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午後から出社もアリ。リモートワークの達人が教えるフレキシブルな働き方

午後から出社もアリ。リモートワークの達人が教えるフレキシブルな働き方
Photo: 印南敦史

リモートワークの達人』(ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン 著、高橋璃子 訳、ハヤカワ文庫NF)は、リモートワークに対する考え方をアップデートするために書かれたものだそうです。

いちばん重要なポイントは、「リモートワークの達人になる方法」を明かしていること。

すべて現場の経験に基づく実用的なもので、著者は自身のことを“実際にリモートワークで働く経験を積んできた実践者”だと記しています。

僕らの会社「37シグナルズ(2014年に「ベースキャンプ」に社名変更した)」では、10年前からリモートワークを活用している。

当初のメンバーは、コペンハーゲンとシカゴに1人ずつ。そこから順調にリモートで成果を上げてきた。現在では世界各地の36人のメンバーが僕らの会社で働いている。ユーザー数は数百万人、世界中のあらゆる国が僕らのフィールドだ。

そうした経験をもとに、リモートワークがいかに豊かで自由な世界かということを紹介したい。(「イントロダクション」より)

上記にもあるとおり、著者のひとりであるジェイソン・フリード氏は世界的に著名なソフトウェア開発会社「ベースキャンプ」の創業者・CEO。

共著者であるデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏も、共同経営者です。同社は1999年の創業以来20年にわたり、リモートワークで業績を上げ続けているのだといいます。

そのような実績をもとに書かれた本書の「リモートワーカーの仕事スタイル」のなかから、いくつかの要点を抜き出してみたいと思います。

1日のリズムをつくる

従来の通勤文化の長所は、1日のリズムが決まっていること

毎日同じ時間に起き、電車に乗って会社へ行き、夜になると家に帰って服を着替え、酒のグラスを傾けるというように。

人それぞれ違いはあるとしても、なんらかのリズムができてくるわけです。

一方、家で働く場合、時間の使い方はより自由になるはず。

毎日オフィスに閉じ込められて定時を待つことにつらさを感じている人にとって、それは夢のような話かもしれません。

とはいえ、現実はそれほど甘くないのも事実。“決まったリズムのない生活”も、実際にやってみると意外に難しいものだということです。

もちろん、気ままな生活が向いている人もいるでしょう。

でも多くの場合、生活のリズムが決まっていないとやりづらいもの。そのため厳密なルールではなかったとしても、だいたいの区切りはつける必要があるのです。

仕事と遊びの区別をつける方法はいろいろある。たとえば、服装を変えること。

朝から晩までスウェットを着ているのはラクかもしれないが、心までゆるんでしまう危険がある。仕事モードの服と遊びモードの服を分けておけば、気持ちの切り替えがつきやすい。(215ページより)

とはいっても、家でスーツを着ろということではないようです。

早い話が、仕事と遊びの区別さえつけばいいということ。外に出られる程度の格好をするだけでも効果があるといいます。

著者の同僚は、スリッパを履き分けているそう。仕事モードのスリッパを履くと、一気に気合が入るというのです。

もちろん、必ずしもそれを真似する必要はないでしょう。

しかし、もし朝起きてなかなか仕事モードになれないのなら、試しにまともなズボンくらいは穿いてみるといいかもしれないと著者は提案しています。

些細なことではありますが、試してみる価値はあるのではないでしょうか?

また、1日の作業を大きく3つくらいに区切っておくのもひとつの手段。たとえば「情報収集」と「チームワーク」と「集中モード」。

朝はメールやニュースを読んで情報収集し、昼までにチームと連携した仕事を済ませ、ランチのあとは集中モードで一気にタスクを片づけるといった具合です。

チーム内で時差があるなら、同僚の活動時間にあわせて時間をセッティングするといい。デイヴィッドはスペインにいるとき、朝の誰もいない時間を狙って集中モードに入る。アメリカのメンバーはみんなまだ眠っている時間だ。昼までにタスクを片づけると、午後は休憩をとって家族とすごす。それから夕方、アメリカのメンバーがそろっている時間になると、ふたたび仕事に戻ってチームの話しあいやフィードバックを片づけていく。(216ページより)

これは、必ずしも海外のスタッフとの仕事だけにあてはまるものではないはず。

国内のスタッフ間だったとしてもライフスタイルが異なることはありうるため、応用範囲は意外に広いのではないかと思います。

それからもうひとつ、家のなかを仕事とプライベートに区切るのも有効な手段。たとえば「仕事をするのはデスクだけ」と決めておくわけです。

リビングのソファで仕事メールをチェックした理、寝室で残作業を片づけたりしてはいけないということ。

もちろん、やり方は人それぞれ。これらは参考にすぎず、なにも決めないほうがうまくいくなら、それはそれでいいわけです。

いずれにしても、いろいろ試して自分に最適な方法を見つけるべきなのかもしれません。(214ページより)

半日リモートワーカー

リモートワークを導入する際、いきなり全員に自宅作業を押しつける必要はなし。

社員の半分がオフィスで働き、半分がリモートで働くという手もあるでしょう。あるいは週に2〜3日だけオフィスで働き、残りの日は別の場所で仕事をしてもいいということです。

さらに、1日のなかでオフィスとリモートを分けることも可能。

朝から晩までオフィスで働く代わりに、午前中は家で働き、午後だけオフィスで仕事をするというようなやり方もあるわけです。

たとえばジェイソンの場合、朝はたいてい家ですごし、11時頃にようやく出社する。といっても朝寝坊しているわけではなく、朝の7時半か8時には仕事をはじめている。オフィスにいると気が散るので、しばらくは家で仕事の情報収集に集中するのだ。

それが済んだらオフィスへ行き、チームでやる仕事にとりかかる。(220ページより)

つまり大切なのは、フレキシブルにやること。リモートワークは0か1かの問題ではなく、リモートとオフィスを両立させることは可能で、そのほうがスムーズにいくこともあるわけです。

そこで、試しに出社時間を午後にずらし、午前中は各自ひとりきりで作業できるようにしてみることを著者は提案しています。

それだけで、仕事の効率は驚くほどアップするはずだから。(218ページより)


著者が訴えているのは、オフィスに集まって働くという固定観念をくつがえし、新たな世界の扉を開くこと。

それは人件費削減のためのアウトソーシングのような旧態然とした話ではなく、仕事に質が大きく高まり、働く人の満足度も高まる、新しい働き方を意味するのだといいます。

コロナ禍の影響でリモートワークが急速に進むいまだからこそ、目を通しておきたい一冊です。

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Photo: 印南敦史 Source: ハヤカワ文庫NF

印南敦史

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