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コミュ力がなくても目指せる「成果・目的ドリブン」の仕事術7つのヒント

コミュ力がなくても目指せる「成果・目的ドリブン」の仕事術7つのヒント
Photo: 伊藤晴世

「仕事の機会創出のために、人脈をつくろう」と張り切って、異業種交流会で名刺交換をしたり、SNSのコミュニティに参加して“友達”を増やしたりしてみるものの、うまくいかず、どっと疲れてしまう…。

人とのコミュニケーションが苦手、やりとりが苦痛と感じているビジネスパーソンは少なくないはずです。

しかし、「コミュニケーションが苦手でも、仕事はうまくいきます」と断言するのは、株式会社キャスター取締役COOの石倉秀明さん。

著書『コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる 空気を読まない仕事術』(マガジンハウス)は、コミュニケーションに悩む人たちの心を軽くすると話題を集めています。

石倉秀明

“コミュ障”を自称する石倉さんに、人脈やトーク力がなくても目的・成果ドリブンの仕事をするためのヒントと、自身が実践する“空気を読まない仕事術”についてお話を聞きました。

<プロフィール>石倉秀明(いしくら ひであき)さん

1982年生まれ。株式会社リクルートHRマーケティング入社。株式会社リブセンスに転職し、同社の東証マザーズ上場に貢献。DeNAを経て、現在は従業員全員がリモートワークで働く株式会社キャスターの取締役COOを務める。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。『コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる 空気を読まない仕事術』(マガジンハウス)などの著書がある。

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石倉秀明

まず勇気づけられたのは、石倉さんの「コミュニケーションが苦手でも、克服しなくていいんです」という言葉。

「苦手は克服しようと語られますが、苦手なことに向き合い続けるのは僕にはすごく苦痛なんです。

しかも、キーボードのタイピングが苦手というなら練習でどうにかなりますけど、コミュニケーション、特に人付き合いをうまくなろう、共感できるようになろうと言われても、練習の仕方もわからないし、かなり難しいと感じています。」

コミュニケーションが苦手でも大丈夫。苦手意識を克服するよりも、身につけたいのは「コミュ力」に頼らない仕事の進め方や、コミュ力不足をカバーする技術」なのだとか。

石倉さんが7つのヒントをくれました。

石倉秀明

1. 仕事に必要な「コミュ力」を誤解しない

「仕事におけるコミュニケーションとは、相手の言っていることを正しく理解し、自分の言いたいことを正しく伝えられる、この2点ができれば成立するんですよね。

飲み会を盛り上げるとか、一度会って仲良くなれるとか、そんなコミュ力がなくても仕事はできます。」

多くの人が考えがちな「コミュ力が低いと人脈をつくれない、人脈がないと仕事につながらない。だから自分はダメだ」という誤解を捨てて、「苦手なコミュニケーションで勝負しない」という考えに転換することが、大切なはじめの一歩。

2. 自分の「苦手」をメタ認知する

仕事におけるコミュニケーションには、対面、電話、メール、チャットなどの手段があります。自分はどのコミュニケーションが苦手で、それはなぜなのか、考えたことはあるでしょうか。

「うまく伝えられないのは、たとえば緊張や委縮のせいなのか、考えがまとまっていないからなのかで、対処法がまったく違ってきます。

緊張なら言いたいことをすべて書き出して箇条書きにして話す順番を決めるとか、うまく伝えられなかったと思ったら『今日お話しした内容を、あらためてメールします』と言って文字で補うとか、伝える準備やカバーの方法はいくらでもあります。」

自分は何が苦手なのか、何がイヤなのかを分解して、自分で理解してみるのがいいでしょう。

3. 自分のコミュ力や仕事を因数分解してみる

石倉さんは著書のなかで、自分のコミュ力を因数分解することの大切さを説いています。

「因数分解」とは、自分のコミュ力を分解して得意なパターンと苦手なパターンを知ること。それがわかれば、得意なことは生かし、苦手なことは避けるという対策がとれるようになります。

同様に「仕事も因数分解します。」と石倉さん。

たとえば、新社会人時代に石倉さんが就いたのは、コミュ障を自称する人ならできれば避けて通りたい“営業、特にテレアポ”の仕事。

「まず、営業の仕事を因数分解しました。

通常、テレアポの営業は「電話」→「アポイント」→「商談」→「受注」というプロセスに分解できます。

その中で「コミュ力」がなくてもどのプロセスなら他の人より良い成果を上げることができるか? を考えた結果、電話をかけて担当者につながる確率を増やすことに注目しました。

通常は、意を決して電話をかけても、担当者につながるのは10件中1件程度。

ただこの確率を10件中3件に増やせば、それ以降のプロセスが他の人と同じ確率だとしても、3倍の成績を上げられます。」

石倉さんが具体的にやったのは、徹底的なリスト管理

まず担当者が電話に出ない時間帯を分析。

1日を「午前、午後、夕方」の3つに分けて、月曜日から金曜日までとすると15枠。そのなかで相手がいる時間帯といない時間帯を洗い出しました。

「先方の担当者が、毎週月曜日の朝に定例会議が入っているとします。とすると、月曜の午前中に何回電話してもその担当者さんと話すことはできません。

それなのに、いつも月曜日の朝に電話をして『あー繋がらない』とため息をついていてはもったいないですよね。

でも、意外と周囲を見ていると、あまり考えずに同じ時間に同じ会社に電話してしまっているケースがほとんどでした。

相手のいる時間帯を分析して、電話をかける。この部分には僕の苦手なコミュニケーションはまったく必要ないわけです。」

電話でアポが取れるようになり、石倉さんの営業成績はトップをキープできたのだそう。これこそ、仕事を因数分解して結果を出すことの好例です。

石倉秀明

4.「入念な準備」は緊張や失敗を遠ざける

自称“コミュ障”なのに、テレビのニュース番組でコメンテーターを務める石倉さん。

とっさの質問にもアドリブで答えているのかと思いきや、実は入念な準備をして生放送に臨んでいるそうです。

同じように、プレゼンも準備は怠りません。石倉さんはプレゼンが大の苦手。

そこで、極限まで負担を軽減しようと考えたのが「1スライド、1メッセージ、1分」という自分なりのルール。

「1スライドにつき、伝えたいメッセージはひとつ。1スライドにつき、話す時間は1分。

話す内容は自分用にメモをして、アドリブでは話さない。資料をおしゃれにしようなんてことは考えません。

僕にとってのプレゼンは、伝えたいことを伝える場としてわりきっています。」

5. 相手の気持ちが読めないなら相手にあわせる

ほかにも、石倉さんは仕事においていくつかのルールをつくっています。そのひとつが、メールやチャットの返信は相手のトーンにあわせるということ。

「僕は人の気持ちを汲んだり、空気を読んだりするのが苦手。

テキストだけで相手の感情を無理に読もうと悩むんだったら『トーンやテンションをあわせてしまえ』という僕なりの対処法です。」

相手が「石倉さま」と書いてきたら、こちらも「〇〇さま」で返信。

「!」「笑」など要素も相手が使ってきたら、こちらも使い、相手が使わなかったら使わないなど、相手のトーンにぴったり合わせているのだとか。

確かに、自分とまったく違うトーンの返信に戸惑うことはあっても、同じトーンで返ってきて違和感を覚える人は少ないはずです。

6. チャットでは意識的に「雑談」を

リモートワークの推進で、以前よりコミュニケーションが取りにくくなったという声も聞かれます。

かねてから自身の会社はスタッフ全員にリモートワークという働き方を提供してきた石倉さんの見解は実に明快。

「人それぞれに得意と不得意が違いますよね。その場所が変わっただけのこと。

テキストで完結にまとめられないのか、空気が読めなくて不安なのか、チャットのスピードについていけないのか、オンラインの何がやりづらいのかをちゃんと分析して理解し、対策することですね。『なんかやりにくい』では何も解決しませんから。」

Slackなどのチャットツールを使ったコミュニケーションで大切にしたいのが「雑談」。

オフィスでは隣の席の人や廊下ですれ違った人と話す機会はありますが、オンラインでは意識的に雑談してほしい、と石倉さん。

「雑談をしたことがない人に相談はしにくいし、相談をしたことがない人に業務の報告もしにくいですよね。

オンライン上でも『ちょっといいですか』という雰囲気が作れるといいと思います。」

7. 自分の能力を発揮できることを探す

著書には、苦手なことで勝負せずに「自分の能力を発揮できる場所を探そう」とあります。

しかし、これはコミュニケーションの得手不得手を問わず、なかなか難しいテーマのような気がします。

「苦手なことを自覚するより、自分は何が得意かを見つけるほうが難しいですよね。自分が普段からやっていて苦にならない仕事、意識せずとも普通にこなせちゃうけど、周囲の人が苦戦していることが、その人にとって得意なことなのだと思います。」

得意なことを見つけるとさらにいいことが。

「得意なことは成果も出しやすいので、自然とそういう仕事がまわってきやすくなり、さらに成果もでる。そうなることで、仕事へのモチベーションも保たれます。」

まずは、苦手なコミュニケーションのことばかり意識しないで、得意なことを探してみると働き方の視点が変わるかもしれません。

「成果・目的ドリブン」で結果を出すヒント

石倉秀明

「苦手なことを避けるにはどうしたらいいかを必死で考えて、なんとか技術でごまかしながら、自分が少しでも得意なやり方を実現できるようにしてきた。」という石倉さんの仕事術。

コミュ力がないことにコンプレックスを持っているなら、ぜひとも自身の働き方に取り入れてみてはいかがでしょうか。

【まとめ】石倉さん流・コミュ力に頼らない仕事術

1. 仕事に必要な「コミュ力」を誤解しない

仕事に必要なコミュニケーション力とは、相手の言っていることを正しく理解し、自分の言いたいことを正しく伝えられること。

2. 自分の「苦手」を認知する

自分は何が苦手なのか、何がイヤなのかを客観的に捉え、できる対策を講じる。準備やカバーの方法はいくらでもある。

3. 自分のコミュ力や仕事を因数分解してみる

自分のコミュ力を分解して得意なパターンと苦手なパターンを知ること。仕事も同様に分解し、得意な部分で成果が出せるようにする。

4.「入念な準備」は緊張や失敗を遠ざける

苦手な仕事の負担を極限までに軽減させるためには、入念な準備が不可欠。自分なりのルールを設けて、緊張や失敗を遠ざける工夫をする。

5. 相手の気持ちが読めないなら相手にあわせる

メールやチャットで、相手が「さま」をつけてきたら、こちらも「さま」で返信。「!」「笑」も同様に、相手と同じトーンに揃えるのが石倉さん流。

6. チャットでは意識的に「雑談」を

「なんかやりにくい」では何も解決しないから、オンラインのやりづらさを分析して対策する。チャットでは意識的に雑談をする。

7. 自分の能力を発揮できることを探す

自分が仕事をしていて苦にならない仕事とは何か。苦手なコミュニケーションのことばかり意識しないで、得意なことを探してみよう。

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Photo: 伊藤晴世

取材・文: 大森りえ

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