「座りっぱなし」による弊害は、たった○分の運動で解決できる|研究結果
- カテゴリー:
- HEALTH

パンデミックのせいで、デスク業務の人は以前よりも動かない時間がずっと長くなり、ベッドから転がり下りてノートパソコンを開くのが「通勤」になっているかもしれません(経験者)。
しかし、ある新しい研究によると、短時間の運動であっても、何時間も座っていることの健康への悪影響を相殺することが可能なのだそうです。
この研究の共同著者の1人であるコロンビア大学の行動医学助教授のKeith Diazさんは、次のように語っています。
3~4年前、初期の研究やメディアの見出しは、運動をしていたとしても「座っているのは新しい喫煙」だと言い、1日中座っているなら運動は関係ないという考え方でしたね。
今回の研究では、どちらも重要だということが示されたと思います。不活動な生活から生じる悪影響は、どれだけ「中程度から強度の身体活動」をするかによって変えられる可能性があり、逆もしかりです。
運動がもたらす利益は、座っている時間の長さによります。
11分の運動でも効果は発揮される
この研究は約4万5000人を追跡した他の9つの研究のメタ分析で、最も不活動な人が早死にするリスクがあることがわかっています。
しかし、1日に8.5時間も座っていたとしても、わずか11分の適度な運動でそのリスクを大幅に減らすことでき、30〜40分の運動ではさらに効果があったそうです。
中程度から強度の運動というのは、活発なウォーキングやサイクリングに相当します。これは1度に行なう必要はありません。過去のある研究では1日中動くのも役立つことがわかっています。
Diazさんは次のように話しています。
30分間運動するか、1分の運動を30回するかは関係ありません。これまでのガイドラインでは10分以上の運動が推奨されてきました。
でも、今回の研究では必ずしもそうでなくても良いことがわかりました。
どんな動きでも、どんな長さでも、十分な量に達する限りは有益なのです。
過去には、座っている時間の悪影響を相殺するには1日75分の運動が必要だとする複数の研究がありました。
しかし、古い研究は得てして不正確な自己報告のデータに依存しています。被験者は座っていた時間を正確に思い出すことができず、また、怠け者だと思われないような報告をする傾向があります。
しかし、もっと最近の研究では活動モニターからの客観的なデータが使われています。
手段は何でもいい。とにかく体を動かすべし
Diazさんは、11分間の運動だけで長時間座っているリスクを完全になくすことは無理だと強調します。
でも、一定時間座っていることが避けられないなら、どんな動きでもメリットはあります。
ここで重要なメッセージは、運動の観点から健康リスクを下げるのにはいろいろな方法があるということです。
「バスの運転手だから、タクシーの運転手だから、1日中移動しているし、途中で運動はできない。座るのが仕事の一部なのだから」と言うかもしれませんが、仕事の後にジムへ行くことはできます。
そこで30分運動すれば、座っていることの悪影響の多くが解消できるでしょう。
ジム通いができないなら、仕事中に休憩をとって体を動かすことができるかもしれません。
1日を通じてちょこちょこと動くだけでも、リスクを下げられます。それを実行する方法はたくさんあります。
今回の研究では、活動モニターは使用者が立っているか座っているかを判断できないため、毎日の立ち時間については考慮されませんでした。
しかし、昨今のスタンディングデスクの人気にも関わらず、立っていることが座っているよりも良いのかどうかについて、科学的にはまだ明らかではありません。
2〜3時間立っていると血圧が上昇する可能性があるとする研究もいくつかあります。Diazさんは次のように述べています。
立っていることが必ずしも良いかどうかはわかりません。
しかし、座っている仕事の悪影響を軽減するためにどうするべきかと尋ねられたなら、体を動かすことが良いのはわかっていると答えます。
長年判明していることですし、これこそわたしが支持していることなんです。
あわせて読みたい
Image: PopTika/Shutterstock.com
Source: BMJ Journals
Originally published by Fast Company[原文]
Copyright © 2020 Mansueto Ventures LLC.
訳:ぬえよしこ