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印南敦史の「毎日書評」

ビジネスエリートが注目する「日本酒」の基本を知る

author 印南敦史
ビジネスエリートが注目する「日本酒」の基本を知る
Photo: 印南敦史

ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』(友田晶子 著、あさ出版)によれば、日本酒に興味を持ち、「知りたい、学びたい」と考える“一流の人たち”が国内外を問わず増えているのだそうです。

事実、「ソムリエトータル飲料コンサルタント」である著者自身も、ビジネスパーソン向けの日本酒に関する研修やセミナーを依頼される機会が増えているのだとか。

日本酒を語れることは、より広く深い教養がある証しとなり、そこから会話がふくらみ、ひいてはビジネスチャンスにつながり、ネットワークが広がっていく。

このことに日本のエリートビジネスパーソンたちは気がつき、教養として身につけるべく日本酒について学び、さまざまなシーンで活用しているのです。(「はじめに」より)

そこで本書では、日本酒に関する正しい知識と教養を身につけたいと考える方に向け、トレンドをも視野に入れた日本酒の基礎をわかりやすく説明しているのです。

さらには海外を含む“ビジネスシーンで必須のマナーやルール” “立ち居振る舞い”“日本酒がある場の楽しみ方”なども、現実に即した例を用いて紹介されています。

きょうは第2章「日本酒の基礎知識|日本酒はどうやってできるのか」のなかから、日本酒に関する基本的なトピックスを抜き出してみたいと思います。

日本酒とはなにか

日本のお酒は、酒税法で下図のように定められています。国税庁が管理する「酒税法」とは、酒税の賦課徴収と酒類の製造および販売業免許などについて定めたもの。

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Image:『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』

ちなみに「日本酒」という呼び名が一般的ですが、酒税法では「清酒」と呼ばれています。

「清酒」はアルコールが22度(パーセント)未満の米と米麹を使用し、発酵させて濾したもの(酒税法三条七号)。濾さないものは「どぶろく」と呼ばれていますが、一度濾せば「清酒」になるわけです。

なお同じ清酒でも、ドロリとした濁り清酒、さらりとした濁り清酒、すっきり透明の清酒などさまざまなタイプがあります。これは、濾す際の「きめの細かさ」に関しては決められていることがないから。

また、「その他政令で定める物品を原料として」つくることが認められているそうです。

なんだか堅苦しい表現ですが、ここでいう「物品」とは、麦や粟、トウモロコシなどの穀物、ブドウ糖や水飴、アミノ酸塩など旨味のもとになるもの、醸造アルコール、焼酎、清酒を指しています。

これら副原料を、米、米麹の重量を超えない範囲で使用を認められているものが「普通酒」。一般に日本酒としてもっとも多く流通しているのが、この「普通酒」だということです。

どんな原料が使用されているかは日本酒のラベルに表記されているので、確認するのも楽しいでしょう。(42ページより)

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Image:『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』

日本酒のためにつくられる「米」がある

日本酒の基本的な原料は「米」ですが、これは私たちが日常的にごはんとして食べている「米」とは区別され、「酒造用米」と呼ばれているもの。

日本で栽培される米のうち、「酒造用米」はわずか5パーセント程度で、さらにいくつかの条件をクリアした米が「酒造好適米」。ただし「酒造好適米」の生産量は、「酒造用米」のわずか1パーセント程度だといいます。

なお「酒造好適米」の栽培は、決して楽なものではないようです。

良質の酒米にするには、病気や害虫対策として日当たりを考慮したり、風通しをよくしたりする必要があり、苗の間隔も通常の米の2倍ほど取る必要が。そのため面積あたりの収穫量が限られるわけです。

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Image:『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』

酒米のなかには、150cm以上の背丈に成長する種もあり、収穫時の作業は重労働。台風時に倒れないよう対策をするなど、とても手間がかかるのです。

手間がかかりすぎるため、人気があるにもかかわらず「酒造好適米」が絶滅の危機に瀕したこともあるのだそうです。(50ページより)

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Image:『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』

日本酒の味を決めるのは「水」

日本酒の基本的な原料としては、もちろん「水」も大切。

「名水あるところに名酒あり」といわれることからもわかるとおり、酒どころと呼ばれる地域はたいてい水に恵まれているもの。

清らかな水が潤沢にあるからこそ、日本酒が生まれたといっても過言ではないわけです。

米はいい産地から購入することができますが、水源を動かすことは不可能。

全国各地の蔵元が水源に近い場所に位置しているのは、つまりそのため。日本酒は、水がおいしい日本だからできるものだということです。

お酒は80パーセントが水分でできています。お酒の味は水の味といってもいいほどです。

また、酒づくりには良質な水をかなりの量を使います。

お米と米こうじに足してお酒そのものになる「仕込み水」だけではありません。

お米を洗ったり蒸したり、機材や蔵内を洗浄したりする「醸造用水」など、酒づくりに使う白米の50倍以上もの水が必要といわれます。

これもまた「水の国」、日本ならではのお酒といわれるゆえんです。(56ページより)

しかも、水の味を決める「硬度」も無視できません。

日本酒の場合、仕込み水が軟水の場合はやさしい味わいの日本酒となり、硬水の場合は、しっかりと芯のある強い味わいになるのです。

さらには、日本酒の仕上がりを支える「米麹」の役割も重要。

麹は、お米のでんぷんを糖分に変える大切な役割を担っている存在。蒸米に繁殖させる麹のつき方で、出来上がるお酒の個性が変わるわけです。

それどころか、「よい麹からしかよいお酒はできない」とまでいわれているそうで、いかに日本酒が奥深いものであるかが分かるのではないでしょうか?(54ページより)

日本酒が好きな方はもちろんのこと、日本酒に興味がない方、お酒が飲めない方にとっても、日本酒は教養ある大人として知っておくべきことだと著者は記しています。

興味があるテーマから読んでみることもできるので、本書を通じて日本酒を知っておきたいところ。

そうすれば、お酒を飲む機会の増える年末年始をより楽しく、そして有効に過ごせるかもしれません。

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Source: あさ出版

Image:『ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒』

Photo: 印南敦史

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