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【例文付き】ベテランリモートワーカーが、オンラインコミュニケーションで欠かさないこと

【例文付き】ベテランリモートワーカーが、オンラインコミュニケーションで欠かさないこと
Image: Shutterstock

昨年から、多くの企業でリモートワークが導入されました。

あなたの職場も、ビジネスチャットツールなどを使って同僚・取引先とやりとりすることが、当たり前になっているかもしれません。そして、リモートワークにして、よかったこと、不便なこともだいたいわかってきたかと思います。

「不便だな~」と感じる点の1つに、「オフィス内だと、阿吽の呼吸で言いたいことが伝わったのが、リモートだとそうもいかなくなった」というのがあるでしょう。

コミュニケーションの齟齬が積み重なって、ちょっと険悪な雰囲気になってしまい、オフィスワークが恋しくなった人も、少なくないかと思います。

今回はこの課題について、2016年から全社的にリモートワークを実施しているシックス・アパート(株)の広報・壽かおりさんの著書『リモートワーク大全』(ポプラ社)をもとに、どう対処すべきか、紹介しましょう。

わかりやすく伝える努力は惜しまない

オフィスで顔を合わせる毎日だと、相手の表情や状況などから、伝えたいこと全部を言葉にしなくてもコミュニケーションは成立するものです。

こうしたコミュニケーションを、「ハイコンテクストなコミュニケーション」と呼びます(コンテクストとは文脈・背景情報の意味)。

その逆が「ローコンテクストなコミュニケーション」。リモートワークの環境下では、このコミュニケーションを心がけることが大事だと、壽さん。

例えば、上司から「A社の件って、今どんな感じだったっけ?」とか「来週水曜空いてますか?」と聞かれた場合。

オフィスで上司と毎日顔を突き合わせていれば、背景となる状況も見えているため、どのように返答すべきかは、わかるものです。

それが、リモートワークだと「情報が足りず、どう返答すべきかわからない」ということがままあります。

結局、上司に詳細を確認して、コミュニケーション上の手戻りが発生してしまうことになるでしょう。

そのため、大前提として「わかりやすく伝える努力を惜しまないことが、リモートチームのコミュニケーションの大事なポイントです」と、壽さんは述べています。

言葉を省略せず明確さを心がける

では、ローコンテクストなコミュニケーションでは、どういった点に気をつけるべきでしょうか。

チャットでは情報を明確に伝える

壽さんは、書籍で6つのポイントを挙げていますが、その第一にあるのが「言葉を省かないようにしよう」

具体的には、多人数参加のチャットでは宛先を省略しない文面の主語や目的語を省かないという基本的なことだけでなく、「背景や意図や目的」もしっかり盛り込む重要性も説かれています。

以下、文例を見てみましょう。

<NG例>

「新機能リリース時のマニュアルへの記載、どうしましょう。既存機能と使い方が大きく違うんですよね」

これはNGの例。

壽さんは、「この情報だけだと既存機能とどう違うのか、マニュアル上でどんな見せ方の選択肢があるのかわかりません」と指摘。

その問題点をふまえたのが、以下の文です。

<OK例>

「@s_sato 新機能のマニュアルの記載の仕方について相談です。既存の機能と違って、利用前に設定が必要です。他の似た機能と並列に並べると誤解されそうなので、ページを分けるか、同じページ内で囲み枠にするのはどうでしょうか?」

こう書けば、相談された相手は、何を判断すればいいかすぐわかります。

また、「1週間くらいで」「少し早めに」「大丈夫です」といった不明瞭な言い方も、ついやりがち。

日時・期限も正確に伝える

これは、2つめのポイントとなる「正確に伝わる言葉を使おう」にあたりますが、「来週の火曜まで」「15分前に」「Aさんの意見に賛成です」というふうに、努めて明確に書くようにします。

1投稿1トピックにする

意外と盲点なのが、「1投稿1トピックにしよう」というポイント。面倒くささもあって、1投稿に複数のトピックを入れてしまうと、複数のトピックに対して複数の人がレスポンスしてスレッドが入り乱れ、誰が何に対して賛成・反対なのか把握できなくなる恐れがあるからです。

上司相手でも遠慮なく聞ける環境をつくる

壽さんの所属するシックス・アパートでは、コミュニケーション上の行動指針として、以下7箇条をもうけています。

  • 相手を尊重し、信頼しよう
  • 伝えないと伝わらない、伝える努力は惜しまない
  • 悩むより、行動しよう
  • 思いやるより、直接聞こう
  • 先入観を持たずに、聞いて話そう
  • アウトプットと人格は別、相手を否定するのではなく、合理的に議論しよう
  • なるべくオープンに、なるべく率直に

これらは、上司・部下、先輩・後輩の垣根を取り払い、ざっくばらんとも言えるコミュニケーションを促す環境づくりに役立っています。

例えば、上司から「来週のA社との会議用に、先日の新製品ニュースのメディア掲載記事をなるべく多く印刷しておいてください」と、言われた場合。

「なるべく多く」という言葉の意味が不明瞭(掲載記事の種類を多く揃えるのか、印刷部数を多くするのか)で、困ってしまいます。

だから、悩んで自己判断で印刷してしまうのでなく、「上司に聞けばよいのです」

自分「了解です。新製品ニュースは十数社のメディアに掲載されましたが、そのうち主要な記事を3~4記事見繕って、20セットくらい作っておけばよいでしょうか」

上司「いえ、1セットでいいです。『こんなにたくさんのメディアに載りました』を見せたいのです」

自分「なるほど、了解しました!」

このように、相手が目上であっても遠慮なく聞ける、風通しの良さを作っておくのが肝心。

聞かれたほうも、「常識的に考えればわかるでしょ」と済まさず、次回以降の依頼の仕方に気をつけるようにします。

オンライン上の雑談はやはり必要

コミュニケーションの1から10までをローコンテクストで貫くのではなく、「互いの状況を共有している同僚同士での気楽な雑談や無駄話も必要です」と、壽さんは強調します。

そのために活用したいのが、ビジネスチャットの雑談用のチャンネル。

シックス・アパートでは、Pokémon GO、野球、自転車、映画、ガジェットなど、テーマごとにチャンネルがあるそうです。

また、特定の同僚に、ダイレクトメッセージ機能で雑談メッセージを送り合うこともすすめています。

いつ返信してもいい気楽さもあり、一人で作業していて行き詰った時だと、この会話だけで気が紛れることもあります。

さらに、社員ごとの専用チャンネルを作り、Twitterのような感じで、今やっていることや考えていることを書き込める独り言チャンネルを設けている会社もあるそうです。

これを日報ならぬ「分報」と呼ぶそうで、誰でも読むことができ、コメントを送ることも可能。

わざわざ誰かに話しかけるほどでもない、ちょっと息抜きにつぶやきたいだけ、誰かが反応してくれてもうれしいし、スルーしてくれてもいい。そういうときに便利です。

スタンプで互いにはげまし合ったり、詰まっていることを書いたら誰かがコメントをくれたりすることが、気持ち的に大きな支えになります。(本書191pより)

オンライン雑談には、ほかにもDiscord(ゲーマー向け音声チャットサービス)や一般的なSNSを活用したり、オンラインランチ会やおやつ会を催したりと、さまざまなやり方が提案されています。


ローコンテクストなコミュニケーションだと、業務のスピードが低下し、細かいニュアンスも伝わらなくなるのでは、と懸念する人もいるかもしれません。

壽さんは、その点は否定せず、チームメンバーが慣れるまでの「成長痛」と捉えるよう述べています。

わかりやすく言語化し共有することが当たり前になると、業務はむしろスムーズに進むようになります。

また、電話で話をすることや、直接会う必要性は完全にはなくならず、シックス・アパートでも、月に1~2度の顔合わせの機会を設けているそうです。

『リモートワーク大全』には、こうしたコミュニケーションのコツも含め、リモートワーク全般にわたるTipsが網羅されています。

リモートワークをもっと円滑にこなしていきたいという方には、役立つ1冊だと思います。

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Source: ポプラ社

Image: Shutterstock

鈴木拓也

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