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時代のニーズを反映する料理書。食文化研究家が語る「食」の新たな可能性

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author 岡本英子
時代のニーズを反映する料理書。食文化研究家が語る「食」の新たな可能性
Image: Mugendai(無限大)

2013年にユネスコの無形文化遺産に登録された「和食 日本人の伝統的な食文化」。和食は日本独自のものと思われがちですが、紐解いていくと近代に西洋から持ち込まれた食材や調理法を取り入れてきた歴史があります。

その和食の変化や発展を「料理書」という視点から研究している梅花女子大学 食文化学科・教授の東四柳祥子さんが、IBMのWebメディアMugendai(無限大)に登場。 「料理書」から見えてくる日本の食文化とは?

料理書から読み解く「日本食」の歴史

東四柳さんの研究テーマは主に明治・大正時代に発行された「料理書」。つまりは「レシピ集」です。

明治期といえば、西洋に負けない強い日本を作ろうと富国強兵に取り組んでいた時代。しかし、開国後に来日した西洋人の体格の良さに日本人は脅威や劣等感を感じるようにもなっていました。

そうした中で関心を寄せるようになったのが西洋人の肉食。それを裏付けるかのように、明治の早い時期から、西洋諸国の食事作法や調理法を伝授する料理書の翻訳がされるようになったと東四柳さんは言います。

過去の料理書
Image: Mugendai(無限大)

その後、女性の家庭での貢献が期待されると同時に、日常食のあり方を問う料理書が増加。明治中頃には、おいしくてバラエティー豊かな食事で家族をもてなす料理を「家庭料理」と呼ぶようになったのだとか。

明治前期は、プロの料理人のために書かれたものがほとんどだった料理書は、時代とともにターゲットを女性へと変え、手に入りやすい食材や調味料でアレンジする工夫が試みられるようになっていったそうです。

このように西洋の影響を受けながら、作り手の創意工夫が加わり発展してきたことが現代の「和食」や「日本食」と呼ばれる、無国籍で多様な料理を形作った一因ではないかと東四柳さんは分析しています。

次に待ち受けるのは「遠食×円食=縁食」?

インターネットが当たり前になった今、ほとんどのレシピは無料で閲覧できるようになり、手順を紹介した動画サイトも数多く存在しています。こうした状況を東四柳さんは次のように語っています。

作り手側もまねをするだけでなく、自分なりの一工夫を忘れないでいてほしいという願いがあります。

ネットの味ではなく、思い出の味として、家族や仲間たちと共有することも、令和の課題であってほしい。

料理には、やはりエピソードが大切です。ただおいしいだけでなく、その料理を食べた時に、過去の記憶がよみがえる、その時一緒に食卓を囲んだ人を思い出す、そんな風に料理と向き合っていければ、素敵だなと思います。

ほんのひと手間で、世界に1つしかない自分のオリジナル料理が生まれるのですから。自分のレパートリーを広げるために、多くのネット情報と賢く向き合っていきたいですね。

東四柳祥子さん
Image: Mugendai(無限大)

目に見えないコロナの脅威と対峙する今、リモート食事会やリモート飲み会といった新たなスタイルが定着しつつあります。 この令和の時代を東四柳さんは「遠食」の時代と表現。

その一方で、たとえ遠く離れていても、つながりが深まる「縁食」に育ってほしい、さらには優しい気持ちになれる「円やか(まどやか)」な食事の時間「円食」の共有が必要なのではないかと言います。

「遠食×円食=縁食」という形の食文化が広がれば、新たな「令和食」に意義があると東四柳さん。次なる挑戦にしたいと語る「円食」のあり方や、興味深い和食文化形成の背景などについてはMugendai(無限大)にて続きをお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

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