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自分へのネガティブな「思い込み」を捨てるためにできること

自分へのネガティブな「思い込み」を捨てるためにできること
Photo: 印南敦史

思い込みを捨てて本当の人生を取り戻そう stop doing that sh*t』(ゲイリー・ジョン・ビショップ著、高崎拓哉 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、全米で200万部を突破したという『あなたはあなたが使っている言葉でできている』シリーズの第3弾。

スコットランド・グラスゴー生まれの著者は、アメリカ移住後に自己啓発に傾倒して研磨を続け、人材開発企業でシニアプログラムディレクターを務めたという人物。世界中の何千人もの人に、コーチを行ってきたのだそうです。

「街の哲学」という自身のブランドを創出した現在は、人間の能力をシフトさせて人生に大きな変化を起こすという生涯の仕事に奮闘しているのだとか。飾り気のない率直なアプローチは、多くの賛同者を生み出しているのだといいます。

そうした実績に基づいた本書の根底にあるのは、「人生を台なしにする“思い込み”から抜け出し、人生をよりよくコントロールしよう」という考え方。テーマを設定した全13パートに分け、シンプルでありながらも力強いメッセージを投げかけているのです。

ところで著者は本書のなかで、「自己破壊(セルフサボタージュ)」ということばを引き合いに出しています。

『メリアムウェブスター辞典』の「サボタージュ」の項目には、こんな意味が書いてある。

「国家の戦争努力を妨げようという市民、もしくは敵対勢力による破壊、妨害活動。または何かを妨げ、傷つける傾向のある行動や過程、もしくは意図的な反乱」(32ページより)

だとすれば自己破壊の場合、戦う対象は自分自身だということになります。自己破壊は自分で自分を傷つける行為であり、人生のいい部分すべてをひっくり返してダメにしてしまうものだということ。

このことを念頭に置いたうえで、PART8「自分自身への思い込み」に焦点を当ててみたいと思います。

自分への思い込みは自己破壊にもつながる

人はとかく、自分自身に対してなんらかの思い込みをしてしまいがち。そして、それを繰り返し自分にいい聞かせているわけです。

しかし、自己破壊のパターンから抜け出すには、最初に“いちばん重要な思い込み”を明らかにしなくてはいけないのだと著者はいいます。

20歳までの形成期に、人は知らず知らずのうちに魔法のスポンジへ「宝物」を取り込む。幼いころに見つけたものもあれば、もう少し大きくなってからのものもある。

それは自分がどういう人間だと思うか、自分自身や自分の能力、何より自分の欠点をどう見ているかという自己評価だ。

欠点が特に重要なのは、思い込みは前向きなものには決してならないからだ。それを先に言っておきたかった。「自分は超最高の人間だ」なんていう自分への思い込みが出ることはない。あり得ない。(154〜155ページより)

現実には、自分自身に対する思い込みを把握している人はほとんどいないということ。

たいていの人は忙しすぎたり、他のことにかかりっきりだったり、人生に足を取られたりしていて、「なぜ自分の人生がこんなふうなのか」ということについてじっくり考える余裕を持てないものだというのです。

個人的な思い込みは、決して終わらず、変わらない心のガイドのようなものだ。

絶対に取り外せず、どれだけいい人生を送っていようと必ず舞い戻ってくる。

ビーチボールをずっと水に沈めておこうとがんばるようなもので、一時的に沈めることはできても、いずれまた浮き上がってくる。(157ページより)

しかも思い込みは、日々の暮らしに密着し、視界に入るものすべてをほんの少し歪ませ、滲ませるもの。それでいて、なにかにしくじったときは本人の首を締めることになるのだといいます。(154ページより)

自分への思い込みを見つけよう

自分自身に対する思い込みはネガティブなものですが、同時に、もっといい人生を送るように本人を焚きつけるものでもあるはず。

しかし、ときには「うまくいったじゃないか」と思わせてもくれるものの、そのあとにネガティブな要素が戻ってくるというのです。

つまりはシーソーのようなもので、人はその板の上で行ったり来たり、上がったり下がったりしているということ。だから結局は、状況が変わっても同じままでいることになるわけです。

「多くの意味で、状況は思い込みのダンスパートナーでしかない」と著者。にもかかわらず、誰もが状況を変えることにばかり力を入れるというのです。でも、それでは思い込みが変わるはずもありません。

あなたの個人的な思い込みは、必ず「自分」という言葉で始まる。「自分は頭がよくない」

「自分は負け犬だ」

「自分はみじめだ」

「自分はくだらない人間だ」

「自分は能なしだ」

「自分は愛されてない」

果ては、「自分は無価値だ」と言い出す人もいる。

(158〜159ページより)

そこで著者は、「自分自身についてどんな思い込みを抱いているか」を自問しようと提案しています。

つまりそうして、自分だけの思い込みを見つけるべきだと。なぜならそこには、自分自身と、自分の思考だけが存在するものだから。

たとえば「自分は頭がよくない」という思い込みを持っている人は、誰から「あなたは頭がいいんだから」といわれ続けたとしても実感を持てないことでしょう。それどころか、「彼らはなにもわかってない」「周囲はなにかがおかしい」と感じることになるかもしれません。

しかし、そういう人は、誰だけ成果を出し、評価されたとしても、自分自身に対する思い込みの魔の手を逃れられないもの。どんな見返りを得ようとも、最後にはまた「自分は頭がよくない」というような“もといた場所”に戻ってしまうわけです。

だからこそ、その事実を、少しの間よく考えてほしいのだと著者は訴えているのです。生きてきたなかで自分自身に押しつけてきた“しつこい評価”に思いを馳せてほしいのだと。

たしかにそうすれば、思い込みを排除するための道筋が見えてくるかもしれません。(158ページより)

著者がいうように、思い込みが可能性を阻害することは往々にしてあるもの。しかし、それは決して有意義なことではありません。だからこそ、基本に立ち戻るためにも本書を手にとってみてはいかがでしょうか?

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印南敦史

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