仕事をきちんとマネジメントできていないということでもあります。したがって、信頼関係も築けていないということにもなります。

しかし、それでは本末転倒。まずはお互いに密接なコミュニケーションをとりながら、協力し、成果を出していくことを意識すべきなのです。

また、ひとりで仕事が進められない社員に対しては、リモートワークがどうだという以前に、仕事を最低限進められるような教育を施すことも不可欠。

そのうえでチームビルディングなども行いつつ、仲間意識を高めていくべきだといいます。(32ページより)

ツールの使い方の説明ではなく、チームで仕事をうまく進めるために、「なにをすべきか、なぜするのか」を中心に据えた内容。そのため本書を活用すれば、リモートチームと協働して、チームとして成果を出せるようになるわけです。

それだけでなく、もちろんオンラインでも信頼関係が構築でき、助け合いながら仕事を進められるようにもなるだろうと著者はいいます。

自分やチームの望むライフスタイルを実現するためにも、参考にしたいところです。

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Source: 明日香出版社

Photo: 印南敦史

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