連載
特集
カテゴリー
タグ
メディア

書評

脳の働きをコントロール。朝、思いどおりの時刻に起きる2つの方法

脳の働きをコントロール。朝、思いどおりの時刻に起きる2つの方法
Photo: 印南敦史

時間どおりに行動することは、効率よく仕事をこなす術であるだけでなく、仕事へのやる気や相手に対する気持ちの意思表示でもあるーー。

日本には、そのような「時間を大切にする」文化背景があるものです。

そのため時間が守れないと、「やる気がない」「緊張感が足りない」「相手を軽く見ている」などと思われてしまい、仕事やプライベートに悪影響を与えてしまうわけです。

かといって、やる気を出したり、相手のことを大切に思いさえすれば、時間どおりに行動できるというわけでもないのがつらいところ。

このことに関連し、作業療法士である『脳をスイッチ! 時間を思い通りにコントロールする技術』(菅原洋平 著、CCCメディアハウス)の著者は次のように主張しています。

時間通りに行動するには、「技術」が必要です。 その技術とは、自分が時間通りに行動するのではなく、脳が時間通りに行動できるように仕向けることです。(「はじめに」より)

時間管理は心理的な問題として扱われがちですが、時間という実体のないものをつくり出し、管理しているのは私たちの脳。

そこで本書では、時間管理を脳の問題として捉えなおしているのです。

目指すのは、脳の働きをスイッチのようにパチンと切り替える技術を使い、思いどおりに行動できる自分をつくっていくことだとか。

そんな本書の第2章「生活習慣を操り、時間管理能力を向上させる!」のなかから、きょうは「思い通りの時間に起きる方法」をクローズアップしてみたいと思います。

日常の時間をコントロールするには「生体リズム」を利用することが不可欠であり、そんな生体リズムを日常的にもっとも自覚しやすいのが睡眠。そこで、睡眠の悩みを解決しながら生体リズムを知り、それに従うようにするべき。

そうすれば、ただ生活しているだけで無意識的にパフォーマンスが上がっていく仕組みをつくることができるというのです。

スヌーズを使うほど起きられなくなる!?

「もう少し早起きできれば、余裕が持てるのに」と思いながらも、なかなか早起きできないという方は少なくないはず。

著者によればそんな場合は、脳がもともと持っている「起きる仕組み」をうまく利用するといいのだそうです。

ところで早起きできない人は、「スヌーズ機能」を使う方法をとってしまいがちです。

起きる時刻のリミット30分前や1時間前に目覚まし時計をセットし、そこから5分ごとに目覚ましが鳴るようにセットしたりするわけです。

ところがスヌーズ機能を使うほど、目覚めが悪くなるという実験結果があるのだとか。

スヌーズ機能を使うと、目覚めのゴールがずるずると後ろにずれていくため、脳は、どの時刻に合わせて起床すればいいのかがわかりにくいわけです。

脳は、起床する3時間前から起床準備を始めています。血圧を上げるコルチゾールが、普段の起床3時間前から分泌され始めて、起床1時間前になると急激に増加し、起きられる脳をつくります。コルチゾールは、時間に依存するホルモンです。

起床時間が常に同じであれば、同じタイミングから準備が始まり、タイミングよくゴールに到達することができます。これは、ゴールの時間が明確になっているから可能な働きで、スヌーズ機能でゴールがずらされるとタイミングが合わなくなってしまいます。(108ページより)

脳にとって、起床とは重力方向が変わること。ベッドに横になっているとき、脳は地面に対して水平な状態にありますが、起き上がると垂直になります。

すると重力によって体内の水分(血液を含む)は足元に下がるため、それに逆らって血液を脳に吸い上げなければなりません。

これがとても大変なので、脳に血液を届けるため、起床の3時間前から準備をしているということ。

しかしスヌーズ機能によってゴールがずれると、血液は上昇と低下を繰り返すことになり、「もう起きなければまずい!」というリミットのタイミングで起き上がったとき、急激に上昇するというわけです。

脳に急激に血液が集まると、頭が痛くなったり、脳に血液を奪われて他の臓器に配分される血液が減り、気持ち悪くなることがあるそう。

つまり脳にとって、ギリギリの時間まで眠る事はかえって負担になるということです。(107ページより)

実際に起きた時間に目覚ましをかける

脳にかかる負担を避けつつ早起き生活に変えるためには、実際に起きた時間に目覚ましをかけるという方法を用いるといいのだそうです。

たとえば、本当は6時に起きたいのに7時30分に起床しているという場合は、7時30分に目覚ましをかけます。そして、就寝するときに「7時30分に起きる」と、頭の中で3回唱えます。

これは、「何時に起きる」と言語化されるとその時間帯に分泌のピークが合いやすくなるというコルチゾールの性質を利用した、「自己覚醒法」という方法です。(109ページより)

その結果、翌朝は7時30分より少し前の、7時25分ごろに目が覚めるはず。これができたら、その夜は7時25分に目覚ましをかけて自己覚醒法を試してみることが大切。

すると翌朝は、7時25分ごろに目覚められるわけです。

これを繰り返していくと、だんだん起きられる時刻が早くなることになります。

そこで、目的の時刻に起きられたら、その時間で固定すればいいという考え方です。

つまり「自分が何時に起きたい」という“希望”ではなく、実際に脳が睡眠という作業を終えて目覚めの作業ができた時間に合わせれば、目覚めが早くなるということ。

したがって、「前日は7時10分に起きられたのに、翌朝は7時30分になってしまった」というようなことがあっても慌てず、夜には7時30分に目覚ましをかければいいのです。

あくまでも“希望”ではなく、“事実”に合わせて淡々と行うことが成功の秘訣だそうです。

なお、実際に起きた時刻に目覚ましをかけたとしても、「もし起きられなかったら怖い」と心配になってしまう場合は、休日を使って試してみればOK。

たとえば(休日前の)金曜日の夜に、その朝に実際に起きた時刻に目覚ましをかけて自己覚醒法を試せばいいということ。

その結果、「意外に起きられた」という体験ができれば、平日にも無理なく反映させていけるわけです。(109ページより)


私たちの脳内には、時計で刻まれる時間とは異なる時間が流れており、本書ではそれを「脳内時間」と読んでいます。

そして、無意識に伸縮される脳内時間を意図的に取り扱うことで、自分や他人との間に生じる時間の問題を解決することが本書の狙いなのだそうです。

とはいえ決して難解ではなく、紹介されているメソッドは、どれもすぐに試せるものばかり。時間をコントロールするために本書を役立ててみてはいかがでしょうか?

あわせて読みたい

眠れないときはどうすればいい? トライ&エラーで導き出した最強の快眠法

宇宙飛行士がアドバイス。長い隔離生活に必要な5つのこと

Photo: 印南敦史

Source: CCCメディアハウス

印南敦史

swiper-button-prev
swiper-button-next