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科学的に根拠あり。効率的な2つの勉強法

科学的に根拠あり。効率的な2つの勉強法
Photo: 印南敦史

「頭に入らない」とか「集中できない」とか、あるいは「やる気が出ない」とか。

他にも理由はいろいろあるでしょうが、「勉強はどうも苦手だな」と感じている方は、決して少なくないはずです。

絶対忘れない勉強法』(堀田秀吾 著、アスコム)の著者によれば、それは勉強のやり方が間違っているから。

しかも現在、絶対的に正しいと断言できる勉強法はきちんと確立されていないのだとか。

そこで、私は、記憶術や適切な学習スケジュール、モチベーションの高め方など、勉強に関する世界中の科学論文のリサーチをスタートしました。

心理学、脳科学、教育学、言語学など、勉強に関わる幅広い分野を網羅したつもりです。(「はじめに」より)

つまり明治大学法学部教授である著者は、勉強の指標として「そのやり方には科学的に根拠があるか」を重視しているのです。

そのため本書においては、優秀な学者によって書かれたもの、学術誌で査読を経たもの(専門分野の学者による審査に合格したもの)を取り上げているといいます。

「覚えられない」「すぐ忘れてしまう」「やる気が起きない」「飽きてしまう」「成績が伸びない」「実力が発揮できない」など、さまざまな悩みに対応した勉強法が紹介されている点も魅力。

きょうは「効率」に焦点を当てたChapter 5「効率が悪いのですが、どうしたらいいですか?」のなかから、2つのポイントをピックアップしてみたいと思います。

夜より朝に勉強したほうが定着率は上がる

仕事前の朝か、仕事終わりの夜か、それとも子どもが学校に行っている昼か……。どの時間帯に勉強するかは、とても大きな問題。

勉強する時間がインプット効率や記憶の定着率を左右するのだとしたら、より効率のよい時間を知り、その時間帯に勉強したいと考えるのは当然です。

そこで、ここで著者は東京大学の清水氏らの研究を紹介しています。

【実験内容】

マウスの、初めて見る積み木と見たことがある積み木を見たときの行動が違う習性を生かして、学習から24時間後のテストで長期記憶を測定した。(152ページより)

その結果、マウスの記憶しやすさは時間帯によって大きく異なり、夜がよいことがわかったそう。また、氏が参加している別の研究では、海馬の長期記憶にSCOPというタンパク質が重要だということが発見されたといいます。

このSCOPの観察や、遺伝子工学的手法で海馬時計を失ったマウスで実験を行ったことで明らかになったのは、活動期の前半が長期記憶に向いていること。

長期記憶のテストは5分間積み木を提示したあと、24時間後に行っているのですが、提示の8分後に行った短期記憶のテストでは、時間帯に関係なく一定の記憶力が示されたというのです。

この研究結果を踏まえると、深い思考を必要とする勉強、しっかり覚えたい内容などは朝、簡単な暗記モノは夜に勉強するのがよさそうです。

実験結果と逆の結論になるのは、マウスは夜行性で、人間は昼行性だからです。

脳科学者の茂木健一郎氏も、朝を「脳のゴールデンタイム」と呼び、クリエイティブなことをする状態が整っていると述べています。(153ページより)

もし、ひとつの課題を解くのに時間がかかって「効率が悪いなあ」と感じるのであれば、朝方にシフトしてみるべきかもしれません。(150ページより)

シメの「筋トレ」で記憶の定着度を高める

いまの学習スタイルを変えずに効率を上げる方法のひとつとして、ここでは勉強が終わったあとの筋力トレーニングについて触れられています。

脳を活性化するため脳に血液を送るなら、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が有効。しかし、筋トレなどの無酸素運動にも勉強に効果がある利用方法があるのだそうです。

そのことに関連してここで取り上げられているのは、ジョージア工科大学のワインバーグ氏らによる研究。

【実験内容】

23人ずつの2つのグループに、反応潜時(刺激を受けてから反応するまでの時間)を調べた後に、90枚の写真を見せて記憶させた。

さらに、2日後に新しい90枚を混在させた180枚の写真を見せて、最初に見せた90枚を当てさせた。

そのテストの前に、グループAはレッグエクステンションマシンを各脚50回ずつ行い、グループBは椅子にただ座っていた。(171〜172ページより)

その結果、グループBが写真の50%を思い出したのに対し、グループAは60%思い出すことに成功しているのだそう。

つまり、勉強後に筋トレをしたことによって記憶力が10%向上したのです。

著者はこの研究の興味深い点として、運動を勉強のあとにしていることを指摘しています。

運動と勉強についての研究の多くは、勉強や記憶テストの前に運動したり、記憶をつかさどる海馬を増やすダンスのように、運動を習慣化した被験者群と長期にわたって行ったりするものが多い傾向にあるから。

いずれにせよ無酸素運動も、有酸素運動と同様に、記憶によい効果があると考えることはできそう。

したがって、筋トレするなら勉強の前よりあとのほうが有効。

トレーニングマシンによる疲労を考えても、もし勉強法として活用するのなら勉強後が正解だと著者。

マシンを使わなくても、スクワットや腹筋運動など、自宅できる筋トレをするといいそうです。やることを終え、ひと汗かき、すっきりとして寝るのもいいようです。

ただし、翌日に疲労が残るまでがんばらないことも大切。たとえばレッグエクステンション50回はなかなかハードですから、日ごろ運動をしない方はほどほどにするのがいいということ。

しかしいずれにしても、もしいまの学習スタイルを変えずに効率を上げたいのなら、勉強をしたあとに筋トレすれば、記憶力がアップするということのようです。(170ページより)

脳に「この情報は大切だ!」と認識させると、記憶は定着するのだそうです。

つまり本のタイトルに「絶対忘れない」とついているのは、「絶対に忘れない」と自分の脳に意識づけすることが、インプットにおいてとても大切なことだから。

そのような考え方に基づいているからこそ、本書を参考にすれば効率のいい勉強を見つけることができるかもしれません。

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Source: アスコム

Photo: 印南敦史

印南敦史

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