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「聞き取る力」が身につく、積極性を活かす「アクティブ・リスニング」

「聞き取る力」が身につく、積極性を活かす「アクティブ・リスニング」
Photo: 印南敦史

スタンフォード式 生き抜く力』(星 友啓 著、ダイヤモンド社)の著者は、スタンフォード大学のリーダーのひとりであり、同大学の一部であるスタンフォード大学・オンラインハイスクールの校長をしている人物。

本書では、競争の激しいシリコンバレーで体験した世界最先端科学に基づく「行く抜く力(=The Power to Survive)」を伝えようとしているのだそうです。

全世界的に社会構造や価値観が激変するなか、この社会に暮らす人全員が、想像をはるかに超えた“次の世界”のあり方に備えることを余儀なくされていると著者は指摘しています。

これはコロナショックに始まったことではありません。 もはや、目の前に見える「ゲーム」の攻略法だけでは「生き抜く力」にはなりません。

今やっている「ゲーム」自体が明日にはまったく違ったものに変わる。

今の「ゲーム」を自己利益の追求によって運よく勝ち抜けても、すぐに訪れる次のゲームで立場が逆転して痛い目に遭いかねません。

自分のまわりの人とつながり、互いのためになる。人類が進化の荒波を乗り越えてくる中で手に入れた最高の「生き抜く力」を、今こそ改めて見直さなくてはいけないのです。(「はじめに」より)

こうした考え方に基づき、本書では最新科学とビジネス理論を軸として、著者の専門分野である哲学と論理学の視点から「生き抜く力」を徹底解剖しているのです。

たとえば第3講「スタンフォード式『生き抜く力』の磨き方」においては、「『生き抜く力』の3つの基本要素」が紹介されています。

・第1要素:「聞き取る力」

・第2要素:「共感する力」

・第3要素:「与える力」

(87ページより)

きょうはこのなかから第1要素:「聞き取る力」に注目してみたいと思います。

生き抜くために身につけておくべき、「聞き方」についての考えとメソッドを明かしたパートです。

「聞き取る力」がつく「アクティブ・リスニング」

相手が話している間、単に黙って聞いているだけでは「聞き取る力」を十分に発揮しているとは言えないそうです。

受け身な姿勢で話を聞く「パッシブ・リスニング(passive listening)では、相手の話以外のことに気が散ってしまったり、次に話すことを意識しがちになるから。

話にしっかり集中して、相手のいうことを正確に聞き取り理解していくためには、積極的に対話に参加していく「アクティブ・リスニング」(active listening)のテクニックが効果的です。(89ページより)

そのため著者は、パッシブ・リスニングから「アクティブ・リスニング」への転換を勧めています。

聞き上手になるためには、いいタイミングで話に参加できる「対話上手」にならないといけないというのです。(88ページより)

話に取り入れるべき4つの「DO」

人の話を聞くときは、次の4つの「DO」と4つの「DON’T」に注意する必要があるそうです。

ここでは「DO」について確認してみましょう。

(1)パラフレーズ

相手の話したことをいい換え、確認する 相手の言ったことを自分のことばで言い換えたりまとめたりして、相手との会話に入れていく方法。

相手の話の内容をパラフレーズして確認することで、自分の理解度をチェックできるわけです。それだけでなく、真剣に聞いていることを印象づけることも可能。

(2)クエスチョン:相手の言うことを確認しながら詳しく聞く

会話中に思ったことがあったら、すぐ質問。質問の目的は相手の話す内容を確認し、詳しく聞くこと。なお、相手を非難しないように注意が必要。

「○○とおっしゃいましたが、◇◇と言うことでしょうか?」

「○○とおっしゃいましたが、どういう意味でしょうか?」

とシンプルに聞いてみましょう。

(3)エンパシー:相手の気持ちに共感を示す

相手の気持ちに共感できた場合には、率直に伝えることが大切。

「おっしゃるとおり、さぞかし○○でしょうね」

「そう感じるのは、ごく自然な気がします」

「私も、その状況ではそう感じてしまうと思います」

なお、ここで「その気持ちわかる!」は禁句なのだとか。

なぜなら「アクティブ・リスニング」の焦点は、自分ではなく相手の気持ちだから。「その気持ちわかる!」では、自分の側が強すぎるわけです。

本当に相手の気持ちをわかっているかどうかは、実のところ自分にも相手にもわからないもの。

相手が「こんなに悲しいことなど他人にはわからない」とふさぎ込んでいる可能性もあるので、注意が必要だということです。

(4)フォーカス:相手の話に集中していることを示す

会話のなかにパラフレーズ、クエスチョン、エンパシーを少しずつ取り入れて対話していくと、相手は自分の話がしっかり聞かれていると実感できるもの。

さらに、表情や目線、身振り、手振りをシンクロさせることも重要。相手が話している間は、相手の目を見て、相づちを打つことも忘れずに。(89ページより)

会話で避けるべき4つの「DON’T」

(1)決めつける

相手の考えや気持ちを決めつけたり、行動を善悪で決めつけるのはNG。相手の状況や気持ち、考え方を尊重し、オープンな気持ちで話すことが大切であるわけです。

(2)話の腰を折る

相手が話している間に、割って入って話を妨げるべからず。

質問するときも、細かいことを聞きすぎて会話の全体像を見失わないように。相手が次のポイントに入りたいのに、余計なことに脱線すべきではないのです。

(3)アドバイスする

相手が悩みを打ち明けても、アドバイスをほしがっているとは限りません。こちらから一方的なアドバイスをすると、相手を嫌な気分にさせてしまう危険性も。

(4)否定する

相手の言っていることを否定したり、疑問を投げかけたりすることも避けるべき。

「アクティブリスニング」は相手を理解することが目的なので、オープンマインドで相手を尊重しながら対話を進めることが重要になってくるわけです。(93ページより)

誰にでも簡単にできる「エクササイズ」なども紹介されているので、「生き抜く力」をさまざまな角度から、無理なく身につけることができるはず。

混沌とした時代だからこそ必要なことがらを、本書によってぜひとも身につけたいところです。

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Source: ダイヤモンド社

Photo: 印南敦史

印南敦史

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