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特集:ともに働く―Tips for a working couple

アメリカ初の「セカンド・ジェントルマン」に考える、パートナーの支え方

author ぬえよしこ
アメリカ初の「セカンド・ジェントルマン」に考える、パートナーの支え方
Image: Gettyimages

2020年のアメリカで、コロナにつぐ大ニュースは大統領選挙。オバマ大統領の副大統領だったジョー・バイデン氏が46代目大統領に、そして、彼の副大統領は史上初だらけのカマラ・ハリス氏。

女性というだけではなく、黒人・アジア系(父親がジャマイカ出身、母親がインド出身)というのも初めてなのです。

そして、カマラ氏の夫、ダグ・エムホフ氏は史上初の「セカンド・ジェントルマン」として注目を浴びています。セカンド・ジェントルマンとは副大統領の夫で、彼はその呼称を受ける最初の男性になります。

仕事を辞めるセカンド・ジェントルマン

エムホフ氏はカリフォルニアの弁護士事務所に勤務する弁護士ですが、その職を辞して、給料も決まった職務もないセカンド・ジェントルマンとしてこれからの4年を過ごします。

妻のカマラ氏がバイデン氏の副大統領候補になった瞬間から、その可能性はあったわけで心の準備はできていたはず。自分が積み上げてきたキャリアを、一時的かもしれませんが去ることに密かな思いはあるのかもしれません。

でも、考えてみれば、これは出産や育児、夫の転勤などで、自分の仕事をやめたり休職する女性と変わりはないのです。

ちなみに、次期ファーストレディーのジル・バイデンさんは、夫が大統領になる2021年1月20日以降もコミュニティカレッジでの教職を続けると公言しています。自分の仕事を続けるファーストレディーというのも前代未聞なのだとか。

まず、家事に対する意識を見直す

前代未聞がたくさんあるアメリカ大統領・副大統領夫妻の姿に、パートナーシップについてあらためて考えてみました。

コロナ禍で特に仕事を取り巻く状況は大きく変わり、そして家庭の状況も変化しつつあります。

アメリカでは妻・母親の負担がますます増えているというニュースがたびたび伝えられていますが、日本でも女性の負担が増えているという記事をいくつも目にしています。

ライフハッカー[日本版]でも、11月に共働きの既婚有職女性を対象にした調査結果に触れた記事がありました。

それによると、家事の分担の必要性を痛感する女性が半数を超えているのに、実際には分担は以前と変わらないと答えている人が6割。仕事をする妻の負担は変わっていないのです。

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わたしが観ているドラマに『極主夫道』があります。

玉木宏さんが目の保養なのですが、彼の演じる龍さんのセリフや態度には、主婦・主夫(家事担当者)を認め称え、家事の重要性を切々と訴えるものがあり、それを聞くたびに「まったくその通り!」と心の中で叫んでいる自分(既婚者有職女性)がいます。

コロナで仕事環境は変わっても、「家事は妻がするもの」「夫は仕事して稼ぐ」という意識はその変化についていっていないのかもしれません。

家事を担当していないパートナーのほうは「家事は相手の仕事」と思っていて、それを疑問に思ったこともないのかもしれません。以前にも書いたのですが、家事をしないほうのパートナーは「手伝う」という言葉を使っていませんか。

その言葉には、相手が主体であり、自分は補佐的という考え方が見え隠れしているかもしれません。自分の気が向く時、自分が気が向く家事だけを「手伝って」いませんか。

なぜ、自分がその家事を「やる」とは言わないのですか。なぜいろいろな家事をやらないのですか。今こそ、家事に対する自分の考えを見直すチャンスです。

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次は、はっきり伝え合う

こう考えていくと、家事や育児は有償の仕事と同じように重要であるとおたがいが確認することがスタートだと言えるでしょう。

そして、支援してほしいことをはっきり伝えるのが次のステップです。

育った文化も社会も母語も違う配偶者との生活で、わたしがじわじわとわかってきたことは、相手がしてほしいサポートをするのがうまくやっていくポイントだということ。

そのためにはおたがいがどのように支えてほしいかを伝えなければなりません。自分がしてほしいことを伝えた時にムッとされる可能性はあります(経験あり)。

でも、その支援が実践されるかどうかにかかわらず、伝え合うことによってそれぞれが望んでいるサポートについてわかり合うことはできます。

こちらの記事では、仕事で実践しているコミュニケーションやスキルを家庭でも実践することをすすめています。

以心伝心の国出身のわたしが、ラテン系の夫に以心伝心を期待することが無理というもの。

日本人同士では、文化も言語も共通だと思っていて疑問に思わないかもしれません。ですが、同じ国出身だからといっても、育った環境や考え方には意外に異なる部分が多いかもしれませんし、むしろそのほうが当然のような気がします。そんな視点も役立つかもしれません。

あなたはパートナーのアライですか?

近年、アライシップ(allyship)という言葉を目にするようになりました。

通常、アライ(ally)というのは、自分がLGBTではなくてもLGBTの人たちに寄り添い支援する人、連帯者を意味して使われています。

大統領選挙前、エムホフ氏は、妻が副大統領になったらどうするかという9歳の男の子からの質問にこう答えています。

「まず『やった〜!』と叫ぶね。それから、いつもやっていることをする、つまりカマラを応援し続けるよ。

自分に関係のある、強くて素晴らしい女性を支援することは、男性や男の子にとってとても重要だからね」

Twitterより翻訳引用)

この言葉に、アライシップを感じました。

パートナーシップに、おたがいを支え合い連帯するというアライシップが含まれているのは前提でしょう。

しかし、コロナ禍でますます浮き彫りにされた家庭内の不平等、特に女性の負担が増えているという現状を考えると、今、パートナーシップにおけるアライシップをあえて意識する必要を感じます。

ニューノーマルのパートナーシップを見直す

コロナに明け暮れた2020年は終わろうとしていますが、ウィズコロナ時代は来年も続きます。変わってしまった働き方がもとに戻ることはなさそう。

ということは、ニューノーマルにおいて、変化した働き方によって影響を受けているパートナーシップについても再考し更新していく必要性が浮き彫りになってきます。

家族として、かつ個人としてより充実して暮らしていくために、状況の変化に応じて自分たちが最善と思えるパートナーシップを構築してゆくことは必須です。

夫が有償の仕事をして、妻が無償の家事を担当することでうまく回っている家庭。仕事も家事も半分ずつのカップル。『極主夫道』のように、夫が専業主夫で妻が仕事をしている夫婦。

性別や年齢や仕事の有無などに関わらず、パートナーシップの形は、その時々で、それぞれ違っていて良いのです。正解はありません。

ただ、パートナー同士が納得する形で仕事や家事などを分担し、おたがいを支え合うことが真のパートナーシップの根幹であることは、コロナ以前でもニューノーマルでも変わらないはずです。

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Source: NPR 1, 2, Fatherly, Twitter, 野村総研

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