人種差別実験「青い目、茶色い目」からいま学べること
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Jane Elliotは、有色人種が日々の生活やこれまでの人生で経験してきた人種差別を、少しでも白人に体験してもらおうとすることに自身のキャリアを費やした人物です。
1968年、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが暗殺された直後に、当時小学3年生の生徒たちを瞳の色で分ける演習を考案したのです。
これは、Elliotが「差別体験」を説明しようと考案した社会実験の始まりでした。そして、この演習から、現代の子どもたちも学ぶことができます。
実験「青い目、茶色い目」の内容は?
この演習の基本的な仕組みは次の通りです。
人々(下の動画では、追加の単位を取るために来ている大学生たち)を瞳の色でグループ分けします。
茶色の瞳の参加者は優れているとみなされ、食事や快適なイスが提供され、敬意と尊厳をもって接してもらえます。
一方、青い瞳の参加者は劣っているとみなされます。イスの数が全く足りていない部屋で待たされ、笑い者にされ、偉そうに命令されます。
教室の中にいる人たち全員が、これは演習だと知っているにも関わらず、劣等とみなされた参加者の感情があまりにもすぐに高ぶるのがわかります。
実験から約50年、差別は今も起きている
1人の白人女学生は、Elliotの扱いに怒って教室を出ていきます。
その女学生が教室に戻って演習に参加しようとした時、Elliotはこう言いました。
ダメです。この教室にいるすべての人に謝るまで、ここには戻れません。
ここにいる有色人種が誰も持っていない自由を、あなたは行使したからです。
有色人種の人たちは、人種差別に辟易していても逃れることはできません。この国には、人種差別を受けなくて済む場所なんてないからです。
でも、白人女性のあなたは、瞳の色で判断されたり不当な扱いを受けるのに辟易した時、ドアを開けて外に出ることができました。ドアの外ではそんなことは起こらないとわかっていたから。
あなたは、有色人種にはない自由を行使しました。ここに戻るのであれば、この教室にいるすべての黒人に謝ってください。
最終的に、この女学生は謝らずに教室から出ていきました。
この演習の動画を見るのは気持ちのいいものではありません。だからこそ、私たちは見なければならないし、子どもや若者たちも見なければならないのです。
子どもたちが、人種差別を受けている人たちにもっと共感できるようになる、強烈な実例となっています。
ただ「肌の色だけで判断されたらどんな気分になるか想像してみましょう」と言うよりもはるかに良いでしょう。
決して逃げられない世界で、実際に差別が行われていることがきっとわかりますよ。
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Image: Shutterstock.com
Source: Jane Elliot, YouTube
Meghan Moravcik Walbert - Lifehacker US[原文]
訳:的野裕子