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副業特集―My Another Path

低リスクで場数を踏める。3つのキャリアをかけ持つ“リアル”なところ

低リスクで場数を踏める。3つのキャリアをかけ持つ“リアル”なところ
Photo: 松島徹

My Another Path

働き方が多様化するなか、「副業・複業」「ギグワーク」といった道を選択する人が増えつつあります。1つの仕事にとどまらず、さまざまなプラットフォームで活躍する人の働き方・生き方の“リアル”をお届け。

人々の働き方が大きく変化するなか、大手企業でも「副業・複業」解禁の動きが進んでいます。

こうした流れに先駆けて、2017年10月から社員の副業を解禁しているのが株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)。そのなかでも、今回は3つのキャリアを併せ持つ楠薫太郎さんにお話を伺いました。

楠さんは、紙媒体のデザイナーからキャリアをスタートし、フリーランスを経て2012年にDeNAに入社。

現在はデザイン組織及び開発組織のマネジメントや子会社である株式会社DeNA Games Tokyoの取締役も務めながら、元DeNAの仲間が創業した株式会社タイムラボで取締役CDOとしても活躍しています。

「場数を踏めるのが副業のメリット」という楠さんに、副業を始めたきっかけやメリット・デメリット、そして本業との両立の仕方といった“リアルなところ”を聞きました。

友人からの軽い相談が、いつしか壮大な目標に

楠さん
Photo: 松島徹

――これまでのご経歴を教えてください。

大学は商学部でしたが、在学中にデザイン会社でデザイナーのアシスタントのアルバイトをしたのが最初の仕事です。就活もしたんですが、あまり身が入らなくて。そのままの流れでデザイナーになり、Webの制作会社や音楽系の案件を扱うデザインスタジオなど、DeNAまでに6社程を経験しています。

DeNAの前は株式会社ロボットで、業務委託契約という形で公式Webサイトの運営ディレクションとデザインをやりながら、フリーランスとして個人の仕事もしていました。

ただ、ずっと自由な環境で働いていたので、一度はちゃんとしたサラリーマンになりたくて。それで出会ったのがDeNAだったんです。DeNAは今年で8年目なので、今までで一番長く在籍している会社になりました。

――現在のDeNAでのお仕事について教えてください。

主務としてはゲームの開発全般をマネジメントする、ディベロップメント統括部の副統括部長をしています。また、同じ部署にデザイン部というクリエイターが集まる組織があり、そこでは副部長として組織の戦略や新卒の人材育成、派遣社員のマネジメントを担当しています。

加えてDeNA Games Tokyoというゲーム運営に特化した事業を行う子会社で、取締役として経営に携わらせてもらっています。

楠さん
Photo: 松島徹

――副業を始めたきっかけを教えてください。

タイムラボ創業者の保積雄介と友成琢は、もともとDeNAの同僚です。当時は、一緒にブラウザゲームのタイトルを運営したり、アプリゲームの新規立ち上げをしていました。お互いの人となりや強みもよく知っているから、それで声をかけてくれたんだろうと思います。

保積はDeNAの子会社である「DeNA Games Osaka」の代表を退職してタイムラボを立ち上げたんです。最初はお酒を飲みながら情報交換程度に話を聞くくらいでしたが、会社を登記するときに「ロゴを作って欲しいなぁ」とやんわり頼まれまして

そこからプロダクトのUIであるとか、具体的な相談もされるようになって。その後、正式に「手伝ってほしい」と誘われました。

――タイムラボでの仕事内容について簡単に教えていただけますか?

タイムラボでは、日程調整のムダを減らす新しい日程調整サービスや、時間をデザインする時間管理ツールなど、「時間」に関するプロダクトを開発しています。僕はプロダクトのUX設計から携わり、UIの整理、デザイナーやプログラマのアサイン、ディレクションも含めて、幅広く関わらせていただいています。

タイムラボには「世界から時間のロスをなくす」という壮大なテーマがあるんです。「時間の価値」って言葉としてはわかりやすいけれど、じゃあ生活のなかで時間をどういう優先順位で扱っているのかというと、みんな価値観がバラバラですよね。

みんなが時間の価値を正しく理解して、有意義に時間をコントロールできれば、この世界でもっとも大切な資源である時間のロスを削減できる。まずは具体的かつ顕在的な課題を解決できるようなプロダクトから始めて、より抽象的な課題にアプローチできるようなプロダクトも開発していけたら…。そんなストーリーを考えています。

――副業に費やしている時間や、収入について教えてください。

平日の10~19時の業務時間中は、DeNAの仕事に100%集中しています。タイムラボの仕事はその前後。基本的には平日の夜と土日が多いですね。とはいっても、週末は家族がいるのでなかなか時間が取れないのですが…。それから、週末にメンバーが集まって1日かけてプロダクトの方向性を決めたり、集中して開発を進めたりする合宿も時折やっています。

副業にかける時間はDeNAの規定もあり、月35時間以内。収入については詳しい額は伏せさせていただきますが、役員報酬として毎月決まった金額をいただいています。

金額は明かせませんが、単純に収入が増えることによって自分へのインプットや、様々な人とコミュニケーションを取る際のコストに投資できるお金も増えるので、間接的にではありますが仕事にも良い影響が出ているように思います。

副業が本業のバランサーに。双方がプラスに影響し合っている

楠さん
Photo: 松島徹

――副業に役立ったスキル・知識・経験は何ですか?

DeNAではマネジメントを担当していますが、マネジメントのスキルはプロダクト開発でも非常に活きるところがあります。開発の現場になると、優先度の設計や課題の発見、解決へのアプローチなど当事者であるがゆえに見えにくくなりがちな事象に対しても、開発状況やメンバー負荷の状況を冷静に俯瞰できるところは役立っているかなと思いますね。

――逆に、副業は本業にどのような影響を与えていると感じますか?

DeNAでの仕事は組織の運営や戦略が主なので、今は、間接的には寄与しているとは思いますが直接的にプロダクトに関わって何かを作っている感覚がそこまでないんです。

逆にタイムラボではがっつりプロダクトを作っているので、脳みその切り替えがちょうどいい感じにできていて。調子を保つというか、いいバランサーになっていると感じます。

とくに自分は、色々な人と仕事できるのが楽しいと思うタイプ。社外の人と議論を交わすことでインプットも増やせるし、そのコミュニケーションを通じて得た知見を本業に反映している部分はあると思います。

――DeNA、DeNA Games Tokyo、タイムラボと3つの会社に関わっているということは、かなりお忙しいのではないかと思うのですが…。

副業をすることでキャパが広がったというか、どんどん忙しくても大丈夫な体になってきています(笑)。

もともと忙しさの正体を暴いていくのが好きというか。パツパツになったときに「なぜそうなっているのか」をちゃんと紐解いて、忙しさをなくすのが気持ちいいんですよね。

――そのタイムマネジメント術、ぜひ知りたいです! どのように忙しさを解体するのですか?

一番ベタだけど効果的なのは、今自分が持っているタスクを全部書き出して「本当に自分がやらなければいけないのか」を考えること。なぜ自分がやった方がいいのか、誰になら任せられるのか。それを1つずつ整理していくと、意外と余裕ができたりするんですよ。

それに「今やらなくていい仕事」というのも案外多い。じつは納期をずらせるとかね。優先度を整理・調整してキレイに組み立てていったら、思ったほど忙しくなかった。そういったことに気づくのが気持ちいい瞬間はありますね。

いつも冷静に状況を把握・理解しているつもりでも、気がつくとすぐに忙殺されてタスクが散らかっていたりするものなので、意識して定期的にこのようなことをやっています。

自分の能力を必要とする人がいれば、副業は成立する

楠さん
Photo: 松島徹

――副業のメリット・デメリットを教えてください。

メリットはシンプルに経験チャレンジ、あとはちょっとだけお金ですね。

たとえば何か経験してみたい仕事があったとして、それを転職という形で実現するのは、なかなかハードルが高く、覚悟がいる話です。私のように家族がいるような状況なら、尚更それが顕著になると思うんです。

それが副業であれば、責務を限定的にしたうえで、今できる範囲の経験やチャレンジができる。そこに大きなメリットがあると考えています。

さらにそこで得た収入は人生を豊かにするために使えば良いかと。副業の話でお金のメリットは話しにくかったりもしますが大切なことだと思います。自分のできることや得意な能力を客観的に理解して、それを必要としてくれる人がいれば、副業は成立する。デメリットは私個人で言うと見当たらないですね。

…いや、ありました。4歳と8カ月の子どもが2人いるんですが、子育てが大変な時期なのに夜も仕事したり、合宿したりして、パートナーに負担をかけているなと。デメリットはそこですね。できるだけ土日に育児を頑張るようにしています。

――これからはどのように活動の場を広げていきたいですか?

副業はこれからも続けていきたいし、もっと幅広く色々な事業に様々な形で関われるようになりたいです。僕は成長したいとか、やりたいことがあるという人間ではないんですが、「役に立つ奴だと思われたい」という軸があります。

たとえば、スタートアップでプロダクト開発のデザイン部分でノウハウやリソースを工面できずに困っていたり、スタートアップでなくとも事業の急成長に伴い組織マネジメントに課題を感じていたり、知らないだけで困っている企業は思ったよりたくさんあって…。

そこに、自分が本業でやっている仕事のノウハウを活かしつつ、場数を踏んで自身のキャパシティーをもっと広げて、今よりも多くの人や企業の役に立てるようになれると良いなと考えています。

今後の野望

「楠と仕事がしたい」と思われるように、さらにキャパを広げること。

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Photo: 松島徹

Source: ディー・エヌ・エー, DeNA Games Tokyo, タイムラボ

田邉愛理

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