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自分の魅力を最大化、相手の魅力を発掘!人間関係が深まる方程式とは

author 鈴木拓也
自分の魅力を最大化、相手の魅力を発掘!人間関係が深まる方程式とは
Image: Shutterstock

職場や取引先あるいは知人との人間関係を、もう一歩深めたいという願望は、誰もが持っているはず。

でも、それが一筋縄ではいかないのは、多種多様なコミュニケーション・メソッドが出回っていることからも明らかでしょう。

そんなメソッドのいくつかを実践してみたけれど、いまひとつ効果がない、感触がつかめないという方に今回おすすめしたい1冊が『ハーバード・CIA・FBIで学んだ 人の心をつかむ最高の法則』(リベラル社)です。

人間関係の強さは方程式で表せる

本書の著者は、REINAさん。ニュージャージー州で日本人の両親のもとに生まれ、ハーバード大学院卒業後、CIAとFBIの内定を蹴って来日し、芸人になったという異色の経歴の持ち主です(現在は英語コミュニケーションスクールのSparkDojo取締役)。

その生い立ちから、コミュニケーションの達人に思えますが、子どもの頃はまさにこれで苦労し、「この問題に向き合い、考え続けて」きたそう。

そして、試行錯誤の末にREINAさんが編み出したのが、人間関係の強さを測るという方程式。これは、以下の式で表されます。

人間関係の強さ=(第一印象+自分の魅力)×相手の魅力÷距離

つまり、第一印象、自分の魅力、相手の魅力、距離という4つの要素の組み合わせによって、相手との関係の強弱が決まるというのです。

本書の内容は、これらの要素をどうやって向上させる(距離については極力抑える)のかに焦点を当てています。以下、各要素について、かいつまんで紹介しましょう。

第一印象を決める3つの要素

多くの心理学の研究から、人の第一印象はほぼ一瞬のうちに決まる、ということがわかっています。そして一度形成された第一印象は、容易に変わらないとも。

ところで、第一印象は何によって決まるのでしょうか?

REINAさんは「信頼性」、「有能性」、「価値」の3要素だと述べます。

印象に止まることをねらった個性的なあいさつは、信頼性の観点では逆効果となるリスクがあるそうです。REINAさんは、あいさつ自体については無難に「こんにちは」や「はじめまして」で済ませるようすすめています。

そして、最初に会った瞬間に重要なのは、話す内容よりも「表情や声の使い方、立ち居振る舞いや動作」だと、REINAさんは力説します。

具体的には「目で笑うよう意識する」「アイコンタクトを維持する」など4つの方法を提示。

「目で笑うなんて簡単では」と思われるかもしれませんが、REINAさんですらCIAの採用面接で「目が笑っていない」と指摘されたそう。

口元では笑みを浮かべても、目元はそうではなく、知らないうちに第一印象で損をしている人は多そうです。

信頼を得るために本当に必要な笑顔とは「デュシェンヌ・スマイル」を指します。

フランスの神経内科医ギョーム・デュシェンヌ氏は、顔の筋肉がどう表情をつくるのかを研究し、本物の笑顔はたった2つの筋肉の収縮作用からつくられると発表しました。 この2つの筋肉は、頬にある筋肉と、目を囲む筋肉です。

この2つの筋肉を使って「デュシェンヌ・スマイル」をつくるには、口角を上げるだけではなく、目尻にしわができるくらい目の周りの筋肉を収縮させます。(本書056pより)

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デュシェンヌ・スマイル
Image:『ハーバード・CIA・FBIで学んだ 人の心をつかむ最高の法則』

他者は無意識のうちに相手の目を見て、本当の笑顔かどうかを判断しています。あいさつを工夫するより、デュシェンヌ・スマイルを心がけることで信頼性は高まります。

第一印象をつくる2つめの要素、有能性についても、初対面から数秒で判断されます。ここでいう有能性とは、「この人はしっかりしている人なのか?」といった、やや漠然としたもので、実際に仕事ができる人かどうかといったものではありません。

では、どうやって有能性を印象づけるかというと、これも外観や仕草という視覚情報によるアピールです。

例えば、「両手を相手に見えるようにする」。言い換えると、両手を前や後ろで組んだり、ポケットに入れたままにしておくのはNG。

これは、わかりやすいと思いますが、盲点なのが「手で自分の顔や首を触ってしまう」こと。

この動作は、緊張しているというボディランゲージだそうで、無意識に有能性が疑われたり、「この人は私が苦手なのかな」と思われるリスクすらあるそうです。

手を顔に持っていく癖のある人は、相手と会う直前に「手は体の横に!」と呪文のように唱えておくことを、REINAさんはすすめています。

信頼性と有能性を印象づけたところで、最後に価値をアピールする方法が述べられています。

これは、端的に言えば、話す価値のある人だと思われること。自分と人間関係を結ぶことで、何のメリットがあるのか、どんな情報を得られるのか、相手はそれとなく探っています。

勝負は会ってから3分以内だそうで、REINAさんのアドバイスが「謙虚さは時間のムダ」。日本人らしい謙虚さは、あとで実際の言動をとおして見せればよいそうです。

さらに、価値を伝える努力と同時に大事なのが、意外にも「名前を覚えてもらう」こと。ほかのことで記憶にとどまっても「そもそも名前を覚えてもらわなければ意味がありません」とREINAさん。

そこで、「私の名前はありきたりなんで、なかなか覚えてもらえないんですよね。〇〇さん、私の名前を覚えてもらえますか?」というふうに、率直に意図を伝えます。

こうしたことを実行することで、3要素をふまえた第一印象のアピールが可能となります。

第一印象は後で変えることは困難なため、おろそかにはできません。本書に書かれたテクニックを最初から全部実行するのは難しいかもしれませんが、できそうなものから取り入れるとよいでしょう。

自分の魅力を最大化するには

方程式の2つめの要素である「自分の魅力」。あなたには、どんな魅力や強みがあり、逆に弱みは何かを把握しているでしょうか?

「自分の魅力は、自分がよく知っている」―そう考える人が大多数かもしれません。ですが、「実はバイアス(固定概念)や感情を排除して分析し、自分を正しく理解することはとても難しいことなのです」と、REINAさんは説きます。

その問題をクリアして自分の魅力を認識するため、本書にはいくつかの書き込み式のエクササイズが掲載されています。その1つが、「あなたのUSPを探す」

USPとは、マーケティング用語のUnique Selling Proposition/Pointのことで、もともとは商品やサービスの独自の強み・価値を伝えるメッセージの意味です。

これを人に当てはめれば、USPとはその人ならではの個性で、かつ他者が価値の観点から興味を持つものを指します。

自分のUSPを見いだすためのエクササイズについては割愛しますが、REINAさん自身のUSPは、「言語学習」、「ベンチャー企業」、「アメリカ・国際政治」などとなります。

これらは、REINAさんが顧客像として求める「異なる業種の新しい繋がりを探している30代~40代のビジネスプロフェッショナル」が望んでいる情報とマッチし、「自分の魅力」となるわけです。

ただし、単なる自慢になってしまわないよう、USPはアピールの仕方に注意する必要がありますが、ここで活用できるのが「フック」。

話題がUSPに行きやすいよう、間接的に伝えたい情報を伝達するやり方です。

例えば、私のUSPは「テロ/サイバーセキュリティ」です。でも、いきなりこの話を始めるのも不自然ですよね。

なので、私のフックは、 「〇〇さんのキャリア、面白いですね! 私のキャリアもちょっと変わってるんですよ。実は昔テロ関係の仕事をしていて…」と相手の情報を認識しつつ、自分のUSPの前ふりをします。

あるいは、質問から切り出したほうが雰囲気的によいと判断した場合は、 「今までいちばん面白かった仕事は何ですか?」と聞き、相手の答えを聞いてある程度盛り上がったら、自分のUSPを紹介します。(本書140~141pより)

フックは、土壇場で即興的に考えるのではなく、あらかじめ「ストーリー系」「質問系」など何パターンか準備しておくことがすすめられています。

相手のまだ知らない魅力を特定するには

人間関係の方程式の3つめの要素が「相手の魅力」。これは、第一印象を加えた自分の魅力と掛け算の関係にあり、非常に重要な要素です。

では、関係は深めたいけれど、自己アピールをあまりしないタイプだったりして、当人の魅力がわかりにくい場合、どうしたらよいでしょうか?

この場合、あなたが相手の魅力を「引き出す」必要があると、REINAさんは述べています。

そもそも相手の魅力には、「相手が魅力的だと感じる相手自身の魅力」と「あなたが魅力的だと感じる相手の魅力」の2種類あるそうです。

後者は分析せずともわかりますが、前者を特定するにはコツが要ります。それが「ベースライン」からの変化です。ベースラインとは、その人に特有の普段の仕草やアイコンタクトの量、姿勢や表情などを指します。

相手が自分の話をしているとき、ベースラインよりも笑顔が多かったり、声のトーンが上がっていれば、その内容こそが、相手が魅力的だと感じる相手自身の魅力である可能性が高いそうです。

そして、ベースラインからの変化を引き起こすのに効果的なのが、例えば次の質問です。

「ご出身はどちらですか?」

「最近、興味のあることは何ですか?」

こうしたシンプルな質問を投げかけるのが基本。状況に応じて本書のテクニックを用い、普段は隠れている相手の魅力を引き出していきます。

心理的な距離を縮めるテクニック

人間関係の方程式の最後の要素は「距離」。この距離は心理的距離、つまり、互いが相手に感じる親近感の度合いのことです。

日本人の間では、適度な距離感を保つことが良しとされる文化がありますが、人間関係を深めるという意味では、大きな障害となりえます。

文化的背景はさておき、REINAさんは、性格や価値観、経験や趣味などが互いに類似していたり、接触の機会が多ければ、それだけ心理的距離は縮まりやすいとします。これは、今までの人生経験からも、納得のいく話でしょう。

さらに、効果的に距離を縮める7つのテクニックも紹介されています。

その1つが「ヴァルネラビリティを見せる」というもの。

ヴァルネラビリティ(vulnerability)とは、「脆弱性」という意味ですが、ここでは「心の弱さ・不安」や「自分のデリケートな部分」の意味合いです。

これを「見せる」というのは、具体的には「失敗談について話す」「パーソナルな情報を相手と共有する」「アドバイスを求める」の3点です。

REINAさんは、例として自身の過去の体験を挙げています。来日して、漫才コンビとしてデビューしたものの、成果を出せないまま、数カ月でコンビを解消してしまったというエピソード。これは、「失敗談について話す」にあたります。

そして、「なぜCIAの内定を蹴ったのか?」といった、普段は口にしない心情を吐露するのは「パーソナルな情報を相手と共有する」の一例です。

3つめの「アドバイスを求める」がヴァルネラビリティなのは、「自分には悩みがある=自分は完璧な人間ではない」というメッセージを相手に伝えられるからです。

さらに、「私はあなたを信頼しています。あなたの意見は価値が高いと評価しています」と、相手をリスペクトしていることも伝わります。

もう1つ、これが効果的なのは、求めに応じてアドバイスや助けを与えることで、相手からの好意が高まるためです(フランクリン効果)。

このように効果の高いヴァルネラビリティの活用ですが、見境なく使っていいものではなく、タイミングや中身など総合的に勘案するよう、REINAさんは注意を促しています。


『ハーバード・CIA・FBIで学んだ 人の心をつかむ最高の法則』の要の概念となる、人間関係の強さの方程式について、あらましを紹介しましたが、「人間関係を強めるって難しい」という印象を持たれた方もいるかもしれません。

実際の話、ある程度の練習・実践の繰り返しが必要であるとREINAさんは記しています。まずは、「できそうだな」と思う部分からやってみて、悩むよりとにかく動く。

失敗しても大概はやり直しがきくので、いろいろチャレンジしながら、人間関係の強化をはかっていくのがベストだとも。人間関係の強化に関心のある方は、読んでみてはいかがでしょう。

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Source: 『ハーバード・CIA・FBIで学んだ 人の心をつかむ最高の法則

Image: Shutterstock

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