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印南敦史の「毎日書評」

ビジネスで意識したい良好な人間関係をつくる、2つの「気づかい」

author 印南敦史
ビジネスで意識したい良好な人間関係をつくる、2つの「気づかい」
Photo: 印南敦史

コーチ、セラピスト、自己啓発書の著者という顔も持ってはいるものの、『本物の気づかい』(井上裕之 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者の本業は歯科医。

その日常のなかでは相手が喜んだり、笑ったりすることを話し、歯科医を前に緊張している患者さんの心をほぐしてあげるようにしているのだそうです。

すると当然ながら、患者さんはリラックスし、どんな治療を受けたいのか、本音を話してくれることになります。また本音が聞ければ、必然的に適切な治療ができるわけです。

ところで、そもそも「気づかい」とはなんなのでしょう?

辞書的には「いろいろ気をつかうこと」となるのでしょうが、著者は次のように定義しているのだといいます。

気づかい=相手に対する愛情、思いやり、感謝の気持ちを行動にあらわすこと(「はじめに」より)

ここでいう「行動」とは、例えば感謝の気持ちをことばにしたり、手紙やプレゼントを贈って気持ちを形にすること。また、「気づかい」を身につけるためのポイントとして、著者は次の3つを挙げています。

① 「自分がうれしいと感じること」を相手にする

② 相手の立場になって「うれしいと感じてもらえること」を考える

③ 周囲を観察し「人は何によろこびを感じるか」を学んでいく

(「はじめに」より)

この3つのポイントを押さえつつ、本書では著者が自分の人生を通して感じたり、実践してきた「本物の気づかい」を具体的に紹介しているわけです。

きょうは人間関係に焦点を当てた第2章「『人間関係がうまくいく』気づかい」に焦点を当ててみたいと思います。

つながっていたい人には、1年に一度贈り物を

「つながっていたい」と感じる人との縁を切らないことは、人生に大きな影響をもたらすもの。そこで著者は、大切な人との縁をつなげるために、最低1年に一度は贈り物をすることを勧めています。

お中元やお歳暮でも、どこかへ行ったときのお土産を贈るのでもOK。高価なものである必要はなく、3000円程度で十分だといいます。でも、なぜ贈り物なのでしょうか?

贈るほうは相手を思って送ります。贈られたほうは「あの人からきた」と思って受け取ります。

贈り物を介してお互いを思い合うことで、つながりができるのです。 これが大事なのです。(68〜69ページより)

心のこもっていない形だけの贈り物のやり取りは不要ですが、心のこもっている贈り物であるなら話は別。

お中元やお歳暮も、おつきあいをしていきたい会社に贈るのであれば、心を込めて贈ったほうがいいということ。事実、著者のまわりでは、ことあるごとに贈り物をしている人は仕事ができ、結果も出しているといいます。

また、「つながっていたい」と思う人には、贈り物に加え、手紙やメールなどで1年に一度は連絡をとるようにし、可能なら実際に会う約束をしてみるのもいいそうです。

「ご相談したいことがあります。ご無沙汰しているので、お顔を拝見させていただいて、お話しできるとうれしいのですが」と連絡をとるわけです。

相談事は深刻な内容でなくてもよく、あるいは相談事でなくても、「お近くに行くので寄らせていただきたい」でもいいといいます。

大切なのは、継続して連絡を取ることです。継続は信頼につながります。

「毎年、律儀に贈り物を送ってくれる」「連絡をくれる」そのこと自体が、信頼を貯金していることになります。(70ページより)

そうしてつながっていると、なにかあったときに頼みごとがしやすくなるわけです。(68ページより)

気難しい人への悩みがなくなる気づかい

いい仕事はするし、能力は高い。けれど、コミュニケーションがうまく取れない。そんな人は、どこにもいるものです。

そういう人を相手にするのは難しくもありますが、対応としては「結果にフォーカスして、譲れるものはすべて譲る」ことが大切。そして、それ以外はいちいち感情を持ち込まないようにすることも重要。

たとえば「いい商品を生み出す」という結果を求めているのであれば、「いい商品を生み出す」ことだけに注目し、相手の頑固さや、口の悪さには右往左往しないことが大切なのです。

それよりも、相手のよさを生かしてよりよいものをつくり上げることに注力すべきだということ。

ちなみに職人気質の人とうまくつきあうための気づかいのポイントは、次の2つだとか。

① やりあわない

② 相手を認める

(118ページより)

まず①は、相手は強い口調で言ってきたときに、相手のペースに乗らないことが重要だということ。相手が打ってきた強い球を打ち返すと、また強い球が返ってくることになります。

同じことで、相手が強く言ってきたとしても、普通の口調で「そうですね」と軽く返せばいいのです。

強いことばが飛んでくると、人は「責められた」「自分が悪いんだ」と拒絶された気持ちになってしまいがち。しかし強いことばを投げてくる人は、人に拒絶された経験も多く持っているもの。

だからこそ、相手の気持ちを受け止めてあげるやさしさが大切だという考え方です。

そして②は、相手の意見が自分の意見と違っていたとしても「それは違います」と反論せず、逆に「そうなんですね」と丸ごと認めてあげるべきだということ。

いいところもそうではないところも、その人の個性。そのため否定せず、むしろ「いいところ」にフォーカスするべきだというのです。

そうした気遣いをすれば、その人のよさに磨きがかかり、さらに伸びることに。そして、それが最高の成果につながっていくというわけです。(116ページより)

このように本書の内容は決して難しくなく、誰にでもできる簡単なことばかり。

最初はひとつでもふたつでもいいので、できれば継続してやってみてほしいと著者は記しています。そうすればやがて、自然と気遣いができるようになるから。試してみる価値は充分にありそうです。

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Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

Photo: 印南敦史

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