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パンデミックがあらわにした、人の「逆転力」

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パンデミックがあらわにした、人の「逆転力」
Image: gualtiero boffi/Shutterstock.com

パンデミックはまだ収束していませんが、日本では緊急事態宣言が解除され、多くの国も経済活動を再開しています。

一息ついてこの数カ月を振り返ってみると、パンデミックの中でも心を動かされたことがありました。

それは、誰もが感染の危険を恐れながらも、感染予防のアイデアやツールが多くの場合無償で世界中でシェアされたことです。

布マスク

感染拡大の当初、3月。

私の住むアメリカではマスクは不要と言われていましたが、日本では不織布マスク不足から布マスクの作り方動画が急増。型紙や多くのアイデアがありました。

もともと裁縫好きなこともあり、日本の動画を利用して布マスクをつくったのですが、手元にゴムがない。

そこで、ストッキングを細く切ったもので代用するという、これまた日本のサイトですばらしいアイデアを見つけて採用しました。

ストッキングで布マスクの捕集(ろ過)効果をアップする方法


布マスクに関していくつもの動画を見ましたが、どれにも利用者からの感謝のコメントが集まっていました。

得意な人が自分のスキルを使って他の人も利用できるリソースを提供している、その事実と作り手の思いやりや他人との暖かいやりとりに心が動かされました。

3Dプリンターで作られたツール

布、針、糸という人間が長い間使い続けてきたものを使ったツールがある一方、21世紀ならではのリソースもシェアされています。

それは3Dプリンターで作る感染予防ツール

職場や店舗に人が集まるようになると、皆が触るものからの感染が懸念されます。

感染予防ツールの中には無償提供されている3Dデータファイルをダウンロードすれば、3Dプリンターへのアクセスがある限りどこでもいくつでも自分で作れるものが見られました。

手袋をはずす道具

上の動画の手袋をはずすツールは、スイスのatollが実現させました。このページから3Dデータファイルが無料でダウンロードできます。

ドアオープナー

ものの表面で特に気になるドアの取っ手。それを手で触らず腕を使って開閉するためのツールも登場しています。

バルセロナのBCN3D社とCIM UPC(カタルーニャ工科大学)が共同開発したドアオープナーはネジ不要。右用と左用があるようです。

無料ダウンロードはこちらから。

上の製品と同様に、ドアの取っ手につけて腕で開けられるようにするツールです。

materialise社が製作、ファイルも無料提供されています。

あの文具を使ったフェイスシールド

おなじみの文具でつくるツールもありました。

日本のデザインチームNosingerが立ち上げたサイトPANDAIDには、クリアファイルを切るだけの超簡単なフェイスシールドが紹介されています。

型紙もあり、多国語展開しているので日本語がわからない人でも簡単につくれるようになっています。

また、どのクリアファイルがベストかも表示されているのが至れり尽くせり。クリアファイルといってもたくさんの種類がありますからね。

ちなみに、コクヨの「フ−TP750(PET樹脂製)」がベストで、2番目には「K2フ-C750TX10(PP樹脂製)」が挙げられています。

私はアメリカで入手できるコクヨの「スーパークリヤーPP A4 (品番:フ-TC750N-0)」で作りました。

透明度は最高レベルではないけれど、細かい文字などを読む必要がない外出にはOKです。

自作したシールドを着けて地元のアジア系スーパーへ行ったら、市販のフェイスシールドとマスクを着用したレジの女性に尋ねられました。

「それ、どうしたの?」

「自分でつくったの」

「いいわね!」

自作のものはアゴの下の部分が服の襟に当たってグラグラしてしまったので微調整しました。

運転時には着用せず。ただ、あまりに軽いので、助手席に置いて車の窓を開けて運転したていたらあっという間に後部座席へ飛んでしまいました。

日本の友人から、知り合いが子ども用にこのフェイスシールドを作り、好きなキャラクターの絵を描いてあげたところ、子どもが大喜びして使っているという話を聞きました。

クリアファイルは廉価なので、マスクにプラスアルファの感染予防対策をしたい時には気軽に試せるところも良いですね。

生まれたツール・アイデアたちを見て思ったこと

上記に挙げたものは私が見つけたり利用したものですが、インターネットにはまだまだ多くのリソースがあります。

パンデミックという未曾有の状況でも、いえ、だからこそクリエイティビティや実行力が発揮され、人々の思いやりや奉仕精神が生まれました。

コロナ禍で創造性と革新性が刺激される理由


すごいと思ったのは、デザイナーやデザイン会社、製造業者らが人々が必要としているアイデアをすぐに実現させている点です。

もちろん21世紀のテクノロジーのおかげで、実現しやすい環境が整っていることも見逃せません。

アメリカでもマスク不足になりましたが、その状況で感じたのは店舗で見つけられないと焦るよりも、ネットで探したり、自分で工夫して作れる可能性が十分にあるということでした。

自分だけでは力不足と感じることもあるかもしれませんが、社会全体には多彩な才能があふれていることを実感しました。

また、外出自粛で買い物の回数をできるだけ少なくしたため、その時その時で本当に自分に必要なものを見極める必要性にかられました。

それは、自分のこれまでの行動や習慣を見直し、取捨選択する能力を高めるチャンスだったのです。

コロナパンデミックは1918年のインフルエンザパンデミックとよく比較されますが、この100年あまりにおけるテクノロジーの進化は当時の人々は想像だにしなかったと断言できるでしょう。

この時代のパンデミックだからこそ、インターネットを通じての迅速な対応、助け合いやシェアが可能になったのだということを強く感じています。

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Image: gualterio boffi/Shutterstock.com

Source: atoll, YouMagazine, materialise, 3D Printing Industry, PANDAID, YouTube(1, 2, 3, 4)

ぬえよしこ

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