転職?副業?キャリアを見つめ直すときに役立つ4つのルール
- カテゴリー:
- JOB/BUSINESS

コロナ禍によるさまざまな影響で、仕事やキャリアについて考え直す必要を感じた人は多いと思います。
仕事についての考え方のヒントになる記事がThe Atlantic誌にありました。ハーバード大で幸せについての講義を持っているアーサー・C・ブルックさんの「How to build a life」連載です。
第3弾「4 Rules for Identifying Your Life's Work(人生の仕事を見つける4つのルール)」は、彼の長男が今春に大学卒業するのにあたり執筆。ですから記事は新社会人に向けて書かれていますが、それ以外の人にも役立つ視点が示されています。
ルール1:仕事そのものが報酬であるべき
連想ゲームです。「仕事」と聞いて何を思い浮かべますか。わたしなら「収入」とか「給料」とまず答えます。
しかし、仕事を金、権力、名声などの目的を達成するための手段と考えることは、ブルックさんによると最大の間違いなのだそう。
仕事そのものが報酬となる、つまり喜びや満足感をもたらすものではなければならないと断言しています。
いや、そう言われても経済面も完全には無視できないですよね。ただ、仕事に満足感がなく、単にお金を得るための手段でしかない場合には心身のストレスにつながるようです。
ルール2:楽しいよりおもしろいキャリアを目指せ
ブルックさんは、2017年に行われたリサーチ「Work Passion Pursuit Questionnaire」に言及しています。
これは、アメリカとドイツの研究者が仕事は楽しいから行なうのか、または意義があるから行なうのかを1357人に尋ね、仕事の満足度を調べたものです。
すると、仕事に意義を見出す人のほうが仕事への情熱を持っており、転職回数が少なかったそうです。
ブルックさんは、いわゆる「幸せ」にはヘドニアとユーダイモニアの2種類があり、ヘドニアは「快感の楽しさや幸せ」で、ユーダイモニアとは、「意義ある人生を送ることで感じられる幸せ」だと述べています。彼によるとわたしたちにはどちらも必要で、そのバランスがポイントになるそうです。
その2つが重なる部分が「おもしろさ、興味がある」という点。「この仕事は自分にとっておもしろいものか、興味をそそるものか」を自問することは、満足感や意義が持てる仕事かどうかを見極める手助けになるそうです。
ルール3:キャリアの軌跡はいろいろある
キャリアの軌跡については、新社会人よりもすでにキャリアをある程度築いている人のほうが同意する部分が多いと思います。
ブルックさんによると、キャリアの軌跡には4つのパターンがあります。
直線キャリア:これは同じ企業で、主任、課長、部長、重役と昇進していくパターン。
同職キャリア:ひとつの仕事を続け専門性を高めていく。たとえば、会社が変わっても人事やサプライチェーンなど同一分野を担当し知識と経験を積んでゆく。
変動キャリア:新しいチャレンジを求めて、職種や分野、業界をいろいろ渡り歩くパターン。
螺旋状キャリア:小さいキャリアが繋がっているパターン。それぞれの経験やスキルが次のキャリアのもとになる。
ブルックさん自身は、プロの音楽家として12年、その後はシンクタンクの社長や大学教授の仕事をしているので螺旋状キャリアだと分析しています。
わたしも振り返ってみると、最初は直線キャリアを目指していたけれど(当時はそれが当たり前だと思われていたし、それ以外の選択肢があるとは気づかなかったのです)、実際には螺旋状になっています。わたしのまわりでは同職キャリアと螺旋状キャリアが多い印象です。
最初からいずれかの軌跡を目指すよりも、仕事の経験が増えてゆくにつれ次第にパターンが見えてくると思います。
ブルックさんは、経験がない新社会人に向けて、キャリアの軌跡には一直線以外にもいろいろなパターンがあることを示してくれています。
コロナ禍のように誰にもコントロールできない状況が起これば、キャリアの見直しや方向転換は避けられなくなることもあります。昭和時代には当たり前だった「終身雇用」はすでに死語。キャリアの軌跡もいろいろあってOKなのです。
ルール4:不健全な情熱には要注意
仕事を選ぶ時「パッション(情熱)を感じることを仕事に」というアドバイスを聞いたことがあると思います。
でも、ブルックさんは情熱の種類を重視しており、執念ともいえるような情熱は不健全だと言います。
2003年のカナダの研究で、執着や執念のような情熱を仕事に感じていると、仕事をしていない時には不幸せで気分や集中力も下がることがわかっています。
ブルックさんはまた人間関係を例に挙げ、相手への気持ちが執拗な場合には不健全な情熱であり、健全な人間関係の情熱には調和があり、おたがいの幸せや満足が重視されると述べています。
ですから、仕事に情熱を感じているなら、それはどんな情熱なのかを考える必要があります。
ブルックさんにも不健全な情熱に基づいて働いていた時代があったそうです。それは音楽家時代。19歳でプロのフレンチホルン奏者になり、人間関係より音楽が最優先。練習していない時には罪悪感を感じ、演奏している時には腕の未熟さを感じて、幸せではなかったと言います。
感染や天災のように予測もコントロールも困難な事態から結婚や出産など自分の人生における個人的な出来事まで、キャリアを左右する要素はいろいろあります。また、日本では副業が解禁されつつあるので、フルタイム以外のキャリアを広げるチャンスもあります。
不測のこの時代、プラン通りにキャリア構築が進まないこともあるでしょう。いえ、プラン通りに進むほうが珍しいのかもしれません。
「こうあるべき」「そうすべき」というべき思考に束縛されすぎずに、状況に柔軟に対応しながらキャリアを築いていくしかないような気がします。
あわせて読みたい
Image: Shutterstock
Source: The Atlantic
ぬえよしこ