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「逃げてもいい」がんばりすぎている人に贈る、人気WEB漫画家の生きるヒント

「逃げてもいい」がんばりすぎている人に贈る、人気WEB漫画家の生きるヒント
Photo: 印南敦史

世の中では多少なりとも、「逃げる=悪」と考えられているのではないでしょうか? だからこそ、「逃げる」という選択をする際には勇気が必要となるのかもしれません。

そんななか、「もっと世の中が“逃げる”ことに寛容になっていくべきだ」と主張しているのは、『人生から「逃げる」コマンドを封印している人へ』(やしろあずき 著、ダイヤモンド社)の著者。月間2000万PVの漫画ブログを運営しているWEB漫画家です。

もともとはゲーム会社でサラリーマンをしていたものの、新卒で入った会社での働き方に納得できず退社。そののちゲームをつくる会社に転職するも、徐々に「先輩や他の人が残業するなか、自分だけ定時退社しづらい雰囲気」「有給が使いにくい」といった部分が合わないと感じ、フリーランスになったのだといいます。

とはいえ会社員を否定したり、フリーランスを進めたいわけではないのだそうです。

僕は、真面目すぎて自分を消費してしまっている人達や、逃げたいのにどこにどうやって逃げればいいのかわからない人達のためにこの本を書きました。(「はじめに」より)

そんな本書のなかから、第3章「適度に『不真面目』でいい」に焦点を当ててみることにしましょう。

ブラック企業の渡り鳥になってはいけない

複数の「ブラック企業に入ってしまう人」「ブラック企業の輪から抜けられない人」を見てきたという著者は、「ただの持論なんですが」と前置きしたうえで、そういう人たちには共通点があると指摘しています。

「根がすごく真面目」で、「自分に自信がない」タイプが多いということ。真面目すぎるあまり、いわれたことすべてに全力投球してしまうとか、疑問を持たずに上司のいうことに従ってしまうとか。

もちろん、それが大切なときもあるでしょう。とはいえ真面目でありすぎると、ときに「思考停止している」ととられてしまう可能性もあるのではないかというのです。

「自分に自信がない」人は、「こんな俺を拾ってくれた会社なんだから、尽くさなければ」というような考え方をしてしまいがちだとも。しかし大切なのは、自分に自信を持つこと。

自分には自信を持っていいと思います。自信を持つことに何も悪い事はないと思います。

(中略)

自分に自信があれば、視野は広がります。(90〜91ページより)

自分に言い訳をしながらブラック企業で人生を浪費するよりも、スパッと決断できたほうが、その後の人生がより有意義になるのではないかという考え方。

思考の方向性を修正するためにも、意識する価値はあるかもしれません。(88ページより)

自信≠過信

自信を持つことが大切だとはいっても、忘れてはいけないことがあると著者はいいます。それは、「自分に自信を持つ」のと「自分を過信する」のとは別だということ。

なぜなら自分を過信していると、周囲が見えなくなってしまったり、現状の力量ではこなせるはずのない仕事を引き受けてしまったりして、最終的に周囲に迷惑をかけてしまうというようなことになりがちだから。

とはいえ「自信」と「過信」は、自分では区別がつきにくいものでもあります。

この点について著者は、「現状の力量でこなせるはずのない仕事を受ける」のは過信だけれど、「受けたことのない仕事をとりあえず受けてみるのは自信」ではないかと考えているそう。

自分に自信がある人は「こういった仕事もできますか?」という問いに対して、「この仕事はやったことないので、ちょっとできるかどうか…」という回答ではなく、「できます。やります」と、あたかもその仕事内容をいつもこなしているかのようなスタンスで引き受けたりしています。(106ページより)

そして、わからないところや未経験なことについては死ぬ気で勉強し、調べ、高いクオリティのものを相手に提供するーー。著者のまわりにも、そんな人たちが多いのだそうです。(104ページより)

つらくない「努力」の見つけ方

著者は、「がんばらなきゃ」と思った時点で、その努力は「つらい」努力になってしまうと考えているのだといいます。

そのため「努力なんかしないで、好きなことだけして生きるぞ!」と思い、毎日仕事終わりに好きな漫画を描いていたのだとか。

すると知人から「よくそんなに努力できるね」といわれ、気づいたのだそうです。「自分はただ好きなことをやっていただけなのに、それが知らず知らずのうちに努力につながっていたんだな」と。

好きなことを続けていくうちに、気がつけば「これで食べていけそうだな」というところまで到達できていたのだとしたら、それこそ理想的なあり方だというのです。

もちろん、「これで稼げるかもしれない」というところまで進んだ途端、いままで努力ではなかったはずのものが「つらい努力」に変わってしまうこともあるでしょう。

しかし、そのときこそ、本当にそれが大好きで、自分にあっているかどうかがわかる瞬間かもしれないということ。

大事なのは、それまでにどれだけ「努力の貯金」ができているかで、その貯金がしっかりできていれば、それを応用しながら、また好きで夢中になれる新しいことを見つけてチャレンジすることもできるのかなと。(111ページより)

自分が本当に好きなことを探すのは、人生のひとつの課題。

それを見つけたとき、いままで自分でも感じたことのないほどの力があふれ出てくるもの。著者はそう考えているのだそうです。(108ページより)

本業である漫画がふんだんに盛り込まれており、文章表現もシンプル。

日々の仕事にストレスを感じながらも“逃げる”ことに罪悪感を覚えているという方にとっては、本書がなんらかのきっかけになるかもしれません。

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Photo: 印南敦史

印南敦史

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