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「心の知能指数」でチームを導く、Googleの5ステップ

author 訳:ぬえよしこ
「心の知能指数」でチームを導く、Googleの5ステップ
Image: GettyImages

2012年のことです。

事業を開始してから10年以上が経ったGoogle(注・Google創設は1998年)は、大躍進を果たしていました。その年の収益は、初の500億ドル超えを達成しつつありました。

しかし、同社の重役たちの心からは、ある疑問が拭い去れませんでした。

重役たちは、成功の鍵はチームワークとコラボレーションにあると知っていました。それこそが、Googleが迅速にイノベーションを起こし、過ちは即座に特定し、効率的に問題を解決できるようになった理由でした。

しかし、チームの中には成功を収めたものがある一方、低迷したものもありました。

もし会社が、チームが向上できる方法を見つけられるとしたら? 「完璧なチーム」の方程式を特定できるとしたら?

そこで、Googleはこれらの問いへの答えを見つけるべく、何年にもわたるプロジェクトに着手しました。その名は「プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)」です。

全体は部分の総和に勝る。

――アリストテレス

Googleが見つけたこととは

最高のチームをつくるには最も才能のある人材を集めるというのが、常識的な考えでしょう。しかし、常にそうであるとは限らない証拠があります。

考えてみましょう。トッププレーヤーが集まっているのに、お互いがうまく機能せずにパフォーマンスが標準以下となってしまったチームを見たことがありませんか(その良い例が、2004年のNBAファイナルで、将来殿堂入りするメンバーが4人もいたロサンゼルス・レイカーズが、デトロイト・ピストンズにあっさり負けた試合です)。

では、どのようにしてチームを連携させればいいのでしょうか。

Googleのプロジェクト「アリストテレス」の研究者らは膨大なデータを調べ、何百ものインタビューを行ないました。パフォーマンスに関して高い評価を受けているチームと、低いと評価されているチームを含め、180近くのチームを細かく調べたのです。

最終的に、最も成功したチームには5つの共通した特徴があるという結論にいたりました。

  1. 心理的安全性
  2. 信頼性
  3. 構造と明瞭さ
  4. 仕事の意義
  5. 影響

上記はそれぞれ、感情的知性(EI)に関わっています。つまり、感情を識別し、理解し、そして管理する能力です。

では、ひとつひとつを取り上げて、皆さんが自社でどのように実践できるかを見ていきましょう(注:これらのルールについての詳細とケーススタディは、私(ジャスティン・バリソ)の著書『EQ Applied:The Real-World Guide to Emotional Intelligence』に記載しています)

1. 心理的安全性

Googleの定義:

心理的安全性とは、チームメンバーがリスクを取ることに対して安心でき、お互いの前でもろい部分を見せても大丈夫だと感じられることです。

実践方法:

チームリーダーに必要なのは、間違いを正直に認め、間違いから学んだことをチームと共有することです。メンバーもそれを見習います。

褒めるときは惜しみなく褒めましょう。しかし、敬意があり率直なフィードバックをするための基本ルールも決めましょう(以下を参照してください)。

反対し、コミットする」方法を学びましょう。

2. 信頼性

Googleの定義:

チームメンバーは予定どおりに仕事を仕上げ、Googleが設定する卓越性の高い基準を満たします。

実践方法:

チームリーダーは模範を示さなければなりません。他のあらゆることと同様、締め切りに関してチームはリーダーに従います。

期日に間に合わなさそうな場合には、メンバーは周囲にそれを伝え、支援を求めるべきであることをはっきり伝えます(そのような行為を称え、できる限り実用的なサポートをします)。

仕事の質を高く保ち、かつ期限を守るために、必要に応じて頻繁にミーティングを行ないましょう

問題がある場合は、ミーティングの頻度が増えるかもしれません(たとえばプロジェクト会議の場合、週に2回か、短時間で毎日ミーティングするほうが、週1回の会議よりも効果的です)

全員を、一個人として扱いましょう。ある人にとって役立つことが他の人にも該当するとは限りません。ですから、自分のアプローチを相手に合わせることです。

それと同時に、すべての人(高いパフォーマンスを出す人も含めて)を同じ基準に保ちます。

3. 構造と明瞭さ

Googleの定義:

チームメンバーには明確な役割、計画、目標があります。

実践方法:

文化的な規範を明確に伝えましょう。チームメンバーはいつ対応するように期待されていますか? メールやインスタントメッセージにどのくらい迅速に対応しなければなりませんか?

これらの規範を設定してチームにリマインドすることは、コラボレーション、「ディープワーク」(特別な集中力やフォーカスを必要とする仕事)のための時間、生活の他の部分とのバランスを取るのに役立ちます。

範囲を明確に伝えましょう。チームリーダーもメンバーも、作業の量や完了までにかかる時間など、特定のタスクと担当業務の範囲に関しての理解が同じでなければなりません。

該当するマイルストーンを、長期的な戦略と目標とともに明確に伝えましょう。

4. 意義

Googleの定義:

仕事の重要性・意義は、チームメンバー各個人によって異なります。

実践方法:

チームリーダーは、チームメンバーの長所と短所に注意を払いましょう。また、チームリーダーとチームメンバーは、自分が楽しんでいる仕事や担当業務のタイプについて率直に伝え合うべきです。

それによって、チームリーダーは有意義な仕事を割り当てる機会を見つけることが可能になります。また、困難なタスクや、好ましくないけれど必要なタスクについては、全員で支え合うことができます。

メンバーの感情的知性を褒めましょう。惜しみなく褒めていいのですが、称賛は誠実かつ具体的に

また、フィードバックにも感情的知性が必要です。中には敏感な人もいますから、相手によって自分のアプローチを調整します。批判や改善すべきことを直接伝えられる相手もいますし、婉曲的に伝えなければならない相手もいるでしょう。

それでも、重要なフィードバックはすべて建設的なものとして捉えるのが原則です。相手に、その人の成長に役立つと自分が考えていることを共有してもいいかと尋ねましょう。

ミスしたけれど、調整したことでメリットがあったという自分の経験を共有すれば、誰にでも盲点はあり、再調整にはサポートが必要であることが示せます。

5. 影響

Googleの定義:

チームメンバーは、自分の仕事には意義があり、変化をもたらすと考えています。

実践方法:

それぞれの会社や部署には個性があります。でも、仕事の最終的な結果を示せる機会を見つけましょう。

売上高は会社の収益にどのように影響しましたか? マーケティングによって営業部門の業務はどのように楽になりましたか? 人事のイニシアチブに対して、従業員からはどのような(前向きな)反応がありますか?

会社や部署にかかわらず、単に数字や図表を共有するだけのことはやめましょう。社員や顧客からの実際にあった話を共有します。

一歩一歩前進あるのみ

時には、上記のアドバイスにたじろぐこともあるかもしれませんが、大丈夫です。どんな企業でも、等しくすべてをうまくこなすことができるわけではありません。

上から1〜2つのカテゴリーと特定のアクションを選択し、数週間から数カ月にわたって実行してみることが重要です。満足できる結果が出たら、次のカテゴリーとアクションをまた1~2つ選択しましょう。

そうすれば、優秀な人材がいることはチームを成功させるためのルールにおいては半分に過ぎないことが、じわじわとわかってきます。残りの半分は、素晴らしい人たちをまとめ、チームとしてうまく機能させるということなのです。

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Source: reWork/Google,Wikipedia, EQApplied, Amazon

Originally published by Inc. [原文

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