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精神科医に聞く。心を軽くし、幸せに生きるためのヒント

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精神科医に聞く。心を軽くし、幸せに生きるためのヒント
Photo: 中山実華

「なんか上手くいかない日もあるわ。それでも明日が来れば、今日は終わりよ」

「生きるのは山登りとは違うのよ。そこに山があっても登らなくてもいいの」

Twitterで20万人ものフォロワーに支持される“ゲイの精神科医 Tomy”さん。発する言葉は、なぜ読む人の心を軽くするのでしょうか。

ゲイであることに悩んだ日々、そして最愛のパートナーの死。葛藤やつらい時期を過ごした経験を持つTomyさんが考える幸せとは

そして精神科医として「生きづらさを感じている人に届けたいメッセージとは。そんなお話をうかがう機会に恵まれました。

患者を、そして自らをも支えた「言葉」をベースに

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Image: Getty Images

Twitterでのつぶやきをまとめた著書『精神科医 Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』に続き、「悩み」に焦点をあてた第2弾『精神科医 Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ともにダイヤモンド社)もベストセラーとなり、増刷を繰り返しています。

タイムラインに流れてしまうTwitterとは違い、何度も読み返せることも、この本が人気を集める理由のひとつ。第2弾の本にはTwitter未投稿分もあわせて221もの“Tomy語録”が収められています

“Tomy語録”のベースになっているのは、精神科医として患者さんと向き合いながら見つけた数えきれないほどの気づきや言葉。

「いろいろな治療法があるなかで、僕は薬物療法などではなく、言葉で人を助けたかった。それが自分の才能だと思っていたんです。世の中には観念的な言葉があふれていますが、それでは治療になりません。『それはわかっているけど、具体的にどうすればいいの?』というところまで落とし込めるのは、日々診察をしているからこそでしょうね。医療は実践ですから」

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また、自身のセクシュアリティについて悩んだ経験も大きいとTomyさん。

「まわりの友だちがデートを楽しむような年頃になっても、僕は女の子に興味が持てず、成長の個人差かなと思ったりしていました。やはりゲイだと自覚したのは大学生のときです。当時はまだカミングアウトなんてありえない時代でしたから、誰にも打ち明けずに医者になって親の病院を継ぎ、結婚して子どもをもうけて、ほんとうの気持ちは墓場まで持っていこう。そう思ったこともありました

心から好きと思える人ができて「そんなライフプランは壊れてしまいましたけどね」とTomyさん。アイデンティティとは何かを問い、その答えを探すために目指したのが精神科医でした。

気持ちを打ち明けた自分を守り続けてくれたお父様の死、そして「この人に出会うためにゲイとして生まれてきたんだ」と思わせてくれたパートナーの死という絶望の淵で、支えとなったのは自分がストックしていた言葉だったそうです。

幸せを願えば願うほど、生きづらくなるのはなぜ?

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そんなTomyさんに、私たちが直面する生きづらさ」について伺いました。より幸せでありたいと願えば願うほど、生きづらさを感じてしまうのはなぜなのでしょうか。

「メディアやSNSで発信される理想のライフスタイルや女性像は想像上のもの、いわば創作です。そのストーリーを『素敵だな』と思うぐらいならいいのですが、『そうじゃない自分はどうなの?』『そこからずれたらどうしよう』という視点になってしまって、生きづらさを感じている患者さんは多いですね」

自分と他人を比較して、心が窮屈になったり自己嫌悪に陥ったりすることもあります。

そんなときには「心の動きを現象として捉える」という精神科のアプローチが悩みの一助になることも。

「気持ちが落ち込む理由をなくそうとしたり、無理して気持ちを上げようとしたりするのではなく、『脳の神経伝達物質が足りなくて、頭がまわっていないという“現象”にあるのだ』と自分を客観的に捉えれば、少しラクになって、なんとかなりそうな気持ちになるものです」

「生きる意味なんて、最初からない」

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幸せや生きる意味を問いすぎると苦しくなる」とTomyさん。著書にも「生きる意味なんて、最初からない」と書いています。

「生きるというのは“そこにある”ということ。呼吸をして、ごはんを食べて、眠りについて、今日を終える。それを繰り返すことが“人が生きる”ということです。その中で自分なりの幸せを見つけるとしたら、『毎日を大切にするということにつきるでしょうね。生きるということは点の重なりでしかなく、その時、その瞬間を大切にすることに他ならない。今日という日はもう来ませんから」

また、「幸せ」「幸福というテーマを壮大に掲げすぎないことも自分を苦しめないための方法。Tomyさんが考える幸せとは、よい時を過ごすというシンプルなことだそうです。

「小さなことでいいので、少しでも楽しいこと、気持ちがラクになることへシフトしていけるといいと思います。たとえば何も予定のない日、『こんな自分でいいのか』とうだうだして夜を迎えるより、天気がいいから外へ出てみる。そのほうが、その人はちょっと幸せですよね」

Tomyさんのお話を聞いていると、呼吸ひとつするにも、これが生きることかと実感できるから不思議です。

続く「後編」は実践編。心を軽くし、自分なりの幸せを見つけるために、今日からすぐにできる4つのポイントを伺います。

撮影/中山実華、イラスト/カツヤマケイコ

マイロハスより転載(2020.10.12公開記事)

精神科医 Tomy(トミー)さん

1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。

精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。覆面で雑誌、テレビ・ラジオ番組などにも出演。

2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」も人気。

近著『精神科医 Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。

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