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印南敦史の「毎日書評」

1日8時間働くのが当たり前?いま人生の大事な時間をどうつかう

author 印南敦史
1日8時間働くのが当たり前?いま人生の大事な時間をどうつかう
Photo: 印南敦史

生き方は、選べる。』(クリス・モンセン 著、フォレスト出版)の著者は、「クリスの部屋」というYouTubeチャンネルでおなじみの「ライフコーチ」。同チャンネルは、登録者数37万人、トータル再生数2500万回突破という実績を打ち立てています。

その延長線上にある本書も、新たな時代を生きる人へのメッセージをまとめたもの。まず冒頭では、「僕たちはこれまでのやり方、生き方をしていていいのかな?」と疑問を投げかけています。

新型コロナの波が訪れ、AIによって仕事が大きく変わろうとしていて、環境破壊が地球を襲いつつある時代だからこそ、もうこれまでの古いやり方ではいけないのだと。

今の僕たちに必要なのは、一人一人が自分の心と本気で向き合うことだ。

もっというと、今、自分の心とちゃんと向き合うことができたら、あなたが心から望む方向に進んでいける。時代の変化という追い風が吹いているから。(「はじめに」より)

したがって大切なのは、自分の心が本当になにを求めているのか、どこへ行きたいと思っているのか、いま、どんなふうに感じているのか、その感情はどこからきているのかを知ることだというのです。

それは難しいことでもあるでしょうが、ここには不安や恐怖を跳ね除ける簡単な方法をまとめてあるのだといいます。

そんな本書のなかから、いくつかのトピックスを抜き出してみることにしましょう。

1日8時間働くのが当たり前、その根拠は?

多くの人は、自分が育った環境で「当たり前」ができて、それが正しいと思っているはず。しかし、その「当たり前」に縛られていることに気づいていないというケースもあるーー。著者はそう指摘しています。

「当たり前」だと思われているものは、当然のことながら私たちが生まれるよりずっと前の人たちがつくったもの。

そう考えてみれば、その「当たり前」が変換される可能性が高いということがわかります。あるいは私たち自身が、自ら変えるほうを選ぶこともできるわけです。

しかも歴史を振り返ってみれば、「当たり前」だったことも100年くらいで変わっていると著者。

「江戸幕府のときは全国に関所があって通行手形がないと隣の国に行けなかったけど、明治時代になったら廃止されたでしょ」と聞けば、たしかにそのとおりだなと感じるのではないでしょうか?

同じように私たちのなかでは、「学校を卒業して会社員になる」「1日8時間働く」ということが当たり前の考え方になっています。

しかし、そもそも「1日8時間労働」は1919年に国際的な労働基準として定められたもの。それが現在までずっと続いているということなのです。

じゃあどんな根拠があって1日8時間労働になったかっていえば、18〜19世紀にイギリスで産業革命が起こったとき「労働時間が長ければ長いほど生産性が上がる」と考えられてたから、労働時間がみんな1日14時間〜18時間にもなった。

超ブラックだよ。さすがにそれは悲惨だとなって産業革命後イギリスでは「月〜金曜日までの労働時間は1日最大10時間」になった。

アメリカでは、1860年代に労働者のストライキが勃発した。そのスローガンは、「8時間は仕事、8時間は休息、8時間は好きなことのため」。

こういう流れが1日8時間労働につながってる。

8時間労働が生産性によい影響があるとか、アイディアが浮かびやすいとか、そんな理由じゃない。

社会的背景によって労働時間が短縮されてきた結果の、たまたま「8時間」なんだ。(51ページより)

こうした過去の考え方の根底にあるのは、「何時間働けばいくらもらえる」という単純な発想。

でも現代は、あらゆるテクノロジーが発展・成熟して、人口減少に向かう社会です。そんななかで働き方も多様化しているのに、同じやり方ではおかしいのではないかと著者は疑問を投げかけているのです。

いまこそ、「人生の大事な時間をなにに使うか」について考えるべきなのだということです。(50ページより)

失敗は悪いことじゃない

失敗した人が、周囲から「あいつは失敗した」というように噂されることがあります。だからみんな、失敗することを恐れるのでしょう。

しかし著者は、それは日本の悪い習慣だと考えているのだそうです。

どんな理由があって失敗したのかもわからないのに、世間はなんとなく形だけを確認して「失敗した」と決めつけることが多いはず。でも、それはおかしいということです。

だからね、世間が「失敗した」なんて言ってもそこまで気にしなくていい。

ビジネスにしても何にしても、自分が真剣にトライして失敗することは、ほんとは失敗じゃない。

それは成功するためというよりも、ほんとの意味で自分が納得した人生を送るための大事なプロセスなんだ。

だから、失敗は悪いことじゃない。このことを理解すると行動が楽になるよ。(112〜113ページより)

著者は35歳で、本当にやりたい仕事にスイッチしたのだそうです。

日本の常識から考えれば、それは「遅すぎる」といわれがちな年齢かもしれません。しかし、年齢にとらわれて「もうこんな歳だからできない」「もう遅い」と思ってしまうとしたら、それは社会に蔓延する“悪しき一般論”に縛られているだけ。

何を始めるにしても、何歳からでも全然遅くない。

あなたが今50歳だとしても、平均寿命まで30年以上ある。30年何かを続けたら、けっこうなプロフェッショナルになれるだろう。

だから、やりたいことは今すぐやっておいた方がいい!(113ページより)

「やった後悔」よりも、「やらなかった後悔」のほうがずっと心に重くのしかかるもの。

そして「やってみたら意外に怖くなかった」とか「最初は怖かったけど、慣れたら平気になった」というようなことも、やってみないとわからないわけです。(112ページより)

いまこそ、「自分」という人間の筋を通すときだと著者は主張しています。

また、だからこそ「本当の自分は何者なんだ」「本当の自分はなにを求めているんだ」と問いかけてみてほしいとも訴えています。

著者のいう“本当の自分”を見つめなおしてみるためにも、本書を手にとってみたいところです。

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Source: フォレスト出版

Photo: 印南敦史

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