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収集・整理・伝達。「要約力」を高めるための3つのステップ

収集・整理・伝達。「要約力」を高めるための3つのステップ
Photo: 印南敦史

人になにかを伝えようとするときは、「あれもこれも」といろいろな要素を詰め込んでしまいがち。

ところが、あれこれ話すほど、逆に伝わりにくくなるものです。そこで必要になってくるのが「要約力」。

9割捨てて10倍伝わる「要約力」』(山口拓朗 著、日本実業出版社)の著者によれば「要約力」とは、情報のポイントをつかみ、場面に応じて、簡潔かつ論理的にアウトプットする能力のこと。

要約力が低い人の脳というのは、データが整理されていないパソコンのハードディスクのような状態です。データはあっても……どこにあるのか探し出すことができません。

一方、要約力の高い人の脳は、きちんとデータがフォルダに分けられているパソコンのハードディスクのような状態です。したがって、一つひとつの情報にアクセスしやすい。この脳であれば、臨機応変に必要な情報を取り出すことができます。(「はじめに」より)

情報が整理されていれば、情報同士の違いや共通点にも気づきやすくなるので、情報の分析や検証がはかどることに。また、要約された情報同士を組み合わせることで、新たなアイデアが生まれることもあるはず。

加えて情報の「出し入れ」や「組み合わせ」がしやすい脳をつくっておくと、自分の意見もつくりやすくなるでしょう。

つまり、さまざまなメリットが見込めるということ。

要約のプロセスがうまくいったかどうか、その成果は「相手に伝える(情報伝達)」という最終ステップに現れるもの。

しかし「相手に伝える」ためには、要約を「①情報収集→②情報整理→③情報伝達」の3ステップで進めていくことが大切だと著者は主張しています。

それぞれのステップを確認してみることにしましょう。

必要十分な情報を集めるーーステップ①情報収集

ひとことで情報といっても、その種類はさまざま。

・人から聞いた話(雑談含む)

・会議や打ち合わせで耳にしたこと

・現場で体験したこと

・五感を使って感じたこと

・研修やセミナーなどで勉強したこと

・書類や文書、データ、メールなどの情報

・新聞や書籍、雑誌などのメディア情報

・ウェブサイトやSNS上の情報

(42〜43ページより)

たとえば、このようなことが挙げられるわけです。また、多くの情報をもとに自分のなかで生み出された「考え」や「意見」も情報のひとつ。

さらには、情報をもとに立てた「予測」や「仮説」なども情報だといえます。

そんな「要約」は、料理に似ていると著者は記しています。「食材(=情報)」がなければ「料理(=要約)」できないということ。

アウトプットしようにも、自分のなかに情報がなければそれを叶えることはできないわけです。

とはいえ、見聞きした情報や感じたこと、考えたことなどすべてを「大事な情報」として扱おうとしたら、脳がパンクしてしまっても無理のない話。

しかし「要約力」が高い人は、早い段階から情報処理を効率よく進めているのだそう。

情報の要不要を手際よく見極めながら、インプットする情報を巧みにコントロールしているというのです。(42ページより)

情報をグループ分けするーーステップ②情報整理

情報収集を終えれば、その情報は脳に収納されることになりますが、その際に「要約力」の高い人と低い人との差がはっきりするのだそうです。

「要約力」の低い人の脳は、外から部屋に持ち帰った不要なものを捨てずにいる人と同じなのだと著者。

しかも、整理整頓という概念がそこにはないといいます。そのため床や机や棚はどんどんモノであふれていき、汚部屋と化してしまうことに。

そんな状況では、ひとつのモノを探すのにも手間がかかるため、時間とエネルギーをとられてしまうことになります。

「見つからなかった」というケースも考えられるでしょう。

一方、「要約力」の高い人の脳は、整然と片づけられた部屋と同じ。

持ち帰ったモノ(情報)を無造作に床や机に放り投げるようなことはせず、要不要を手際よく判断したうえで、必要なものだけをグループ分けして収納するわけです。

そればかりか、この収納時に優先順位をつけておくこともポイント。

アウトプットする確率が高いものは手前に置き、低いものは奥に置くイメージ。そうしておくことで、必要に応じて効率よく情報を取り出せるのです。

なお、この「情報整理」のステップで求められるのが次の3つ。

・情報の要不要を見極める

・情報をグループ分けする

・情報に優先順位をつける

(45ページより)

情報の要不要を見極めたうえで、情報をグループ分けし、なおかつ情報に優先順位をつけるということ。(44ページより)

相手に簡潔に伝えるーーステップ③情報伝達

3つ目の「情報伝達」は、これまでストック(貯蔵)してきた情報をフロー(流れ)へと変換するステップ。これこそが、「要約力」のクライマックスだそうです。

どんなにすばらしい情報でも、ためておくだけでは無価値。

「話す」「書く」などの手段を通じて他者や社会へと流し、誰かの役に立ったとき、初めて価値が生まれるということです。

このステップで最も重要なことは、「伝える情報」の絞り込み。理想は、手元にある情報の9割を捨てること。

アウトプットするときは、「なにを伝えるか」を決めるだけでなく、「なにを伝えないか」を決めることも大切だという考え方です。

たしかに情報伝達が下手な人ほど、「なんでもかんでも話をする」「順番を考えずに話をする」という症状に陥りがち。

その結果、相手に負担をかけてしまうわけです。(46ページより)


以後の章では、これら3ステップについてより詳細な解説がなされています。そのため本書を参考にしながら「要約力」を身につければ、多くのメリットを獲得する可能性が出てくるわけです。

効率的に伝える能力を身につけたいのであれば、参考にしてみてはいかがでしょうか?

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Photo: 印南敦史

Source: 日本実業出版社

印南敦史

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