
次第に秋めいてきた今こそハイゲージニットの出番。そして、選ぶべきはタートルネックの一択。
その理由は、とにかくコーディネートが簡単で、上着を脱いでもきちんと見えするからです。
色柄やデザインで種類は多岐に渡りますが、ニット選びで一番大事なのが、ゲージ数。
ゲージ数とは1インチ(=2.54センチ)間の針数のことを指し、11ゲージ以上をハイゲージ、6〜10ゲージをミドルゲージ、5ゲージ以下をローゲージと呼びます。
数字だけだと分かりづらいですが、いわゆるざっくりしたものがローゲージで、目が細かくなめらかものがハイゲージ、その中間がミドルゲージというわけ。
では、なぜハイゲージがおすすめかと問われれば、ウール特有のチクチク感がないので、肌が弱い人でもストレスがないことに加え、ほとんどトレンドに影響されないアイテムだから。
アウターとしても活躍するローゲージと違って、ハイゲージはインナーとして選ばれるので、上半身にフィットするシルエットが前提。つまり、ほとんどデザイン要素がないのです。
合わせるアイテムを選ばない汎用性に加え、上質であればあるほどストレスフリーで過ごせる最高のインナーウェアなのです。
大きなデザインの違いはネックのみで、あのスティーブ・ジョブズが愛用していた黒いニットがそうであったように、単色でタートルネックがおすすめ。
今回はハイゲージニット発祥の英国をはじめ、ファッション通も認める世界の実力派を厳選して、幅広い着こなしとともにご紹介します。
英国老舗「ジョン スメドレー」の黒タートルで旬のセットアップスタイル

高級ハイゲージニットの代表的ブランドとして知られる「ジョン スメドレー」。
1784年から続く、世界最古のニット工場で生み出されるニット製品は、まさに極上と呼ぶにふさわしいなめらかな着心地が自慢です。
こちらは30ゲージのタートルネックニットで、「レノルド」と呼ばれるモデル。
同ブランドの基礎となる定番的なフィッティングに調整を加え、袖に少しゆとりを持たせ、着丈を長く取ったモダンフィットに。
締め付けず緩すぎないシルエットは、セットアップのインナーとして最適です。
クルーネックやVネックのようにシャツを重ね着する必要がなく、防寒という面でもタートルネックがちょうどいいのです。
寒さが本格的になったらこの着こなしの上に、しっかりしたコートを羽織れば完璧。
レノルド価格3万1000円/ジョン スメドレー
ジャケット価格3万9000円、パンツ価格2万1000円/ともにティモーネ(ティモーネ 東京ショールーム☎︎03-6434-5184)、シューズ価格2万5000円/ヨーク(HEMT PR☎︎03-6721-0882)
日本の実力派、「サイドスロープ」の青タートルで大人のワークスタイル

ニットデザイナーとして数々のブランドに携わってきた脇坂氏によって2005年にスタートした日本ブランドの「サイドスロープ」。
生産現場と素材特性を知り尽くした氏が、世界各国から原材料を厳選し、最適な編み方と染色を組み合わせ、高品位ニット製品が生み出されています。
海外高級ブランドに引けを取らないクオリティとデザイン性が高く評価され、数々のセレクトショップや百貨店で取り扱われています。
こちらの「エクストラファインメリノウールタートルネック」は、羊毛の中でも特に細くしなやかな“エクストラファインメリノウール”をイタリアで紡績したものを採用。
従来モデルよりも、あえて14ゲージに落として厚みを持たせることで、身体のラインが直接浮き出ないというのもポイント。
メランジ調の優しげなブルーは、ジャパンデニムとの相性も抜群です。
エクストラファインメリノウールタートルネック価格2万4000円/サイドスロープ
カバーオール価格2万4500円、デニムパンツ価格1万7800円/ともにウィーク(シーアトリエ☎︎06-6536-3237)、シューズ価格2万1800円/リプロダクション オブ ファウンド(アイ ファウンド☎︎03-6434-7418)
「グランサッソ」のイタリアらしい黄タートルで知的なジャケパンスタイル

世界中から良質な羊毛が集まり、長年に渡って紡績技術を培ってきたイタリア。
それゆえ工場やブランドは数え出したらキリがないほどですが、クオリティとデザイン、そしてプライスと総合的に秀逸なニットブランドが「グランサッソ」です。
1952年にイタリア半島中東部の小さな村で創業して以来、年齢を問わず着用できるベーシックなニットウェアを幅広く手掛けています。
こちらの「12ゲージ ガーメントダイ タートルネック ニット」は、同ブランドの中でも定番として君臨し続けている、12ゲージのタートルネック。
上半身に過不足なくフィットするシルエット、折り返してちょうどいいネックの高さに設定してあります。
シーズンごとに追加されるカラーも秀逸で、こちらのマスタードカラーも絶妙な発色なので、コーディネートしやすいはず。
ツイードジャケットにウールパンツというクラシックな装いに、イタリアブランドらしい華やかさを加えてくれます。
12ゲージ ガーメントダイ タートルネック ニット価格2万5000円/グランサッソ
ジャケット価格12万4000円/ラルディーニ、パンツ価格3万9000円/ベルナール ザンス、チーフ価格6300円/フマガッリ、シューズ価格7万4000円/クロケット&ジョーンズ(すべてビームス 六本木ヒルズ☎︎03-5775-1623)
フランス生まれの「ルトロワ」の杢調茶タートルで上品な大人カジュアル

2008年創業と今回の中では新参ではあるものの、日本でも高い人気を誇る「ルトロワ」。
フランス北東部シャンパーニュ地方で生まれたニット&カットソーブランドで、毎日でも着たくなる心地良さを身上にリピーターを増やし続けています。
その秘密は“マイユ”と呼ばれる、昔ながらの丸胴編み機による縫い目のないカットソー生地。
やわらかな肌触りと抜群の伸縮性で知られ、その特性はこちらのハイゲージニットにも存分に活かされています。
また、イタリアブランドとは趣の異なるやわらかな色合いもこのブランドの得意とするところで、メランジ調のベージュもどこかノスタルジックで優しげな印象です。
オーバーサイズの白シャツをアウター代わりにしたカジュアルスタイルも、上品かつリラックスした雰囲気にまとまります。
ロール レーヌ価格2万4000円/ルトロワ
シャツ価格2万4000円/キクス ドキュメント.(HEMT PR☎︎03-6721-0882)、パンツ価格2万2000円/トラディショナル ウェザーウェア(トラディショナル ウェザーウェア 青山メンズ店☎︎03-6418-5712)、キャップ価格7800円/ティグル ブロカンテ(☎︎092-761-7666)、シューズ価格2万3000円/パントフォラ・ドーロ(カメイ・プロアクト☎︎03-6450-1515)
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トレンドによってシルエットや色柄が大きく変わるニットですが、ハイゲージニットなら見た目の変化はほとんどありません。
秋冬を通したベースレイヤーとして活躍し、上品なジャケットスタイルからリラックスしたカジュアルまで着こなしを選ばないはず。
天然の機能性素材であるニットは保温性と吸湿性にも優れ、上質であればあるほど、その着心地の良さが顕著となります。
定評あるブランドのハイゲージニットを買い揃え、しっかりケアさえすれば、数年先までおしゃれかつ快適に過ごせるでしょう。
上質な一枚を取り入れたら、晩年のスティーブ・ジョブズがタートルネックのハイゲージニットを100着以上も揃えていた理由が納得できるかと。
Photo: 多田悟
Source: ループウィラー, レミ レリーフ, ベルバシーン,スリードッツ,サンスペル
構成・文/川瀬 拓郎 、スタイリング/仲唐 英俊、編集/庄司 真美
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