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残念な上司はもういらない、「繊細な若手社員の力を引き出す6か条」

残念な上司はもういらない、「繊細な若手社員の力を引き出す6か条」
Photo: 印南敦史

ここ数年、管理職や経営陣から「最近の若者は繊細になった」という嘆きを聞く機会が増えたーー。そう明かすのは、『あなたの職場の繊細くんと残念な上司』(渡部 卓 著、青春新書インテリジェンス)の著者。

20年近くにわたり、300以上の企業や官庁、地方公共団体において、メンタルヘルスやハラスメント対策、働き方改革、健康経営などの研修を行ってきたという人物です。

誤解のないように最初に伝えておきたいのですが、この本は「いまどきの若者は〜」などとありきたりな若者論をぶつのが目的ではありません。

そのようなステレオタイプに若者を一刀両断する上司ほど、また良かれと思って旧来の指導法に固執する上司ほど、若手社員の目を摘む傾向があります。まさに「残念な上司」そのものです。

この本では、繊細な若手社員(繊細くん)と旧(ふる)い常識で部下を指導している上司(残念な上司)をブリッジしていくヒントをお伝えしたいと思っています。(「はじめに」より)

上司やリーダーにとって、若手社員の可能性を伸ばすことは重要な職務。とは言え、なかなかうまくいかないという方も少なくないはずです。

そこできょうは第4章「できるリーダーの、若手の力を引き出す共感マネジメントーー“新しい働き方”の時代に求められるリーダーシップとは」のなかから、「繊細な若手社員の力を引き出す6か条」に注目してみることにしましょう。

1. 賞罰や競争、比較をからめない

昔にくらべ、インセンティブや昇進で目の色を変える若手社員は減ったといいます。競争意識も希薄で、他人と比較されることも嫌うのだとか。では、そんな彼らのやる気を促すにはどうしたらいいのでしょうか?

この問いに対して著者は、「彼らがどんなことに重きを置いているのかを重視すべき」だと説いています。

大切なのは、それを知り、“横関係”に加わること。もちろん業務上の“縦関係”はありますが、あえて横関係にも加われば、そこから信頼関係を築けるというのです。

時には彼らのルールに従って一緒の時間を過ごすことも大切です。

たとえば、若手と食事会や飲み会に関しては、基本的に彼らは“割り勘”が前提です。

(中略)

「ここは俺が払っておくわ」は、何か別の目的があるのではないかと余計な詮索をされることもあり、上司が思うほどには歓迎されないのです。(172ページより)

対等な目線で、同じ時間を共有するということ。そして仕事を離れた場面では、彼らと横の関係を意識し、信頼を築いていくことが基本だというのです。(172ページより)

2. 共同体の感覚を持たせる

少し前に「ワンチーム」ということばが流行りましたが、企業でのワンチーム化は少数派の苦渋を無視することになってしまいがち。

たとえば若手社員は、社内イベントなどでの余興を嫌がるもの。かつて、それは新人の通過儀礼のようなものでしたが、現代においてそういった行為の強要は許されないわけです。

そんな彼らに対しては、「便宜上、上司・部下の役割はあるけれども、絶対的な主従関係があるわけではない」と考えることができると著者はいいます。

むしろ、「一緒に目標に向かってがんばるための仲間」だということを伝え続けることが大切だというのです。(173ページより)

3. YES・NOの表明を強要しない

若手社員が多少はっきりしない態度をとっていたとしても、そこで「YES・NO」を迫るのはNG。

仕事の現場では、「YES・NO」の間のグレーゾーンに答えがある場合も少なくないから。そういう意味では、自分の意思をはっきり証明しないことは美徳でもあるわけです。

つまり、YES・NOを言えない、明言しない彼らにも言い分があるということ。

したがって、有無を言わさずYES・NOの返答を迫るようなことをせず、「どう考えているのか」にじっくり耳を傾けることが重要なのです。(175ページより)

4. 不安に共感し、不安を共有する

コンプライアンスの遵守が叫ばれ、世の中が大きく変わっているにもかかわらず、大企業においてすら超過残業、ハラスメントなどは依然として少なくないようです。

ましてや現代においては、コロナ禍による不安も無視できません。

だからこそ、さまざまな不安を抱えた若手社員を放置し、我慢させたままにしておくのは大問題。場合によっては、ストレスによって心が折れてしまうケースも出てくるかもしれないため、そんな状況での離職を出来る限り回避させることが重要なのです。

経営陣から「疲れがたまってない?」「ちゃんと寝られている?」「不安はある?」と尋ねて、社員を安心させる必要があるのです。

仕事に不安を感じていると気づいたら、その不安をまずは傾聴してあげてください。(177ページより)

その際には、決して途中で話の腰を折らないようにすることも大切。(175ページより)

5. 相手の考え、環境、生き方に共感する

相手の考えや生き方、環境などを知るべきだと著者が主張するのは、次のような経験があったからだといいます。

ある学生が仕上げてくるレポートの内容が薄く、適当に書いている印象を持っていました。

ところがある日、彼は家庭の事情を抱えていて、毎晩生活費を補うためにアルバイトしている事実を知ったのです。

時間的にレポートに打ち込める状況ではなかったわけです。 その事実を知ったとき、彼のレポートを見る目が変わりました。

時間がない中、最低限の要素を入れて成立させようと頑張っている面が見えたのです。本人と話してみると真面目な性格であるのも伝わってきました。

もしその事実を知らなければ、手を抜く学生だという先入観で彼を評価していたかもしれません。(176ページより)

どんなことにも、目につきにくい真実というものがあるわけです。それは部下も同じなので、なにかを伝える際には、そうした部分に気を使うべきだということです。(177ページより)

6. 責任を口にしない

「おまえたちのやりたいようにやってみろ。その代わり全力投球しろ。責任は俺が取るから心配するな」 こんな啖呵を切っても、いまの若手社員にはたいして響きません。

彼らは「自分に酔っている」とか「耳あたりのいい台詞だけど、こっちにプレッシャーをかけている」と見透かしているからです。(179ページより)

多くのビジネスパーソンが一元化されていた時代ならともかく、それぞれのワークライフバランスの比重が異なる現代において、こういったことばは部下に無理強いするだけの台詞にすぎないといいます。

責任を強調して追い込むのではなく、上司と部下で役割は違えど、同じ目的に向かっていく仲間として、ともに力を合わせていくことを伝え、それを共有していくことが求められているというのです。(179ページより)

アフターコロナの重要なポイントは、「ニューノーマル(新しい生活様式)」の感覚で生きていくこと。いままでと同じ日常ではないということで、若手社員との接し方についてもそれは同じ。

そこで、この6か条を入り口として、可能性を模索してみてはいかがでしょうか? そのうえで本書を読み込んでいけば、さらに知見は深まるのではないかと思います。

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Source: 青春出版社

Photo: 印南敦史

印南敦史

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