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適正収入は「どんぶり勘定」で。アフターコロナの前向きなコスト意識

適正収入は「どんぶり勘定」で。アフターコロナの前向きなコスト意識
Photo: 印南敦史

なりたいようになりなさい』(小林照子 著、日本実業出版社)の著者については、以前『人生は、「手」で変わる。』をご紹介したことがあります。

そのため記憶に残っていらっしゃる方も多いかと思いますが、85歳の現役美容家。

さまざまな経験を経て現在に至るわけですが、そんな著者も多くの方々と同様に、新型コロナウイルスの影響で世界が大きな転換期を迎えたことに関し、さまざまな思いを持っているようです。

世界中が不穏な空気に包まれ、経済的に打撃を受けたり、仕事や人生の予定が狂ったりして、不安にさいなまれている方もいるかもしれません。いろいろな形で、試練に直面しているのではないでしょうか。

これは、試練であると同時に、あたらしい生き方にシフトするためのチャンス。よい種をまき、育てること。 それがいま、求められているのではないでしょうか。 (「はじめに」より)

そんななか、著者が勧めているのが「なりたいように生きる」こと。「こんな未来をつくりたい」というビジョンを描き、夢をことばにして、いまできる一歩を踏み出すーー。

ひとりひとりのそんな姿勢が社会を変え、新しい時代をつくる原動力になるはずだと主張しているのです。

きょうは仕事についての考え方を明らかにした第2章「『野心』を捨てない」に焦点を当て、「自分の価値」の見つけ方に関する考え方とメソッドを抜き出してみたいと思います。

経営者の視点で自分を見つめる

会社に雇用されるだけでなく、派遣スタッフとして働く、起業する、あるいはフリーランスとして働くなど、いまは働き方も多様化しています。

かつての終身雇用、年功序列はほぼ消滅しており、そればかりか誰もが知る大企業がある日突然、倒産するということも珍しくはありません。

したがって、自由に働き方をシフトできる世の中であるとも言えるでしょう。

しかしそれは、働き方をシフトせざるを得ない状況がいつ訪れてもおかしくない時代でると言い換えることもできるのではないでしょうか。

著者は20代から50代までの約30年間は化粧品会社に籍を置き、その後85歳の現在に至る約30年は、経営者として会社を運営されています。

化粧品会社時代も、40代半ばにスタートしたメイクアップスクールの運営に関しては社内ベンチャーであり、最終的には会社初の女性取締役として経営側の立場にいたのだとか。(90ページより)

その経験からいえるのは、どんな働き方をするにしても、欠かせないのは「経営者としての視点」だということなのです。(90ページより)

「どんぶり勘定」で自分の適正収入が割り出せる

もしも自分が経営者だったとしたら、いまの自分の仕事に対してどれくらいの給料を支払えるでしょうか?

なかなか想像しづらいことではあるので、著者はここで、自身がこれまで採用してきた「照子式・どんぶり勘定の査定方法」を紹介しています。

これは著者だけのメソッドではなく、起業経営の基本となる考え方。これを知っておくと、自分の身の置きどころ、目指すべきところが数字で具体的にイメージできるといいます。

わかりやすく説明するために、額面で月収30万円をあなたに支払うとします。そのためには、30万円の4倍、120万円の収入が必要になります。

(中略) 120万円を4で割り、30万円ずつを月収、ボーナス分、会社の必要経費、会社の利益に充てるという考え方です。全体の半分があなたに支払われる分、半分は会社の取り分ということになります。 つまり、「月収の4倍の収入を得る」ことが単純目標です。 (92〜93ページより)

この法則を満たしていれば、会社は順調に経営できるそう。

しかし、それより下回ったとしたら、ボーナスが捻出できなかったり、会社の経費が不足したり、という事態に陥ってしまうわけです。

ちなみに著者は、客観的な自己評価、自己目標設定のため、これを会社の役員にも課しているのだといいます。

その結果として実感しているのは、非常に精度の高い方法であるということ。

自分の仕事に対してコスト意識を持つ

会社に雇用されている方のなかには、「給料は働いた時間分もらえて当然」と思っている方もいらっしゃるでしょう。

しかし会社に入ってくるお金は、必ずしも労働時間に比例していないはず。

だからこそ、まずは自分の原価を知ることが大切なのだという考え方。

そうすることによって、「月収30万円でいいのか、それとも50万円もらうべきなのか」というように、自分の価値や要求が適切かどうかがわかるわけです。

簡単な話で、もし月収50万円の生活をしたいのであれば、4倍の200万円の収入が必要だということ。月に20日間働くとしたら、1日10万円の収入を得られる働き方を目指すこともできるわけです。

大切なのは、そう考えて仕事をつくり、仕事を選ぶという視点。

このように社員ひとりひとりが自分の仕事に対して前向きなコスト意識を持つことで、結果的には仕事の効率が上がり、会社が活性化するということです。

もちろんフリーランスだったとしても、この考え方を取り入れることは可能。そうすることにより、よいペースでお金を回していくことができるのです。

いわば、どんな働き方をしたとしても通用する方法であるということ。そのため著者は、これを活用することを強く勧めています。(91ページより)


6歳のときに第二次世界大戦が始まり、両親が離婚(父親は程なく病死)したため、産みの両親、義母、養父母と、個性も価値観もまったく異なる計5人の親たちに育てられるという複雑な幼少期を送ってきた人物。

そんななかで、「人と比べる生き方をせず、自分の信念に従って生きる」という人生の土台を築いたのだといいます。

本書に記されたことばが強い説得力を感じさせるのは、そうしたバックグラウンドがあるからなのでしょう。

しかも平易でわかりやすい文章なので、肩肘を張ることなく読み進められるはず。日々の暮らしに疲れたら、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

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Photo: 印南敦史

Source: 日本実業出版社

印南敦史

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