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文の終わりの「。」はなぜ冷たく感じるのか?

文の終わりの「。」はなぜ冷たく感じるのか?
Image: Jim Cooke

ねえ。話したいことがあるんだけど。

こんなメッセージをもらったら、少し考えてしまうかもしれません。

今回は、チャットのような会話型メッセージでの句点の使い方について話してみたいと思います。

多くの人が、毎日メールやレポート、記事など文章を書くときにいつも句点を使っています。

ところが、メッセージの終わりに句点をつけると、なぜか「この文章は終わりです」という意味から「この友情も終わりかもね」という意味に変わります。

しかし、どうしてこんなちょっとしたことで消極的かつ攻撃的(パッシブアグレッシブ)に思われてしまうのでしょうか?

これを解明するべく、インターネット言語学者で、ニューヨーク・タイムズのベストセラー本『Because Internet』の著者であるGretchen McCulloch氏に話を聞きました。

そもそもなぜ句点を使うのか?

メッセージの終わりの句点に関して、McCulloch氏は一歩引いて、2つの文章や発言を分ける方法について考えてみてくださいと言います。

チャットのような会話形式の場合(メッセージやSlack、どんなタイプの短いメッセージでも)、ほとんどの人は1つの文章や発言を、1つのメッセージとして送ることで分けています。

しかし、元来の紙ベースでのコミュニケーションの場合、句読点をつけて考えや発言を区切るのが基本的な使い方とされています。

私たちが言葉を話す時、常に完全な文章で話すわけではありません。

ですから、カジュアルな発話表現で文章を書く時は、必ずしも句点のような「終わり」ではない、発言を区切る方法を模索しています。

中には「-(ダッシュ)」を使う人もいれば、「…」と何かを匂わせるような謎めいた終わりにするのが好きな人もいます。

句点はなぜ「意味深」になってしまうの?

新しいメッセージを送ることで1つのメッセージを終わらせる時、特に何かの感情が付随しているわけではない、とMcCulloch氏は説明します。

メッセージを受け取る人(相手)のためにメッセージを送らなければならないので、送るという行為に「送信した」という以上の意味は本来はないのです。

ところが、意図的でも無意識的でも句点をつけてメッセージを終わらせた場合、結果としてそこに何かしらの感情を足してしまうのです。

紙に文章を書いている時は、句点にこのような感情が乗ることはありません。紙の文章の場合は、「文章を分ける」という基本的な使い方しか存在しないからです。

しかしメッセージの場合、句点には言語外の意味が含まれてしまうとMcCulloch氏は言います。

基本的な使い方とは異なる使い方をしているので、人はそこに何か「意味がある」と解釈する傾向にあります

それで、メッセージの終わりの句点の場合、低い声で、真剣に、堅苦しく話しているようなニュアンスを伝えていると解釈しがちなのです。

ですから、メッセージの内容とその真剣さや堅苦しさがぶつかった時に、攻撃性やパッシブアグレッシブなニュアンスが生まれるのです

たとえば「最悪の気分。」と送ったとします。メッセージの終わりの句点が、気分が最悪だという事実を強調しています。

もしくは、あなたが「本当にわからないの。」というメッセージを送ったとしたら、最後の句点がつくことによって本当に悲しくて途方に暮れている様子を相手に伝えられます。

通常であればポジティブな意味に捉えられるメッセージの最後に句点をつけると、「真剣味を出す」ものとして作用し、パッシブアグレッシブな表現になるとMcCullochは言います。

たとえば次のメッセージを見てみてください。

  • 「ねえ!」
  • 「ねえ」
  • 「ねえ。」

McCulloch氏によると、「!(感嘆符)」で終わっているメッセージは、相手に呼びかける時の嬉しい・楽しい気持ちが伝わります。

句読点が何もついていないメッセージは中立です(特に感情が乗っていません)。

しかし、最後に句点をつけたメッセージは、普通はポジティブで親しみを込めた挨拶だと思われる言葉に「真剣味を出す」ものがついています。

このため、そのメッセージはパッシブアグレッシブだと相手に解釈させる可能性があるのです。

なぜ脳はこのような解釈をするのでしょうか?

McCulloch氏によれば、1つの発言しかないメッセージ(たとえば上記の「ねえ」)に句点をつけると、機能的に必要のない句点なので混乱するのだそう。

このような場合、メッセージの終わりは元気で前向きな感じを出すもの(「!」など)をつけるか、まったく何もつけずに感情を乗せないという選択肢があります。

メッセージの終わりに句点をつけるという意図的な選択をすることで、「特に必要のないはずの状況に“感情”を感じるので、句点がパッシブアグレッシブになるのだ」とMcCulloch氏は説明しています。

誤解されたくないなら句点は使わないように

同時に、メッセージの終わりの句点は常にパッシブアグレッシブになるわけではなく、「本当に文脈による」とMcCulloch氏。

たとえば、複数の文章のメッセージを送る場合、句点は文章を分けるために使われるので特に感情は乗りません。

また、常に文章の終わりに句点を付ける癖がある人も、句点がついていても深い意味はありません。

つまり、ショートメッセージの終わりの句点は何にしても攻撃的、というような絶対的な法則はないのです。

では、ショートメッセージの終わりに句点を使うことを、過度に意識したり警戒したりしない方がいいということなのでしょうか?

そうとも限りません。気をつけるに越したことはないですから。

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Image: Jim Cooke

Source: Penguin Random House, Gretchen McCulloch

Elizabeth Yuko - Lifehacker US[原文

訳:的野裕子

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