
2016年7月18日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
ワーク・ライフ・バランスの問題を検討する際の考え方として「4つのコンロ理論」というのがあります。
初めて聞いたとき、このような説明がありました。
あなたの生活を4つのコンロにたとえて想像してください。各コンロは、あなたの人生の重要な4部分を表しています。
4つのコンロ理論とは、「成功するためには、コンロを1つ消す必要がある。そして非常に成功するためには、2つ消す必要がある」というものです。
何を捨て、何を選ぶ? ワーク・ライフ・バランスの出発点
そんな4つのコンロ理論への、私の最初のリアクションは、それを回避する方法はないのかというものでした。「4つのコンロをつけたまま成功できないものか?」と考えたのです。
「家族と友達を1つのカテゴリーにまとめたらどうなるだろう?」と、2つのコンロを組み合わせる可能性を考えました。
そして、まもなく私は気づいたのです。自分がこのように次善策を考え出そうとしているのは、人生には厳しい選択がつきものだという、本質的な問題に直面したくないからだと。
仕事と結婚生活を充実させたければ、交友関係や健康を犠牲にしなければならず、健康でありながら親として成功したければ、キャリアの野心を少し緩めざるを得ないのかもしれません。
もちろん、持ち時間を4つのコンロに均等に割り振るのもあなたの自由です。
しかし、そうした場合、どの分野においても自分の最大の可能性を発揮できないことを受け入れなければなりません。つまるところ、私たちは選択を迫られているのです。
あなたは、バランスはとれていないが、1つの分野で非常に充実する生活を選びますか? それとも、バランスはとれているが、どの分野でも可能性を最大限に発揮できない生活を選びますか?
こうしたワーク・ライフ・バランスの問題に対処するための最善策は何でしょう?
私はその策を見つけたと言うつもりは ありませんが、4つのコンロ理論について検討するための3つの考え方を提示したいと思います。
選択肢1:コンロを人に任せる
私たちは、生活の小さな要素をしょっちゅう人に任せています。
料理しないで済むようファストフードを買い、洗濯の時間を節約するためにクリーニング店に行き、車の修理を自分でしなくて済むよう修理工場に行きます。
生活の小さな部分を人に任せれば、それで節約した時間を他のことに使うことができます。ではこの発想を、生活の4部分のうちの1つに応用し、浮いた時間を他の3つに回すことはできるでしょうか?それには仕事がもっとも良い例だと思います。
多くの人にとって、仕事は、4つのなかで最も強火のコンロです。 多くの人が最も多くの時間を費やし、最も遅くまで消すことのないコンロです。
理論上は、起業家や経営者なら、仕事のコンロを人に任せることが可能です。
つまり、従業員を雇うことでそれが可能なのです。私は、以前書いた記事「The 3 Stages of Failure(失敗の3段階)」で、自分の実働は週2時間で済むビジネスシステムを築いた、Sam Carpenterの話を取り上げました。
彼は、ビジネスの日常業務を人に任せながら、自らが金銭的利益を得ています。
もう1つの例は子育てです。
共働きの両親は、家族のコンロを「人に任せざるを得ない」ことが多いと思います。保育園に預けたり、ベビーシッターを雇ったりということです。
人任せと言ったら人聞きが悪いかもしれませんが、仕事の例と一緒で、親が、時間を他の部分にまわせるよう他人にお金を払い、コンロを止めないようにしているという意味です。
人に任せることの利点は、自分の時間を割かずに、コンロを焚き続けられることです。でも残念ながら、自分がその部分から退かなくてはならないのは不利とも言えます。
私の知る起業家やアーティスト、クリエーターのほとんどが、もし日々の仕事をしなくなったら、退屈し、生き甲斐を失ったような気になるでしょう。
私の知る親たちのすべてが、保育園を利用するより、我が子と一緒にいたいと思っているはずです。
人に任せることで、コンロを消さなくて済みますが、このように焚き続けることが、果たして充実と言えるでしょうか?
選択肢2:制約を受け入れる
4つのコンロ理論で最ももどかしい点の1つが、あなたの未開発の可能性に焦点を当てていることです。
そのため「時間さえあれば、もっとお金が稼げるのに/痩せられるのに/家にいられるのに」と考えてしまいやすいのです。
この問題に対処する1つの方法は、あなたの意識の焦点を「もっと時間がほしい」から「もっている時間を最大限に活用したい」に変えることです。
つまり、自分に課された制約を受け入れるということです。そして自分にこのような質問をします。
「特定の制約を前提とした場合、できるだけ成果を上げるにはどうすればよいか?」
このような自問によって、自分の意識の焦点が、ネガティブなもの(いつも時間のなさを心配)から、ポジティブなもの(もっているものを最大限に活用)へと変わります。
さらに、うまく計画すれば、制約が逆にパフォーマンスを向上させることもあるのです。もちろん、これにも欠点があります。
制約を受け入れるということは、自分のポテンシャル以下でやっていくことを受け入れるということです。
「懸命ではなく賢明に働く」(少ない労力で効率的に働く)方法はたくさんありますが、どこに時間を費やすかが大切だという事実は避けることができません。
健康、あるいは人間関係、あるいはキャリアに時間を投資すれば、たいていはその分野で向上が見られるのです。
選択肢3:人生を四季のように分ける
4つのコンロを管理する方法の3つめは、人生を季節に分けるという方法です。
完璧なワーク・ライフ・バランスを常に追い求めるのではなく、人生を四季に分けて考え、それぞれの季節で特定の分野に力を入れたらどうでしょう。
あなたのコンロ1つひとつの重要性は、人生のなかで変わっていきます。
20代、30代で子どもがいなければ、ジムに通うこともキャリアの夢を追うことも容易です。つまり健康と仕事のコンロが強火ということです。
しかし、それから数年経ち、家族ができたら、健康のコンロは急に弱火になり、家族のコンロが強くなることが考えられます。
そのさらに10年後は、古い友達との付き合いを再開させたり、保留にしていたビジネスのアイデアに取り組んだりするかもしれません。
夢を一生あきめる必要はありませんが、4つのコンロを同時に強火にできることはめったにないのが人生です。今の季節は、あることをあきらめなくてはならないかもしれませんが、生涯のうちには、全部できるでしょう。
ただ、一度にすべては無理ということです。
Nathan Barry はこう言っています。
「今の季節の目標に全力投球すること」
私の場合、ここ5年間は起業の季節でした。
好業績のビジネスを築きましたが、犠牲になったものもありました。友達のコンロをごく弱火にし、家族のコンロは中火です。あなたは今、どの季節にいますか?
4つのコンロの理論は、誰もが向き合わざるをえない、人生の変化を浮き彫りにしています。
すべてを手にするのはあきらめろなどと言われるのは、誰でも嫌です。しかし、時間や労力の制限は誰にでもあります。
どんな選択にも犠牲はつきものです。
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Image: Shutterstock
(原文/訳:和田美樹)
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