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常に朝がだるい。そんなとき気合いや根性論でがんばってはいけない

常に朝がだるい。そんなとき気合いや根性論でがんばってはいけない
Photo: 印南敦史

タクヤ先生のメンタル不調相談室』(杉山卓也 著、ぱる出版)の著者は、薬剤師/漢方アドバイザーとして漢方相談を受けるかたわら、講師としても年100回以上のセミナー・講座を開催しているという人物。

寄せられる悩みを解決するため、メンタルカウンセラーのように心理学的な観点から本質を見抜き、対策を講じることもあるとか。とはいえ、あくまで漢方薬を扱う専門家なので、漢方薬を活用しているのだそうです。

「心の不調に漢方薬が効くのか?」と疑問を持たれたとしても、不思議ではないのかもしれません。しかし悩みに対して適正に選んだものであれば、漢方薬は間違いなく効果があるのだといいます。

ただし、それより大切なのは「生活のリズム」をしっかり整えること

どんなに優れた漢方薬や西洋薬を使っても、どれだけ素晴らしいカウンセラーに相談したとしても、生活リズムが乱れていたのでは効果もかき消されてしまうということです。

それくらい生活リズムの調整には重要な役割があります。 生活のリズムを整える為の知識は「生活養生」と呼ばれます。

何が自分のこころに負荷を与えているのか? どうすれば自分のこころに元気を送ることができるのか? どちらも解決するためには、この「生活養生法」を知ることが有効になります。

そこで本書では、僕のところに寄せられるこころの相談に関する病気のうち、特に多いものをピックアップしました。(「はじめに」より)

選ばれているのは、不眠、不安・パニック、無気力・鬱、イライラ・ヒステリーなど、心の不調から身体的な異常を発する症状や病気。

それぞれについて、「心のあり方」「生活養生の方法」「使うべき漢方薬」を知ることができるように書かれています。

きょうは第3章「無気力・鬱」のなかから、ビジネスパーソンに役立ちそうな項目を抜き出してみたいと思います。

「朝からだるさが続き、体を動かせません」

二年ほど前から、朝起きた時からずっとだるく、起き上がるのにものすごく体力を使うほどです。

最初は一過性のものかな…と思っていたのですが、いつまでたっても改善する気配がなく、朝、出勤するまでがどんどん辛くなっていきました。

かかりつけの内科にかかっても特に異常は見つからず、紹介された心療内科に行ったところ、「軽度うつ」という診断を受けました。

二種類のお薬をいただき、飲み始めたところ、幾分良くなった気はしますが、やはり朝のだるさはとれません。 会社に行って仕事を始めると、午後にかけて次第に元気が出る傾向にあり、夜に家に帰る頃には、逆に「寝たくない」という気持ちになり、ついつい夜ふかししてしまいます。

そうなると、翌日にはまた、だるさでいっぱいの朝を迎えることになり…

眠れないわけではないのですが、まるで夜行性の動物のように、夜にかけて元気になってしまうというのは、なにか原因があるのでしょうか。(76〜77ページより)

この悩みに対して著者は、「自分にとって最適な生活リズムを見つけることで解決できます」と明確に答えています。

人間も他の動物と同じように、陽の光を浴びて活動し、日が暮れるとともに睡眠に入るというリズムを持っているもの。そして朝、だるさに襲われてしまうのは、現在の生活があっていないから。

朝に起きられなかったり、起きられたとしても強いだるさが続いてしまうような場合、その原因の多くは起立性調節障害や昼夜逆転、睡眠障害などである場合が多いということです。

まずは病院で検査を

いずれにしても、こうした朝のトラブルが長期的に続いたり、次第にひどくなっていく場合には、まず病院で検査を受けるべき。その結果として内臓や脳の異常が見つかったなら、その治療を行う必要があるからです。

とはいえ問題は、病院で異常が見つからない場合も多々あること。

たとえば「学業についていけない」「仕事のプレッシャーや対人関係に悩んでいる」など心身にプレッシャーがかかっている場合でも、こうした症状が起きるというのです。

会社や学校に行こうとすると、腹痛、頭痛、吐き気などが起こるのがこのタイプ。

こうした場合は、原因と向き合い、環境を変えるなど対策を講じる必要が。

真面目で神経を使いやすい人に多いため、こうしたときには「行かなくてもいいよ」くらいの気持ちでいると改善することがあるそうです。

同様に、生活リズムが狂っている場合は、夜早く寝て朝も早く起きる、陽の光を浴びて起きる、夜の強い光源(スマホやPC)は寝る一時間前には遠ざける、など、体内時計のリセットを行う生活リズム作りが有効です。(80ページより)

ところが、メンタルストレスや生活リズムには該当する問題がなかったとしても、こうした症状が起こる場合も。

東洋医学で「フクロウ型体質」と呼ばれる特殊な病態であることも考えられるというのです。

フクロウ型体質というのは、特に体の代謝に問題があるもので、朝が非常に苦手ですが、日中、特に午後三時以降になるとだんだん元気になってくる、というのが特徴です。

代謝を改善する漢方薬の服用が非常に有効な場合があります(この漢方薬は固有の体質を見る必要がありますので、専門家にご相談下さいね』。

西洋医学的な解析では、鉄欠乏症貧血や起立性調節障害がこのフクロウ型体質とリンクする場合があり、鉄剤の服用や良質なタンパク質の摂取などで改善する場合もあります。(80ページより)

専門医への相談が不可欠な理由

忘れるべきでないのは、「場合もある」という部分ではないでしょうか?

つまり、最終的には各人の体質によるということ。そのため、専門医に相談することが不可欠になるわけです。

いずれにしても知っておいてほしいのは、「自分が悪いからだるさを感じるわけではない」ということだと著者は強調しています。

物事には必ず原因があるので、それを改善すれば解決が可能。なのにそれを「気合いが足りない」というような精神論で片付けようとすれば、苦しくなって当然だというわけです。

大切なのは、一人で抱え込んだり、精神論を押し付けてくる人に流されて「自分のせい」だと思い込んだりしないこと。(81ページより)

だから迷わず、専門家や専門機関に相談するようにしてほしいと著者は訴えています。(76ページより)

心の負荷は、毎日少しずつ蓄積していくもの。また、その量も年齢や健康状態と関連しながら刻々と変わっていくものでもあるそうです。

だからこそ自分にとっての心の負荷を認識し、しっかりと生活養生や漢方薬を用いた「対策とケア」を講じておくことが大切なのだと著者は主張しています。

そのために、本書を役立ててみてはいかがでしょうか?

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Source: ぱる出版

Photo: 印南敦史

印南敦史

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