
自宅を「集中できる環境」にする<ロジカル片付け連載>。
第3回のテーマは、片付けの習慣化。
自宅に「精神と時の部屋」をつくる第1回、片付けがラクになるメンタルを深掘りした第2回に続き、「ロジカル片付け」の達人である米田まりなさんに教えてもらいました。
どんな部屋も整う、4ステップ「片付けフロー」
片付けの基本は、モノの「定義づけ」と「定位置作り」の繰り返し──と語る米田さん。
「一気に片付けるとリバウンドしやすいのは、『定義づけ』に疲れてきて、曖昧なまま収納するから。
片付けは、経理と同じなんです。
請求書を勘定科目に従って仕分けするように、モノにも1つずつ定義を決めさえすれば、9割方片付けは終わります」(米田さん)
片付けにおいては、必ず以下のフローを意識してほしいと米田さん。
- 全部出す
- 定義づけをして分ける
- 定位置を決める
- 使ったら戻す
非常にシンプルですが、米田さんいわく「このフローを意識するだけで、どんな部屋でも絶対に片付く」とのこと。
逆に見た目だけキレイにしても、「全部出し」の作業を省略すると数日間ですぐリバウンドしてしまうので要注意です。
モノの「アーカイブ化」で片付けがラクに
なぜ最初に「全部出し」を行うかというと、モノの定義を確実に決めていくためです。
米田さんのメソッドでは、経理の仕訳やPC上のデータ整理のように、部屋にあるモノを整理していきます。
「整理のキーワードとなるのがアーカイブ(一時保存)です。
アーカイブとは、主に書類や電子データの整理に使う言葉。すぐに使う予定はないけれど消したくないデータを、専用の保存領域に移し、保管することを意味します。
多くの人が“仕分け”と“捨てる”を同時に行いますが、これは挫折のもと。
データと同じく“アーカイブする”と“機会を改めて捨てる”、この2段階にわけることで、ストレスなくスピーディーに片付けられます」(米田さん)
あとで後悔しないように、“残す”と“捨てる”を正確に判断するのは難しいもの。
確かにこの方法なら、捨てるストレスがかなり減りそうですね。
日次・週次・月次・年次でモノを6つにわける

いよいよ「定義づけして、わける」ステップに進みます。
コツは「使用頻度」を軸として、6つのフォルダをつくることです。
1.今日使うモノ→「日次フォルダ」へ
2.今週使うモノ→「週次フォルダ」へ
3.今月使うモノ→「月次フォルダ」へ
4.今年使うモノ→「年次フォルダ」へ
(使う時期が決まっているモノは使う時期を記して保存。決まっていないモノは内容を記して保存)
5.愛着のあるモノ→「メモリーフォルダ」へ
6.1年以上使っていないモノ・愛着はないけれど何となく捨てにくいモノ→「手放す」か「保留(迷い中)フォルダ」へ
「“直近でいつ、そのモノを触ったか”という実績ベースでモノをわけていきます。
未来の“使いたい”ではなく、直近で実際に“使ったか”で、真実に基づき判断をしてください」(米田さん)
日次 → 年次の順に収納していく
モノをフォルダにわけたら、次のステップは「定位置を決める」です。
優先順位の高いものから取り出しやすい場所に収めていきます。
仕事関連なら以下の場所に配置するのがオススメ。

このように「定義づけ」をしてから「定位置を決める」と、部屋に使うモノと使わないモノが混在しなくなり、生産性の高い部屋になります。
一時の「片付けハイ」で必要なモノまで捨ててしまうこともありません。
※ハンディゾーン:手が届く取り出しやすい位置。
ハイブリッドワークでの忘れ物はどう防ぐ?

リモートワークの増加に伴い、いま悩んでいる人が多いのが、お財布、PC、ガジェット、化粧ポーチなど、家でも会社でも使うモノの収納です。
「同じバッグを使う人はまだいいのですが、服に合わせてバッグを変える人は、とくに忘れ物が多くなりますよね。
オススメは、こうした“忘れ物しやすいモノ”を置く定位置を玄関まわりにつくること。
社員証、時計、お財布、化粧ポーチなど、帰宅したら必ずそこに戻して、出かけるときは確認することを習慣化しては?
メイク道具やモバイルバッテリーなど、家でも外でも頻繁に使うものは、思い切って2個買いすると効率的です」(米田さん)
定位置を決めても戻せなかった場合は、そもそも定位置の設定が悪い可能性が大。
「私自身もそうなのですが、ずぼらな人ほどハンディーゾーンに置くモノの数を減らして、“大きめのカゴに投げ入れる”くらいの難易度に変えていきましょう。
出し入れに工数がかかる収納グッズは見た目がおしゃれでもオススメできません」(米田さん)
月次・年次フォルダの収納法
キレイな部屋を維持する絶対条件は、「日次フォルダ」と「週次フォルダ」に分類したモノを、出し入れしやすい場所に片付けること。
対照的に「月次フォルダ」と「年次フォルダ」に分類したものは、「同じ面積でいかに効率よく詰め込めるか」を重視します。
「月次・年次フォルダの収納に適しているのがクローゼットや押し入れです。
クローゼットは服をしまう場所というより“月次フォルダの倉庫”として機能させましょう。積載効率積載効率を上げるためには、“箱”を使うのがオススメです」(米田さん)
クローゼットのなかでも、「週次フォルダ」に分類される服やバッグは取り出しやすい場所に収納。
ストックやたまに見る書類、本などは箱につめ、枕棚や下段などに置くと効率的です。
収まりきらないモノはどうする?

基本的に「月次フォルダ」のアイテムまでは、どの家のスペースでも収まるはずと米田さん。
あふれる可能性が高いのは、「年次フォルダ」や「メモリーフォルダ」に分類したモノです。
「年次フォルダ」に分類されるモノは幅広いので、使うシーンごとにさらに3つに分類していきます。
1.使う時期が決まっているモノ
オフシーズンの衣類や布団、行事用品など
2.突発的に使うモノ
趣味のキャンプ・スポーツ用品や来客用のおもてなしグッズなど
3.愛着があり捨てられないモノ
思い出の品、コレクションなど
「これらのうち1と3に分類したモノは、『サマリーポケット』のような外部ストレージの利用がとてもオススメです。
2は、急に必要になるモノなのでクローゼットや押し入れの奥・天袋など、家のバックヤードに当たる場所に収納しましょう」(米田さん)
外部ストレージを利用すれば、空調とセキュリティが管理された空間で大切なモノを保管できます。
愛着のあるコレクションや、必要になる時期が決まっている季節物の収納には最適です。
米田まりなさんが教える<ロジカル片付け連載>。
最終回のテーマは「チームワークで片付ける」。夫婦間やパートナーと片付けによるケンカを防ぐ、コミュニケーションのポイントをお伝えします。
整理・収納コンサルタント 米田まりなさん

東京大学経済学部卒、2014年住友商事入社。現在は株式会社サマリーに出向し、資金調達やデータ解析業務を行う。2020年3月、Discover21より『捨てない片づけ』を出版。12月にPHP研究所より『集中できないのは、部屋のせい』を出版予定。
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Image: Shutterstock
田邊愛理
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