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副業特集―My Another Path

「ふるさと副業」のメリットや注意点は? 実践者が語るリアル

「ふるさと副業」のメリットや注意点は? 実践者が語るリアル
Photo: KOBA

My Another Path

働き方が多様化するなか、「副業・複業」「ギグワーク」といった道を選択する人が増えつつあります。1つの仕事にとどまらず、さまざまなプラットフォームで活躍する人の働き方・生き方の“リアル”をお届け。

ある日、勤めている会社から「専業禁止」を言い渡されたら、どうしますか?

やりたいことがある人やすでに副業を進めている人は、気持ちがラクになるでしょうか。今の仕事に満足している人や、副業よりもプライベートを充実させたい人は、どうしたらいいか困ってしまうかもしれません。

今回お話を伺った藤生朋子(ふじう・ともこ)さんが勤務する株式会社エンファクトリーは、前回の飯田さんのお話にもあったように、早くから社員の副業を推奨し、「専業禁止」を掲げている企業。

エンファクトリーが積極的に副業をすすめる理由などの企業文化はもちろん、藤生さんをはじめとする社員の方々がどのように副業を始め本業と両立しているのかや、メリット・デメリットなど、副業の“リアル”を伺いました。

経験こそ副業の最大の武器。幾多の転職を経てわかった「強み」の見つけ方

自律性・個人力を高める目的で始まった「副業」という文化

藤生朋子さん
Photo: KOBA

──エンファクトリーでのお仕事について教えてください。

エンファクトリーは、もともと生活総合情報サイトAll About(オールアバウト)の新規事業部で、そこからスピンアウトした会社です。

私は2011年の立ち上げ時より在籍し、現在はライフデザインユニットで企業様に向けて従業員の方の自律性を高めたり、ひいては組織全体の活性化を促進する事業に携わっています。

──エンファクトリーが「専業禁止」を掲げるようになったのはいつからですか?

オールアバウトから分社化した時からだったと思います。1つの組織に浸かるのではなく、不確実な社会においては個人が自律性を高め、社外でも活動できるようにという思いが社長にありました。

弊社のタグラインは「生きるを、デザイン。」というものですが、「これからの世の中は、生活や、働き方、生き方を想像し、自らデザインし、実行する時代」というメッセージが込められています。

藤生朋子さん
Photo: KOBA

──「専業禁止」という方針に、戸惑う社員の方もいるのですか?

機会を提供しているだけで、副業をしないとお給料が減るといったペナルティはありません(笑)。実際、これまでに1回でも副業したことがある社員は全体の約6割です。それでも、会社の立ち上げ時の10年前は約1割だったので、10年程かけて副業や社外的活動をしていく文化が浸透してきたという感じです。

最近は社外的にも周知されてきて、採用面接の時に「副業していいんですよね」と確認されることもあります。最近は起業する学生さんも増えていますから、在学中からやってきた事業と両立させられることを条件に会社選びをする若い方も多いようです。

オープンにすることで別の副業につながることも

藤生朋子さん
Photo: KOBA

──副業に関して、社内のルールはどのように定められていますか?

会社に申請する必要はありませんが、唯一のルールが「オープンにする」ということです。社内の共有ツールで月次報告をすることと、年に2回社員全体に活動内容や収入までを報告する発表会の場が設けられます。そこで、誰がどんな副業をしているのかがわかるので一緒に働くメンバーの理解が深まり、「誰かいい人いない?」「何かお手伝いさせてもらえることは…」といったやり取りも生まれます

就業時間中に副業をしても構いませんし、そのぶん減給や残業代で帳尻をあわせるといった調整の必要もありません。「本業を疎かにしないことが大前提」だと、会社から言われなくても誰もが自覚しています。

活動をオープンにすることで、副業する人を応援する風土の醸成や、「自分もやってみたい!」と一歩踏み出すきっかけに繋がっています。

──みなさん、どんな副業をしているのですか?

副業にもいろんなタイプがあって、起業肌なメンバーは渋谷でハリネズミカフェをオープンしたり、夫婦で始めた犬のお洋服屋さんが軌道に乗って法人化したというケースも。あとは、社外での腕試しとして自分が持つスキルを生かして単発で事業のお手伝いをしたりなど、さまざまですね。

発表会では、副業がうまくいかなくなって「辞めました」と報告する人もいます。かたや、副業で独立したものの、うまくいかなくて会社に戻り、働きながらスキルを磨いて再出発した結果、成功したケースもありましたね。エンファクトリーの制度を使って自己実現したいい例だと思います。

副業先での多角的な評価が、新たな気づきと自信に

藤生朋子さん
Photo: KOBA

──かくいう藤生さんの副業の仕事内容を教えてください。

はじめは、副業と言われても何をしたらいいか困っていた時に、起業したばかりの社内のメンバーが「手伝ってほしい」と言ってくれたので、“副業のサポートをする副業”からスタートしました。

あとは、もともとWebデザインの仕事をしていたので、得意分野のスキルを生かしてホームページ制作や編集のお手伝いをしています。

安定的に収入があるわけではなく、プロジェクトの終了ごとに収入があります。

藤生さんが携わった副業の成果物①
一般社団法人INTO THE FABRICが運営する、 会社・組織・地域同士のコミュニティー活動「100人カイギ」におけるWebサイトのデザインサポートを担った。
写真提供: エンファクトリー

それから、ここ1年ほどは地方創生事業にも関わらせてもらっています。私が生まれ育った群馬県桐生市は、絹織物が有名です。そのプロモーション活動をサポートさせてもらっています。

実家が携帯電話の電波が入りにくい山奥で、若い頃の自分は東京への憧れが強くて(笑)。大学入学を機に上京したのですが、大人になってから地元で長く事業を続けている方の想いの詰まったプロダクトや製品に触れた時、「地元に貢献したい」という思いが芽生えて、大変ありがたいことにお声がけいただきました。

藤生さんが携わった副業の成果物②
地元である群馬県桐生市の特産物「桐生織」の販促活動を行なう桐生織物協同組合におけるWebサイトの構築・運営をサポートしている。
写真提供: エンファクトリー

──「副業が自由にできる環境でよかった」と思うのはどんな時ですか?

フランクなお酒の場などで「こんなことやってみたいね」「できたらいいね」と話していたことが、“たられば”の夢ではなく、現実のこととして話ができること。

それから人と人がつながれることです。副業を通じて、社員間でも縦と横、そして斜めに、メッシュのように交流が生まれているようです。

また、私のように1社に長く勤めていると、上司が同じだったり、長くいるというだけでバイアスがかかったりして評価が画一化されてしまいます。ですので、副業先で多角的に自分を見てもらえることで新しい発見が生まれ、自信にもつながります

あとは、さまざまな企業のお手伝いをしていると、職種によって使う言葉やリテラシーが違ったりして、学びも多いですね。たとえば、桐生織物協同組合の方には、カタカナ言葉をわかりやすくしてお伝えしたりと、言語を環境に応じて使い分けて話す能力も身についたと感じます。

副業成功のコツは「自分が楽しみ、それを周りに示すこと」

藤生朋子さん
Photo: KOBA

──逆に、副業することのデメリットはありますか?

本業だと「あれはどうなったかな?」と数字や反響を追うこともできますが、スポットの副業だとあまり首を突っ込むことができません。なので、ホームページをお手伝いしたことで売り上げは伸びたか、ページビューは伸びたかといった、手掛けた仕事の行く末が見守れないことは寂しいなと感じます。

──本業と副業を両立させるコツを教えてください。

家族や周囲をうまく巻き込むことでしょうか。一時、平日は徹夜し、かつ土日も働かなければまわらないぐらい副業を受けてしまって。家族に「辛いなら、そんなに働かなければいいのに」と言われたことがありました。

なので、自分が副業を楽しんでいるところを周りに見せると、応援してもらいやすいかもしれません。あとは、「これでおいしいものが食べられるね」と話したり、副業で取り扱うサービス・商材の良いところを共有し合うなど、副業が相手にとってもメリットがあることを提示することでしょうか。

藤生朋子さん
Photo: KOBA

──「生きるを、デザイン。」が会社のタグラインですが、藤生さんはどのようにご自身の「生きる」をデザインしていきたいと考えていますか?

起業などのかたちにはこだわらず、「誰と何をするのか」を大切に仕事を進めていきたいですね。テーマは「いいおせっかい」。本業も副業も、活性化のサポートが仕事の大きな軸なので、そこを深めていきたいですね。そのためにも、さまざまなアプローチの手段を増やしていきたいと思っています。

それから、地元の福利にもっと関わっていきたいですね。実家が山中にあることが嫌で上京しましたが、大人になって改めて桐生市の良さを感じています。地元の特産物はもちろんですが、実家が旅館業を営んでいることもあり、観光面の支援にも関われたらと思っています。

これまで、副業でいろいろな仕事に関わらせてもらいましたが、自分の心が動かされないと熱中できないものだとわかりました。それが生まれた故郷のこととなると、余計に熱が入りますね。大人になって、やっと故郷に恩返しできる時が来たのかなと感じています。

今後の野望

桐生市の活性化を推進し、故郷に恩返しをする。

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写真提供: エンファクトリー

Photo: KOBA

Source: エンファクトリー, 100人カイギ, 桐生織物協同組合

大森りえ

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