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印南敦史の「毎日書評」

日常のプチストレスがヒントになる。アイデア発想力を高める方法

author 印南敦史
日常のプチストレスがヒントになる。アイデア発想力を高める方法
Photo: 印南敦史

考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』(藤原麻里菜 著、ダイヤモンド社)の著者は、発明家、映像クリエイター、作家。

2013年から無駄なものをつくる「無駄づくり」というコンテンツをスタートさせ、現在までに200種以上の“無駄な発明品”を作ってきたのだそうです。

毎週1、2個以上のアイデアを考え、実現してきたというのですから驚き。当然のながらそれは、アイデアを思いつけない焦燥感や恐怖心との戦いでもあるでしょう。

そういった経験の中で、速くアイディアを思いつく方法、そしてユニークな考え方をする方法がたまってきた。

本書に収録した、そんなさまざまな方法をなぞっていくと、想像力が高まって思考を柔軟にすることができ、それによっていままでとは違う自由な発想でものを考えていくことができるはずだ。(「はじめにーー誰も考えたことのないことを考える」より)

たとえばそれらは、仕事で企画を考えるときなどに応用できるかもしれません。

大切なのは、自分の視点を持ち、ありがちなアイデアから脱却すること。そうなるためのヒントが、ここには隠されているのかもしれません。

Chapter 2「『半径1メートル』から考えるーーモヤモヤを有効活用する術」のなかから、2つのアイデアを抜き出してみることにしましょう。

日常の「小さな問題」を意識する

いうまでもなく、世の中に存在する商品やサービスの多くは“いまある問題”を解決しようという発想から生まれています。

たとえば「電子書籍リーダー」は、“本はかさばる”“場所をとって部屋を圧迫する”などの問題を解決してくれるわけです。

ここからも分かるように、「ふだん使っているものがなにを解決しているか」を考えると、日常のなかに隠れているさまざまな問題に気づくことができるということ。

「無駄づくり」も同じで、問題と解決をベースに考えていくことが多い。

「無駄なものをつくっているのに解決しちゃっていいのか?」と思われるかもしれないが、「問題」の部分をニッチにしたり、「解決」の部分をひねくれて考えることで、変なアイディアを考え出すことができている。(45ページより)

そのことに関連し、著者は「オンライン飲み会脱出ボタン」を引き合いに出しています。コロナ禍のなか、オンライン飲み会が流行ったときにつくったものだとか。

オンライン飲み会に参加してみたら、普通の飲み会とは違ってお開きになるタイミングがなく、退出しづらくて困ってしまったというのです。

「抜けます」というひとことを口にするのには勇気がいるため、「ボタンひとつでそれとなく退出できるマシーンがあったらいいのに…」と思い、制作したのだそうです。

オンライン飲み会脱出ボタン
オンライン飲み会脱出ボタン
ボタンを押すと、画面がフリーズしたように見える。ローディングサークルを出せる。

「問題」というと、社会的な問題など大きなことを考えてしまうかもしれませんが、そんなに構える必要はないのだと著者。自分の半径1メートル以内に起こっている出来事を認識することこそが大切だからです。

つまり、「オンライン飲み会、なかなか抜けられない」のように日常のなかで感じる「ごく小さなストレス」を意識することが大きなとっかかりになるということ。

日常のなかで小さなストレスを感じることは誰にでもあるはず。それらをどれだけ意識できるかが、アイデアの量に関係してくるわけです。(44ページより)

日常の「ストレス」から考える

日常生活のなかにどんなストレスがあるかを考えるにあたっては、シチュエーションや、なににまつわるストレスなのかを限定すると考えやすくなるそう。

「通勤」のストレス

・満員電車でハンドバッグの角が脇に当たる

・改札を通るときにICカードの残高が足りるか不安になる

・電車の座席に丸まったティッシュが置いてあると座りたくなくなる

(47ページより)

このように、日常で感じるストレスをことばにしていけばいいわけです。

たとえば著者は「朝」というテーマから、通勤のストレスを考えてみたそう。

上記のように、改札を通る先にICカードの残高が足りるか不安になることが多く、足りなかった場合、後ろからの威圧感に恐怖を感じるというのです。

そこで考えたのが、ボタンひとつで後ろに並んでいる人たちに謝ってくれるマシーン。

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Suicaの残高不足を謝るマシーン
残高不足で改札に引っかかってしまったとき、ボタンを押すと、背中に貼ったディスプレイに謝罪の言葉を映し出せる。

アイデアは、一般的な生活を送っていればいるほど考えやすいもの。一般的である以上、自分と同じような環境で生活をしている人がたくさんいるはずだから。

つまり、社会の多数と自分との共通項が多いほど、多くの人に刺さるアイデアがつくりやすいわけです。(47ページより)

ベースにあるのは、無駄なものをつくることに対する発想法。そのため、なかにはまったく役に立たなそうに思えるものもあるかもしれません。

しかし著者は、「本来、考えるという行為に合理的な道筋などない」と考えているのだそうです。

いろいろなアプローチやきっかけがあればあるほど、そこから分岐して多様なアイデアに到達できるようになるということ。

だからこそ、「役に立つか立たないか」ではなく、肩の力を抜き、柔軟に思考を広げることが重要であるわけです。

本書を楽しみながら、そして参考にしつつ、ご自分でも突拍子もないアイデアを捻り出してみてはいかがでしょうか? もしかしたら、それがビジネスにメリットをもたらしてくれるかもしれません。

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Image: 考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71

Photo: 印南敦史

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