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副業特集―My Another Path

経験こそ副業の最大の武器。幾多の転職を経てわかった「強み」の見つけ方

author 岡本英子
経験こそ副業の最大の武器。幾多の転職を経てわかった「強み」の見つけ方
Image: エンファクトリー, Kaikoro/Shutterstock.com

My Another Path

働き方が多様化するなか、「副業・複業」「ギグワーク」といった道を選択する人が増えつつあります。1つの仕事にとどまらず、さまざまなプラットフォームで活躍する人の働き方・生き方の“リアル”をお届け。

新型コロナウイルスの影響でリモートワークが加速化するなど、働き方が大きく変化しています。

これまでの当たり前が当たり前ではなくなり、不確実なことが多い今、注目されているのが副業です。

今回お話を伺ったのは、2011年の創業以来「専業禁止」を掲げ、いち早く副業を推奨している株式会社エンファクトリー飯田康介さん

2020年5月に入社し、7月に執行役員 CTO兼クリエイティブユニットのユニット長に就任された飯田さんは、6年前から副業を続けています。

それ以前は、大手クラウドソーシング会社、クラウド人事労務会社、小売向け在庫管理システム会社など名だたる企業に在籍し、社会人生活18年間での転職回数はなんと2桁! その転職経験を生かして、現在は副業でエンジニアのスキルチェックやメンタリング、技術顧問を担うなど幅広く活躍しています。

本業ではできない仕事ができることが副業の良さであり、もう1つの自分の居場所でもある」と話す飯田さんに、副業を始めたきっかけや、本業と副業を両立させる方法、転職経験を生かすコツといった“リアルなところ”を伺いました。

ネガティブに捉えられがちな「転職回数」が強みに

山頂で目的地を見据える男性
Image: GoodStudio/Shutterstock.com

――これまでのご経歴を教えてください。

最初にインターネット業界に入ったのは社会人4年目の2006年で、大手自動車情報サイト会社に入社しました。SNSのインフラやアプリケーション開発をしていましたがスタートアップに近い環境で仕事をしたかったこともあって、約7年勤めた同社を、独立して起業する同僚について退社したんです。ところが、いざ入社となったらその会社にキャッシュがなくて実現できず…。

そんな中縁があったのがAll Aboutでした。ここで現エンファクトリー代表の加藤と出会うことになるのですが、それ以来、定期的に会って情報交換をする仲となりました。All Aboutには1年半ほど在籍していましたね。

その後、インターネット広告会社の新規事業開発を行なうグループ会社に入社してシステム全般を担当し、洋服のコーディネートを投稿するSNSの立ち上げを経験したり、その数年後には大手クラウドソーシング会社や価格調査会社に転職してチームリーダーとして社内業務システムの構築やチームビルディングをしたり。価格調査会社ではCTOというポジションでしたし、色々な経験を積むことができました。

さらにその後、新しい環境でチャレンジしたくなって、2018年1月に色彩特化型ECサイト会社に転職してVPoEに就任、同年8月に同社が在庫管理システム会社に生まれ変わってからはVPoE兼CHRO兼管理部マネージャーとして、人事や管理部のマネージャーも兼任しました。ここで経理やバックオフィスのDX推進の経験も積みました。

――現在のエンファクトリーでのお仕事について教えてください。

CTOとしてIT全般を管轄しているのと、クリエイティブユニットのユニット長として、エンジニアやデザイナー組織の再構築をしています。

エンファクトリーに入社したのが2020年5月と新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の真っ只中。7月にCTOに就任したものの9月まで出社したことがなく、メンバーと対面する機会もなかったので正直不安はありましたが、なんとかユニットを立ち上げることができました。

今はハブ的な役割を担い、デザイナーやエンジニアとコミュニケーションをとりながら各ユニットのミーティングに参加し、問題を課題にして解決しながら、2021年以降のクリエイティブの成果をどうあげていくかを中心に考えています。できればクリエイティブユニット主導で何か新規事業を始めたいと模索しています。

歯車と働く人々
Image: Enkel/Shutterstock.com

――副業を始めたきっかけや目的を教えてください。

副業を始めたのは、大手クラウドソーシング会社に勤めていた2014年です。もともと同社は副業を推奨している会社だったので、当時たまたまWantedlyを眺めていたら、それまでの転職で得た経験が副業に生かせることに気づいて。そこから副業を始めました。

以前から、ぼんやりと「フリーランスになってみたい」という思いがあったのと、たくさん転職しているだけあって色々なことに興味があるみたいなんです。特にベンチャーへの関心が高くて、何か手助けができたらいいなという気持ちが漠然とあって。

たとえば、僕のようなシニアエンジニアが若手のベンチャー企業に入ると物事がうまくまわるんじゃないかと思っていて、試しにジョインしてみたら、実際に「意外とそういう人を求めているな」と感じました。

転職はしないけれど、副業という形で入れたら色々なことを知ることができていいなという気持ちがありました。

――副業の仕事内容を具体的に教えてください。

副業を始めたばかりの頃は、WordPressの運用をしたり、技術顧問的な立場としてスタートアップの若い会社にアドバイスする形で入ったり、試行錯誤していました。

その後はタイムチケットを利用して相談を受けていましたね。CTOという肩書きがあったこともあって、エンジニア組織や技術的負債に関すること、サービスの立ち上げに関して相談に乗ってほしいなど様々な依頼をいただきました。ツールやサービスをうまく使えば、エンジニアでも営業しなくても仕事につながるんですよね。これが約3年続けた副業です。

小売り向け在庫管理システム会社に勤めていた時代は人事やバックオフィスのDX推進も担当していたのですが、僕のようなエンジニアが入ることによって、今までのフローをガラリと変えられると実感値として感じることができたので、これもうまくいけば副業につながると思っていました。

その当時のノウハウを生かして、現在は人事採用のフォローやアドバイザーを副業としています。

副業は自分の違う面を発揮できるもう1つの居場所

様々な図形を手に持つ男女
Image: GoodStudio/Shutterstock.com

――副業に役立った経験・スキル・知識は何ですか?

人事やウェブサービスの開発など、ベンチャー企業にいたすべての経験が役立っていますし、大手クラウドソーシング会社など今や名の知れた会社にいたことは信憑性にもつながっています。

「転職回数が多い=ネガティブ」なイメージがありますが、僕が複数回転職したことは、言い換えると色々な企業にいた経験値になるので逆に強みだなと思っていて。実際に、今では大手となった企業の過渡期に在籍していた経験をベースに話をすると現場の人に刺さる。だから視点を変えるって大事ですよね。

以前、ある会社の技術顧問を務めていたのですが、業務内容がメンタリングに近くて。エンジニアのトップって結構孤独です。だから僕が過去の辛い経験を話すと、相手の方から「そうですよね」って共感されることが多かったんです。

第三者的な立場で自身の経験を話したり、共感したりすると満足してくれました。だから、今までの経験は生かせると思っています。

――逆に、副業を始めたことで本業への影響は何かありましたか?

副業って、本業とは違うもう1つの自分の居場所だと思っていまして。本業ではできないことが副業でできたり、本業とは違う面の自分を解放できるので、結果的にそれがストレス発散にもなっています。

たとえば、本業でリーダーやマネージャーという立場だと、自分で手を動かさずに部下や後輩に仕事を任せた方が良い。でも、「本当は手を動かしたい!」というときに、それを副業で実践できるので自分のやりたいことを実現しつつ、スキルが身につく良さもあります。

あとは、こちらにとっては“副業”だけど、相手は“本業”の相談をしにきてくれているので、真剣に向き合わないといけないという責任感もあります。その経験は間違いなく本業に還元できます。

――転職先を決めるときには、やはり副業できるかどうかは重要なポイントですか?

副業は本業に良い影響を与えるので、転職時には副業OKかどうかは最初に確認しています。

実は、前職では「副業・リモートワークOK」に僕が就業規約を変えたんです。当時は子どもが産まれたばかりだったので試験的に週に2回リモートワークをさせてもらっていて。自分自身でどちらも仕事に支障がないことを実証してからは、会社の規則も変更しました(笑)。

重要なのは業務内容にどう付加価値をつけるか

平均台に飛び込む男性のイラスト
Image: MJgraphics/Shutterstock.com

――副業に費やしている時間や、収入について教えてください。

2歳の娘の子育てもしないといけないので、今は週に1回、月曜日に1時間のオンラインミーティングのみと副業の時間を調整しています。たまに調べ物が必要なときなどは、30分ほどで済ませるようにしています。

割合で考えると、ピークで副業をしていたときを10としたら、今は2くらいに抑えている感じかな。それだけ減らした分、業務内容にどう付加価値を付けるかと、だらだらと時間をかけてやらないようにしています。付加価値ってとても大切で、それが発揮できればお客様は納得してくれますし、そうすることでエンジニア全体の水準が上がると思っています。

以前、ある人から「あまり単価を安くするとそれが業界全体の水準になってしまう」と聞いたことがあるので、単価交渉をするときは十分に話し合いながら進めるよう意識しています。正直なところ、そこは大変といえば大変ですよね。

収入に関しては、年間100万円ちょっと。月10万円を超えるほどの労働となると体力的にちょっと厳しいというか、常にオンの状態になっちゃって、頭が疲れるうえにオン・オフの切り替えが難しくなってしまうんです…。だから、今の自分には月に10万円稼げるくらいがちょうどいいんじゃないかなという感覚です。

――副業のメリットとデメリットを教えてください。

メリットは、本や勉強会など自己投資に使えるお金が増えることですね。以前には、本業・副業の両方に生かせると思ってマインドフルネスの研修にも参加しました。投資しても将来的にかけたお金は回収できるし、いいことばかりなので副業はやったほうがいいと思います。

ただし、自己管理できない人は副業には向いていないかもしれません。ちゃんと自己管理できるなら、収入も増えるし、勉強はできるし、ほかの会社を知ることができるし、相手も喜んでくれるし…いいことばっかりです。

デメリットは、体力と家庭のことですね。子どもや家族がいる人はちゃんと家庭のケアもしないと。特にリモートワークになってからは、働いている姿が見えやすくなったいっぽうで、仕事をしていても「家にいるのに何も家事をしてくれない」と言われがちなので。少し副業しづらくなったと感じる部分はあります(笑)。

――本業と副業を両立するための工夫や仕事術はありますか?

まずは、本業に支障が出ないようにすること。そして、本業と副業をどう切り替えるか。コツは、早めにスケジュールをおさえてその通りに動くこと。もやっとしているところを早めに詰めて、早めに具体化することですね。

以前、本業と副業の繰り返しで体調を崩した経験があるので、うまく循環させるためのセルフマネジメント術、タイムマネジメント術はある程度身についたと思います。

最近、個人的に使っていておすすめのツールはNotion。オールインワン型のツールで、カレンダーやメモなど全てを管理できてすごく便利です。いまは本業も副業もこれで管理しています。

本業と副業の区別をしない、「すべて本業」の時代に

さまざまなプラットフォームで活動する人々
Image: Ardea-studio/Shutterstock.com

――6年前から副業を続けていらっしゃいますが、独立せずに副業にとどめている理由はあるのですか?

僕個人としては、本業あっての副業がバランス的に良いです。

少し前から、副業は“すべてを本業”と捉えるパラレルワークとして「複業」とも呼ばれています。やがては、そうした考え方がスタンダードな世の中になると感じますし、僕自身もパラレルワーカーとしての働き方をしたいと思っています。

これまでの経験から、“おっさんエンジニア”がいることによるメリットはあると実感しているので、今後も色々なスタートアップ企業や若い会社に参加させてもらって、その会社の成長に貢献できたらと思っています。そのときはすべてが本業になっているかもしれませんね。

――今後のキャリアプランや展望について教えてください。

エンファクトリーも「専業禁止」をうたっていますが、いまでは働く場所がどこでもOKという時代に向かっています。そうなると今後、働ける人がより働くようになるんじゃないかと思うんですよね。

終身雇用や週5日出社など、これまで当たり前だと考えられてきたことがガラッと変わる世の中になりつつあると思うので、今後はこれまで自分が経験してきたエンジニア、採用、経理の業務に加えて、全く違うジャンルの仕事をするのもリスクヘッジとしてありかなと思っています。

また、コロナの影響もあって最近はDXという言葉を見聞きする機会が増えてきました。ハンコ廃止をはじめとしたデジタル化が進んでいるので、エンジニアかつ管理部門も見てきた自分の経験を生かしながら、今後様々な分野に繋げられるのではないかと。

データフローや業務フローを整理するのは、間違いなくエンジニアのほうが向いていますし、オープンソースとか皆でやることがエンジニアにとっては当たり前なので、今後は全体が良くなるようないいものをどんどん提供したいと思っています。

今後の野望

これまでの経験とスキルを生かして、様々な分野での貢献に挑戦すること。

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Image: エンファクトリー, GoodStudio(1, 2), MJgraphics, Enkel, Ardea-studio/Shutterstock.com

Source: エンファクトリー

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