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短時間でできる「HIIT」。本当に効果的かを見極める方法

短時間でできる「HIIT」。本当に効果的かを見極める方法
Image: Grace Cary/Getty Images

2010年代、高強度インターバルトレーニング(HIIT)が注目されたのは、ある主張がきっかけでした。

それは、短時間の高強度の運動を繰り返してやると、長時間ジョギングやサイクリングをするのと同じほど有酸素運動のメリットがあるというもの。

しかし、現在ストリーミングできるHIIT動画は、元々のHIITとは無関係で、時間を費やす価値もないものがほとんどです。

どこがどう違うかを見ていく前に、1つ言いたいことがあります。

「HIIT」とラベル付けされている動画のワークアウトをするのが好きで、それが自分にとって本当に役立つルーティンならば続けてください。好きなのに「やめろ」と言うつもりはありません。

でも、「自分の目標達成にベストだと感じているから実践している」とか「カロリーを消費して体が鍛えられるとトレーナーやインフルエンサーが言っているから」という理由で行なっているのだとしたら、HIITについてじっくりと見直したほうがいいかもしれません

「本当のHIIT」とは?

高強度インターバルトレーニング、いわゆるHIITは、運動の研究者らがウィンゲートテストを実施するたびに選手の能力が向上することに気づいたあと、流行語として生まれました。

ウィンゲートテストでは、被験者が高い抵抗力で30秒間全力でペダルをこぎ、4分間休憩し、また30秒間全力でこぎます。

研究を重ねた後、研究者が考えたのは、有酸素運動能力の向上など観察されたメリットは、休憩・運動の別の組み合わせによって引き起こすことができるかもしれないということでした。

研究で使われるレベルのエアロバイク(「サイクルエルゴメーター」)を使うタバタ式は、20秒間の運動と10秒間の休憩の繰り返しをわずか計4分間行なうというものです。

どれも楽しいから行なうタイプのトレーニングではありません。私のまわりにいる経験者は皆、完全な苦痛だと表現しています。

科学者らは、被験者が自分だけでそのトレーニングを再現するレベルに達するのはかなり難しいと考えています。

そこで、HIITの概念を普及させた研究者の1人であるMartin Gibala氏は、普通の人が自分でできて、嫌にならずに続けられるものを見つけようとしました。

そして彼は、1分間の運動に対して1分間の休憩をとることが最適であり、サイクリングやジョギング、その他の有酸素運動をする時にそれを取り入れられるという結論に至りました。

こうして、さまざまな運動・休憩の間隔を利用できるインターバルトレーニングの人気が急上昇したのです。

最近のHIIT動画は?

HIITという言葉は、意味が希釈してしまっただけではなく、変異してしまいました。

当初、HIITは短時間で多くの結果を得ることに重点を置いていたため、ジョギングなどよりも効率的で、しかもそれよりも優れているだろうという評判を築くことになりました。

HIITをするには自転車は必要ないので、トレーナーたちはHIITのコンセプトを利用して、文字通り考えられるすべてのものにこの言葉を使いはじめました。自重スクワットにも、二頭筋カールにも。

いろいろなものをHIITと呼ぶようになった結果、現在では、HIITは「部屋の隅にタイマーを置いてカウントダウンしながら行なうワークアウト」のような意味になってしまっています。

コロナ禍でロックダウンになった時、すでにHIITは何年もの間注目されていましたが、ロックダウンで人気は急上昇。

さっと撮影できるものを考えているトレーナーやインフルエンサーなら、器具がなくてもできる自宅でのトレーニングを撮影しようと思うでしょう。

そして、そんなトレーニングが良く聞こえるように「HIIT」と呼ぶことにするのです。

自重トレーニングに「HIIT」ラベルが付いていたら、「十分良い」と解釈されるのではないかと思います。

そう、トレーナーたちは、動画の視聴者には、自宅のワークアウトだってブティックスタジオや設備の整ったジムでやるのと同じくらい良いと思ってもらいたい、いや、それ以上だと思ってもらいたいと願っているのです。

本当のHIITかどうかを見極める質問

トレーナーらが確約していることを判断していくと、これらのトレーニングが実際のHIITからどれだけかけ離れているか知ることができます。

トレーナーは、VO2max(最大酸素摂取量)を向上できると言っていますか? それは最初に挙げられているメリットですか? 普通はそうではないと思います。ほかのポイントも見ていきましょう。

● そのワークアウトで多くのカロリーが消費できますか?

必ずしもそうとは限りません。これはワークアウトによって異なります。ワークアウトが長くて息切れすることが多ければ多いほど、消費カロリーは増えます。

実際、20分間の「HIIT」で、20分間のジョギングのような中強度の運動より消費カロリーが多くなることはあまりありません。

● そのトレーニング後も、もっとカロリーを消費しますか?

理論的には、ハードなワークアウトをした後も身体はカロリーを燃焼し続けます。

ただし注意点が2つ。1つ目は、ものすごく激しいトレーニングの後だけに著しいカロリー燃焼が起こります。

2つ目は、ハードなワークアウトをした後、体がその日はカロリーを温存しようとすることがあるので、ワークアウト後にゴロゴロしてもカロリー消費は変わりません。

Gibala氏でさえ、ワークアウト後のカロリー消費については誇張されていると言っています。

● そのトレーニングは減量に役立ちますか?

減量には、運動量よりも食事のほうが重要です。特に、運動のタイプは重要ではありません。

エクササイズは減量において「消費カロリー」面では少々役立ってはいます(エクササイズでもっと空腹にならない限りは。でも時々そうなることはあります)。

しかし、カロリー消費に関してはHIITトレーニングには特にメリットがないという事実を思い出してください。

● そのトレーニングで筋肉を鍛えられますか?

少しは効果があるかもしれませんが、理想の臀部や腕を実現することはできないでしょう。

軽量のウエイトを多く繰り返すエクササイズでは、限度までやって休まないと続けられないような場合にだけ筋肉が増えます。

つまり、体のある部分に対して違うエクササイズをする前に、1分間休むべきなのです。自分がやっている「HIIT」トレーニングで、1分間の休みが含められるならぜひ実行してください。

でも、おそらく筋力はすぐに向上して、筋肉量をもっと増やすにはそのトレーニングは役不足という状況になるでしょう。筋肉量を増やしたいなら、次第に負荷を増やしてトレーニングしなければなりません

筋トレの効果を引き出す「適切な負荷」の設定方法

HIIT動画が自分に役立つかを見極める方法

まず、なぜ動画を利用するのが自問しましょう。

有酸素運動能力を向上させたいなら、動画を追ってエクササイズすると息切れして、またエクササイズをする前に十分な休憩が取れるかどうかを評価してください。

筋肉量を増やしたいなら、動画のエクササイズによって実際に筋肉に負荷がかかりチャレンジになっているかを評価します。

前述したように、特定の結果のためではなく、体を動かすのが気持ち良くその動画が好きだから「HIIT」動画を見ているという場合もあります。

それ自体は問題ありませんし、毎週の目標とされている75〜150分の運動に間違いなくカウントされます。

でも、何か特定の目標があるなら、それを達成させる最適な方法を探すべきです。新たな「HIIT」動画を見るよりも、自分にとってもっと良い選択肢があるはずですから。

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Source: ScienceForSport, PubMed, Esquire

Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文

訳:ぬえよしこ

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