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空気を読むことよりも「アサーション力」がオンラインで重要になる理由

空気を読むことよりも「アサーション力」がオンラインで重要になる理由
Photo: 印南敦史

新型コロナの影響でライフスタイルが大きく変わり、仕事についてもオンラインツールを使用したコミュニケーションが生活の一部となりました。

しかしリアルとオンラインとではそれぞれの優位性が異なるため、両方の特性を知ったうえで適応していく必要性が出てきたのも事実。

オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』(桑野麻衣 著、クロスメディア・パブリッシング)の著者も、「オンラインとオフラインはまったくの別物である」という考え方と、「オンラインとオフラインは根本的には同じである」という考え方との間で悩んだことがあったのだそうです。

オンラインだけに求められて、オフラインでは求められないコミュニケーション力もなければ、その逆もありません。

「オンラインコミュニケーションであっても、オフラインコミュニケーションで得られる効果に近づけるためにはどうしたらいいのか」という視点が求められるわけで、著者もその点を重視したよう。

ただ、実際にオンラインでのコミュニケーションが増えたことで、新たな課題も見えてきたのだとか。

オンラインでの初対面時、オフラインであれば気にならなかった細かいことが気になり、「直接会って話すことはないだろうな…」と思った経験も何度かあるというのです。

しかし、それと同時にオンラインコミュニケーションが増えても、好印象で信頼感を維持することができ、対面の時と変わらずに結果を出し続けている人が存在するのも事実なのです。(「はじめに」より)

そういう意味では、“活用法”こそが重要なのでしょう。

そこで本書では、ファシリテーション力、自己開示力、印象力、言語化能力などさまざまな観点から、「好かれる・信頼される」オンラインでの話し方を紹介しています。

第3章「はっきり言っても好かれる・信頼される、上手に伝える話し方」のなかから、「アサーション力」に焦点を当ててみましょう。

空気を読むよりも大切な「アサーション力」

オンラインとオフラインが共存する時代に求められるのは、いままで以上に「ココロ」を「カタチ」にすること。

しかし日本人の多くは、自己表現や自己主張が苦手でもあります。そこで著者は、アサーション力を重視しているのです。

アサーション(=アサーティブコミュニケーション)という言葉は聞いたことがあるでしょうか。

アサーティブというのは“相手を尊重した上での自己主張”を意味します。コミュニケーションに勝ち負けもないのですが、わかりやすく言えば“win-win”の関係を構築するコミュニケーションのことです。

自己主張をすることで相手から嫌われてしまうのは誰でも避けたいですし、だからと言って自分自身が言いたいことを言えずに我慢し続けるのは苦しいですよね。

その中間に位置するのがアサーティブなのです。(167〜168ページより)

アサーティブコミュニケーションの位置づけをわかりやすくするために、著者はここでコミュニケーションタイプを3つに分けて解説しています。

1. アグレッシブコミュニケーション

アグレッシブコミュニケーションは、相手に対して攻撃的な主張をする手段。いわばwin(自分)-lose(相手)の関係です。

2. コン・アサーティブ/パッシブコミュニケーション

コン・アサーティブまたはパッシブコミュニケーションは、受け身の姿勢で自己主張をしないコミュニケーションタイプ。

lose(自分)-win(相手)の関係であり、日本人に多いタイプです。

3. アサーティブコミュニケーション

1と2のちょうど中間に位置するのがアサーティブコミュニケーション。

相手の言いたいことを正しく理解しようとしたうえで、自分の言いたいことも伝えられる、win(自分)-win(相手)な関係だということ。

win-loseになっていたり、lose-winになっていたりするコミュニケーションはストレスを感じるものです。

ましてやリアルにおいても他人の考えていることを察するのは難しいのですから、オンラインでさらに困難なのは当然。

したがって、相手を理解しようとすることも、自分の伝えたいことを相手に正しく伝わるようにすることも、「カタチ」として表現できるようになることが重要だと著者は主張しています。

そのためには、相手を尊重することで結果的に自分のことも大切にできるアサーティブコミュニケーションが大きな意味を持つという考え方。

ストレスなく自己主張ができ、他者とのコミュニケーションをいまより楽しめるようになることを目指すべきだといいます。(167ページより)

「聴ききる」ことがのちのちの自分を救う

アサーション力とは“相手を尊重したうえでの自己主張”であり、「ココロ」を「カタチ」にするコミュニケーションとは、まさにアサーティブなコミュニケーションのこと。

なお諸説あるものの、アサーション力を向上させるためにはいくつかのステップがあるそうです。

(1)自分にとっても相手にとってもwin-winである関係を目指す。

(2)自分の気持ちをいったん自分の中で言語化する。

(3)相手の話をよく聞く。

(4)相手を尊重した自己主張をする。 (177ページより)

といった流れ。

相手がいるだけに、必ずしもこのとおりに進むとは限らないでしょうが、注意すべきは(3)。特にオンラインコミュニケーションでは、(3)にある傾聴姿勢を序盤から表現していくことが大切だといいます。

具体的にいえば、「相手の話の腰を折らない」ということ。

聴き方以前に、まずは相手の話を途中で遮らずに最後まで聴く努力をすべきなのです。相手の話をよく聴いたうえで自分の意見を伝えるというベースが築かれているからこそ、コミュニケーションが成り立つわけです。

オンラインでは特に「この人は自分の話をちゃんと聴いてくれる人なんだな」とまずは思われることが後々あなたを救います。

初めから立て続けに話を遮られると、人は無意識のうちに相手に無下にされた、攻撃されたという気持ちが植え付けられてしまうのです。

その後に自己主張をされると、アグレッシブな攻撃的主張だと相手は受け止めることになってしまいますよね。

画面越しでは入ってくる情報が限られているので、余計にそう感じてしまうかもしれません。(178〜179ページより)

完全に最後まで聴ききるというのは、決して簡単なことではないでしょう。

そのため、まずはリアルでのコミュニケーション時よりも、相手の話の腰を折らないように気をつけるだけでも十分だそう。

自分がその後に自己主張しやすくするという意味でも、相手から「人の話を聴かない人認定」をされないように心がけることが大切なのです。

たしかに初めから「話を聴いてくれる人」認定をされれば、その後に自分の意見を伝えても、相手は聴く耳を持てることでしょう。(177ページより)

すぐに取り入れられるテクニックやノウハウも紹介されているものの、本書は決して小手先のテクニック集ではないと著者は強調しています。

小手先のテクニックだけでどうにかなる問題ではないからこそ、「人とのコミュニケーションにおいて大切なことはなんなのか」というような本質的な内容から、「オンラインでもリアルに少しでも近づけられるコミュニケーション術」を紹介しているわけです。

そういう意味では、オンラインでもオフラインでも通用する、普遍的なコミュニケーション術であるともいえるでしょう。

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Source: クロスメディア・パブリッシング

Photo: 印南敦史

印南敦史

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