
とうとう新章のアニメ化が発表された「鬼滅の刃」ですが、サブスプリクション(サブスク/定額課金制サービス)により大ヒットになったのはご存知でしょうか。
実際のテレビ本放送は2019年でしたが、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり視聴で、2020年前半に「追っかけ」ファンが急増し、それが劇場版の大ヒットにつながったといわれています。
わが家の子どもも2020年に観たくちで、勢いのまま封切り初日に劇場版を見て、さらにコミックスを全巻制覇しました。
音楽でもサブスクや広告配信を使った視聴が主流となっています。YOASOBIの「夜に駆ける」がCDを販売することなく、2020年の年間チャート1位(Billboard Japan)になったのも、音楽の聴き放題サービスが普及したことと無縁ではありません。
サブスクはとても便利です。「いつでも」好きなコンテンツを観たり聴いたりできます。
うちの子どもを見ていると、いきなりアニメ「炎炎ノ消防隊」を一期から観たかと思えば、とんでもなく古い子ども向けアニメを見つけては好きなペースで観ています。
レンタルビデオショップやCDショップに行かなくていいのも、こうした自由な視聴スタイルに影響を与えています。感染リスク低減を考えると、実店舗に行かなくていいのはとても助かるところです。
子育て的に考えても、自分が利用する観点でも、サブスクがあることがこれほど便利になるとは思いませんでした。
そしてもちろん、コスト的にも大助かりです。何せ「定額」ですから、何十枚のDVDやCDをレンタル・購入するお値段と比べて財布は大助かりです。子どもが見たアニメが全部レンタルだったとしたら…金額はもう恐ろしくて考えられません。
しかし、便利なサブスクですがいいところばかりではありません。家計マネジメントの観点では、注意が必要なところもあります。
サブスクにより「日常支出」から「固定支出」に変化する

サブスクの注意するべきは、一見すると便利にみえる「定額」にあります。
サービスを使い切ったと思える人にとってはサブスクはまったくムダづかいにはなりません。私は雑誌読み放題の定額サブスクを利用していますが、雑誌を買うことと比べてみれば、安いものです。
いくつかの記事だけつまみ食いしたいときも、立ち読みせずに公正な形でコンテンツを閲覧できます。雑誌サブスクは週に1冊でも読めば十分に元が取れるでしょう。
しかし「定額」のサービスを使い切れなかったときはただのムダな支出になります。
たとえば、サブスク疲れがでた場合、利用がない時期もあります。私もKindle Unlimitedで大量にマンガを読んだ翌月、反動で1カ月に1冊も読まないで終わることがあります。
しかし、課金は読んでも読まなくても引かれます。これが続くと大きなムダづかいになります。
これを家計として考えたとき、大きな変化があります。
今まで雑誌を買ったりレンタルをするときは、そのつどお金を払う「日常支出」でした。レジでお会計をしたり、アプリをクリックして課金すれば、それは自分に可視化されています。
しかし、サブスクは自動的に引かれる「固定支出」になってしまいます。家計支出の方向が変わってしまうのです。
家計をチェックするとき固定支出は見えにくい分、見直しが遅れがちです。サブスクも同様で、未使用でも自動的に引かれ続けますから注意が必要になります。
自動引き落としが家計にとって一番危ない

家計改善をはかるとき、毎日の細かい支出を減らそうと行動しますが、実はそれ、問題の半分にしか着目していません。「日常支出」と「固定支出」をバランスよくチェックすることが重要です。
クレジットカードの明細やメインバンクの預金通帳を持ち出して、自動引き落とし項目にマーカーをつけてみましょう。スマホ代にまとめて課金している場合はその明細も必要になります。
やってみると、自動引き落としはかなりあるものです。固定支出は「節約して減らす(節電するなど)」「割安サービスへ乗り換える(スマホの格安プランや電力自由化など)」「解約する」の3つの見直しが考えられます。
3つの中で一番効果があるのは「解約」です。固定支出の項目をストップできれば、来月以降自動的に家計が楽になるのです。
使わないサブスクはとりあえず停止してみる
「利用頻度がほぼゼロのサブスク」はとにかく一度解約してみましょう。多くのサブスクは「ウェルカムバック(いつでも戻ってきてください)」のスタンスです。
登録したメルアドに対して、新規コンテンツの案内を送って「もう一度登録しませんか」と声をかけてきます。一方で、継続特典はあまりありません。
スマホのように長期契約者について割引をすることもあまりないのです(というか、スマホもMNPで乗り換え続けている人のほうがお得なことがありますよね)。
だとすれば、使わなくなったらとりあえず休会手続きをしておいて、また見たいコンテンツがあったら再契約をしてもいいわけです。
ダブりがあるものは一本化を考えます。NetflixとHuluとアマプラ、おまけにdアニメストアとか契約しているのはまさにムダです。悩むくらいならアマプラ1本にして3カ月過ごしてみてください。結構気にならないものです。
共働き家族の場合なども、それぞれが契約しているダブりに注意です。誰かが代表して契約してファミリー利用ができるものが多いので(サブアカを設定して視聴履歴なども分割できる)、「夫婦がふたりともネトフリ課金」のようなことはしないようにしてください。
ビデオ系、音楽系、雑誌・書籍系はそれぞれ1つ契約していても問題ないと思います。このうち音楽系、雑誌系についてはサービス差があまりないので、悩みどころは主にビデオ系サブスクになります。
高額サブスクにも要注意
ところで最近、少しずつ流行し始めている高額サブスク系も要注意です。
服やカバン、果ては家具のサブスクまでありますが、ブランドものを利用できる場合など、毎月の課金額が高額になっています。長期利用をしているうちに、感動が薄れ、ダラダラ契約が続いているものは見直しを考えたほうがいいと思います。
便利でお得であるはずのサブスクが、結果として家計を苦しくしているようでは本末転倒です。「サブスクの断捨離」、一度考えてみてはいかがでしょうか。
山崎俊輔
フィナンシャルウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー。夫婦で共働き、共家事、共育児しながら子どもふたりを育てている。
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Image: Gettyimages
山崎俊輔